前説
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油断をしているときに接収すると中毒化してしまうものって世の中にたくさんあると思う。
酒、タバコ、あるいは恋愛だってそういう要素があるかもしれないし、SNSだってそういうものを宿していると思う。
心を一度掴まれてしまうと、深淵までその魅力に取り込まれてしまうわけだ。
さて。
バンドでも、そういう中毒性をはらんだバンドっていいくつかると思うんだけど、sumikaもまた、そういう魅力を宿しているバンドである。
なんというか、このバンドって、単に「良い曲」を作りましたっていう装いではなくて、奥深くまで潜り込ませるようなトリックをいつも仕掛けているのだ。
どういうことか。
この記事では、「本音/Late Show」というシングルを通じて、そのことについて話をしたい。
本編
「本音」の魅力
王道かつ壮大なバラードである「本音」。
荘厳なストリングスが爽快に鳴り響いており、ドラマチックにメロディーを彩っていく。
sumikaってこういう雰囲気のバラードがよく似合うバンドである。
Mr.Childrenやback numberとも近いものを宿しているバンドだと思うんだけど、何が似ているってこういう豪華なバラードが似合っているというところである。
これにはいくつか理由がある。
例えば、綺麗なメロディーを作るのが上手いとか、バンドサウンドを楽曲の世界に溶け込ますのが上手いとか。
色々と要素を挙げることができるんだけど、一番のポイントはボーカルの強さだと思っている。
片岡のボーカルって、まっすぐに力強く響く。
爽やかな見た目に反して、声がすごく強いのだ。
Radio Bestsellersの「栞」で圧倒的な存在感を放っていたことが印象的だった人も多いと思うけれど、片岡はどんなアレンジの楽曲でも自分ならではの存在感を放つのだ。
だからこそ、アレンジに声がのまれることがないのだ。
というか、どんなアレンジも自分の歌声を輝かせるための材料にさせる、と言ってもいいかもしれない。
豪華なアレンジが似合うバンドと似合わないバンドが世の中にはいるけれど、sumikaは完全に後者。
こういうアレンジがどこまでも似合うバンドだし、どんなアレンジであっても自分のカラーを出すことができ。
その根底にあるのは、片岡の力強いボーカルがあるからこそだと思う。
故に「本音」は、楽曲の持つドラマチックさが際立るし、感涙的なバラードに仕上がるのである。
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「Late Show」の魅力
まあ、先程述べた要素だけでもsumikaって十分な破壊力がある。
でもね、sumikaってこれで終わらないからバンドなのだ。
だからこそ、怖いバンドなのである。
どういうことか?
その秘密が「本音」と合わせて収録されている「Late Show」にある。
「本音」はいかにも大衆バンドっぽい壮大なバラードだった。
つまり、sumikaって涙腺を追撃してくる泣きメロバンドなのかな・・・なんてことを思わせておきながら、秒でその予想を裏切ってくるのだ。
「Late Show」は「本音」とまったくカラーが違う。
sumikaって確かにメロディーと歌声に魅力があるバンドではある。
でも、それだけじゃない魅了があるわけだ。
その「だけじゃない魅力」が存分に詰まっている。
「「Late Show」はワクワクするバンドサウンドが印象的な、疾走感のある一曲である。
ガチャガチャしたサウンドと、軽やかかつ刺激的なセンテンスの数々。
sumikaならではのユーモアで、リスナーの心を掴んでくるのだ。
仮に「本音」の音楽性があまり好みじゃなかったとしても、「だったらこれはどうや!」と言わんばかりにカラーを変えてくる。
魅力違いの作品をさっと差し出すのだ。
そう。
ここがsumikaの危険なところ。
このバンドは、こういうあざとさを隠し持っているのだ。
爽やかそうなバンドのフリしてゴリゴリなところがあるし、かっこよさを提示したかと思ったらふいに可愛さを一面に出してくることもある。
なにより、王道バラードで泣かしにかかってきたかと思ったら、そのすぐあとに、ユーモアが炸裂したノリノリナンバーで心をつかんでくるのだ。
そう。
このバンドはギャップの効かせ方があまりにも上手いのだ。
だから、油断していると中毒的になってしまい、魅力の深淵に放り込まれていくのだ。
まとめ
この鮮やかなギャップこそがsumikaの最大の魅力であり、冒頭でいってたトリックの秘密だというのがこの記事の簡単なまとめとなる。
もちろん、このギャップが華麗に決まるのは、sumikaがバンドとしてレベルが高いからこそ。
演奏が上手くて、ボーカルの存在感があって、メロディーが美しいからこそなわけだ。
3つの要素が綺麗なトライアングルを描くからこそ、成立するギャップなのである。
昔、某音楽番組にて、某ダウンタウンがsumikaのことを「安心してお母さんにオススメできるバンド」みたいな言い方をしていた気がするが、実はその判断は早計だと内心思っている。
きっと音楽性や見た目が人畜無害そうだからこその出てきた言葉だと思うんだけど、実はこのバンドには危険な中毒性があるからだ。
安全なバンドのフリして、危険な魅力をはらんだバンドでもあるのだ。
sumikaの沼は、想像以上に奥が深いのである。
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