前説
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米津玄師の躍進により、音楽シーンにとって身近なものとなったボーカロイド。
須田景凪やキタニタツヤなど、ボカロPとして活躍した実績もある次世代のアーティストの活躍も目立つ。
そして、それはバンドシーンでも同じこと。
というわけで、この記事ではボカロPがメンバーにいるバンドを紹介したい。
本編
PENGUIN RESEARCH
PENGUIN RESEARCHのメインソングライターである堀江晶太は、kemuというボカロPで活躍した実績を持っている。
kemu時代も疾走感のあるバンドサウンドが特徴で、PENGUIN RESEARCH結成後にリリースした「拝啓ドッペルゲンガー」でも、ベースを始めとする様々な楽器の音が荒ぶっている。
BPM180を超えるような曲を当たり前のように量産するハイスピード音楽メイカーの化身。
いやね、機械で非人道的な歌やサウンドを作るならよくわかるんですよ。
が、堀江が恐ろしいのは、バンドや他のアーティストの提供曲でも同じことをやってしまうところ。
人力だからと一切の妥協のないPENGUIN RESEARCHの音楽は、他のボカロPがいるバンドの中でも一線を画している。
関連記事:PENGUIN RESEARCHが痺れる理由について
サイダーガール
メンバーの半数がニコニコ界隈で活動していたバンド。
PENGUIN RESEARCHと比べると、楽曲に人間味があって、むしろ楽曲の節々に哀愁があったり、メロディアスな部分がサイダーガールの魅力のように思う。
そもそも、ボーカルのYurinは爽やかな歌声だし、元々歌い手界隈の人なので、ボカロ的というよりも、Eveとかあちらの音楽に通ずるものがあるのかもしれない。
バンド名も爽やかな感じだし、サイダーガールは、どことなく夏の景色とか青の色が似合うイメージ。
ネクライトーキー
ボーカルが女性であり、声が甲高くて、カラフル感があるという意味で、ある意味一番ボカロっぽいバンドかもしれない。
メインソングライターである朝日は、石風呂というボカロPとしても活動している。
同じく「ネクラ」という冠を擁している石風呂のこの曲。
ゆったりとしたBPMに、渋いギターの音が魅力のこの歌は、近年のボカロソングにありがちな高速感とかダンス感はなくて、むしろロキノンという言葉が流行る前のロックみを感じる。
なお、この楽曲も含め、石風呂名義で発表された楽曲をネクライトーキがカバーしている。
そのアルバムがリリース済みなので、よかったら聴いてみてほしい。
関連記事:ネクライトーキーはライブバンドなのだ
コンテンポラリーな生活
というわけで、石風呂を紹介するならば、このバンドも紹介せねばならない。
先ほど名前を上げた朝日がボーカルを務めているバンドである。
より朝日のルーツとなるロックを堪能できるし、音の質感が実に硬派である。
ネクライトーキーの、特に「オシャレ大作戦」辺りのイメージが強いと分かりづらいけれど、朝日ってきっとこういう類のロックが大好きなんだろうなーと感じたりする。
知らんけども。
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ヨルシカ
バンドと呼んでいいのかの疑惑はあるけれど、せっかくなので紹介をしたい。
ヨルシカのコンポーザーであるn-bunaは、同名義でボカロPとしても活躍している。
ヨルシカの特徴は変拍子や高速化などボカロならではの音楽性を踏まえつつも、普遍的なポップやロックに自身の音楽を消化しているところだと思う。
音楽の咀嚼の仕方とか、アウトプットのあり方が、他のボカロPとちょっと違うのだ。
なんというか、他のボカロPって、自分のやりたい音楽が基盤にあって、それを「ボカロ」という道具を作って表現した!みたいなところがあるんだけど、n-bunaの場合は、やりたい音楽がある!とかいうよりも、音楽以前にもっと別の表現欲があって、それをたまたま音楽という形に落とし込んだ、みたいな感じがあるのだ。
だからこそ、ヨルシカとして発表される作品は単なる音楽作品以上の価値を提供してくる。
ヨルシカ作品に小説的な物語性を感じたり、ある種の芸術性を感じたりするのは、音楽に対する向き合い方が、他のボカロPと違うからなのではないかと思う。
どういうことか?と気になる人はこのブログに記したヨルシカのアルバムレビューを読んでもらえたら幸いである。
関連記事:ヨルシカ「だから僕は音楽を辞めた」のレビューと考察
関連記事:ヨルシカ「エルマ」における感想と考察
ヒトリエ
最後は、やっぱりこのバンドの紹介したい。
ヒトリエのメンバーである(ここを過去形で書くべきかどうかは迷ってしまうが)wowakaは現行のボカロやロックシーンに大きな影響を与えたボカロPである。
ボカロとはこういう感じの音楽である!というイメージがなんとなく聴き手の多くに共有されているように思うし、先ほどのヨルシカの項目でも<ボカロならではの音楽性>なんて言葉を使ったけれど、そういうイメージの起源にあるのは、間違いなくwowakaが生み出した作品にある。
実際、ここで紹介したバンドたちはもちろんのこと、米津玄師なんかのアーティストも含め、wowakaに影響を受けていないボカロPはほとんどいないと思うのだ(まあ、当事者ではないので、勝手なことは言えないんだけども)。
また、ボカロPが肉体性の持った音楽活動をする、という道を切り開いた意味でも、ヒトリエが果たした役割は大きい。
当時の音楽シーンではボカロという音楽は偏見にまみれていたし、ヒトリエの活動だって「ボカロPがバンドの真似事なんて・・・」みたいな言い方をして、ディスる人たちがたくさんいた。
少なくとも、聴き手ごとにバンドとボカロに隔たりを作っていることは間違いなかった。
けれど、今ではそういう捉え方が、いかにくだらないものであるかがよくわかると思う。
バンドもボカロも同じ音楽として捉え、それぞれの良さを咀嚼しながら互いに影響を与えるようになったわけだけど、多くの人がそういう見方を持つようになったのは、wowakaを中心としたヒトリエが果たした役割が大きいわけだ。
ヒトリエは、ボカロにおいても、バンドにおいても新たな可能性を作り出した。
そのことは間違いないと思うし、末永く続く日本の音楽シーンにおいても語られるべき話だと僕は思っている。
関連記事:ヒトリエを「ボカロバンド」なんて言う奴を殴るための記事!
まとめ
というわけで、ボカロPがいるバンドをいくつか紹介してみました。
「ボカロ」で頭角を表す人って、音楽的な感性が良い意味でバグっている人が多くて、作家性の際立ち方が尋常じゃないことが多い。
実際、ここで紹介したバンドはそういうバンドばかりである。
音楽的に面白いバンドばかりであることは間違いないので、聴いたことがないバンドがいるのならば、よかったら聴いてみてほしいなーなんて思う。
では、今回はこの辺で終わります。ではではでは。
関連記事:ニコニコ動画とボカロと色んな音楽Pの話
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