ストレイテナーの魅力について

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ストレイテナーって不思議なバンドである。

元々はギターボーカルであるホリエと、ドラムのナカヤマの二人体制で活動を始めたバンドだったのである。

でも、いつのまにかメンバーは増えていった。

2004年には3人体制になり、2008年には4人体制になる。

追加されたメンバーは全員、元ART-SCHOOLのメンバーという肩書きだったこともあり、そのことが揶揄されたこともあった。

追加された当時の反応はよく覚えていないが、少なくとも今、テナーは二人の頃の方が良かったと大々的に声をあげる人はほとんどいないと思う。(もちろん、あの頃の音楽が好きだったという指摘はあるだろうが、メンバー増加したことに対する否定的な意見はほぼないと思う)

こんなバンド、他になかなかいないと思う。

不思議なバンドである。

というわけで、この記事では、そんな不思議な歴史を持つストレイテナーについて、僭越ながら書いてみたいと思う。

個人的なテナーの評価

テナーの世代のバンドって、BUMP OF CHICKENやELLEGARDENのような特例を除いて、正直、少しずつ人気にかげりが出ているように思う。

もちろん、テナーはそれでも第一線で活躍しているバンドだとは思う。

けども、昔と比べるとファンの温度感もフェスでの人気も穏やかなものになってきたし、ファン層が高齢化している事実は否めないと思う。

ただ、それはそれで事実としてあるのだけど、テナーの場合、じゃあ既存のファンさえ囲えたらそれでいいや!って感じにはなっていない。

鳴らしている音を進化させていくし、その進化のさせ方がとてつもないのだ。

まあ、別に新しいファンを獲得するんだ!ってモチベーションではやってるわけではないのかもしれない。

ただ、テナーが新しい作品をリリースするたびに、テナーの新しい一面をみせている。

そして、これからも俺たちはどんどんチャレンジするぜ!的な、意欲見えまくりの作品をリリースしている。

これが、凄いなーと思うわけだ。

2018年にリリースされた「Future Soundtrack」なんかはその筆頭だろう。

今までのテナーとは大きく違うサウンドディレクションの曲が多数収録されている。

歌謡曲的な仕上がりの強い楽曲もあるし、エレクトロニカルな部分を大胆にフューチャーした歌もある。

少なくとも、硬派なギターロック=ストレイテナーという見立てはとっくに終わりを告げている。

以降のシングルを聴いても、それは明らかだ。

最新系のサウンドを鳴らす、そんなバンドになっているわけだ。

例えば、同世代のバンドの場合、鳴らしたい音楽の方向性を明らかに変えようとしたら、違うバンドやチームを組んで活動することが多い。

盟友の細美武士は違うバンドを掛け持ちすることでジャンルの違うサウンドアプローチをしているし、盟友のゴッチ(アジカンのボーカル)はバンドとソロを棲み分けることで、それを成しているようにみえるし。

テナーの場合、もちろん個々で活動している部分はあるけども、それ以上にテナーはテナーのままで「他の人なら違うバンドでやること」を、そのバンド内で達成しているように感じるのだ。

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演奏もメロディーも両方で「うおおっ!」ってなれる

テナーが特異な進化を辿ってきたということを先ほどの項目で述べたんだけど、もう一つ、個人的に感じるテナーの特色がある。

それは、生み出す音楽に対するバランス感覚だ。

どういうことか、順を追って説明したい。

テナーの世代って、洋楽をベースにしたサウンドをさらに自分たちの音楽に消化した世代って感じで、これはBUMPもアジカンもエルレもACIDMANも同じだと思うのだ。

で、今に繋がる日本のフェスシーンを振り返っていくと、この世代が作ったロックの影響がとても大きいように感じる(ここにはDragon Ashやくるりなんかを入れてもいいと良いと個人的に思う)。

そんなバンドを並べたときのストレイテナーの特徴って、サウンドだけでもバチバチにかっこいいのに、メロもめっちゃ良いってところにあると思うのだ。

例えば、バンドの軸がメロにあるバンドの場合、メロの良さやボーカルの良さを引き立たせるためのアレンジありきになっていて、演奏自体は地味というか、演奏そのものでオーディエンスを沸かせるような構成にはしないことが多いように感じる。

が。

テナーの場合、メロを生かした曲構成でありながらも、サウンドの妙で沸かせがちなバンドである気がするのだ。

これはテナーが少しずつメンバーを増やしていったという歴史性とも大きく関係する話だと思うけど、このメロの良さとサウンドの格好良さ、両方をバランス良く維持しているのは、テナーの最大の特徴であり、魅力だと僕は思っている。

演奏がめっちゃカッコいい。

でも、単にプレイをゴリゴリに魅せるだけのバンドでもない。

メロに強さのある歌が多くて、だからこそミディアムなテンポでも「おおっ!」ってなる歌がたくさんある。

でも、ギターやベースがブイブイいっているアゲアゲなナンバーも多数ある。

そういう奇跡のバランス感を達成したバンドのように感じるわけだ。

もちろん、昔はもっと尖っていたとか、今はマイルドすぎるとか、色んな指摘をすることができるかとは思う。

でも、それを差し引いても、進化し続けながら絶妙なバランス感覚で音を鳴らしていることは間違いないと思うのだ。

少なくとも、僕はそう思う。

まとめ

ちなみに僕がテナーのアルバムで一番好きなのは「COLD DISC」である。

ロックバンドとしての格好良さも持ち合わせながら、メロディーの美しさも形にされた名盤だと僕は思っている。

確かにこれからストレイテナーが爆売れすることはないのかもしれないが、これからもバンドは進化し続けていくだろうし、バンドとして成熟したからこその名盤をリリースするのだろうと思う。

そんなテナーのこれからが、僕はただただ楽しみである。

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