前説
[ad]
この前、関ジャムでコミックバンド特集が放送された。
その特集で出演したバンドはヤバT、四星球、打首の3バンドである。
さて、この3組に共通点があるとすれば、何だろうか?
大きなくくりで言うならば、キャッチーなメロディーにのせてユーモアのある歌詞を歌うところかなーと思う。
あと、ライブスタイルは個々によって違いけれど、単なる面白さだけじゃない熱さも持ち合わせているところも共通点な気がする。
で、だ。
この3組はあのジャニーズと共演を果たしたわけで、明確にバズったバンド(世間的に認知されたバンド)になったわけだけど、ここで気になるのが次に「そのうちジャニーズと共演できるレベルまでになる、オモロいバンドは誰だろう」ということである。
コミックバンド特集でも色んなバンドの名前が上がっていたし、ひとたび考え出すと悩みに悩んじゃうんだけど、シンプルに今のバンドの勢いだけの話をすれば、きっとこのバンドがくるんじゃないかと思うのだ。
そのバンドとは、バックドロップシンデレラである。
というわけで、この記事ではそんなバックドロップシンデレラのことを取り上げてみたいなーと思う。
本編
まあまあ中堅バンド
バックドロップシンデレラに関しては「フェスだして」あたりで認知した人が多いと思うのだ。
つまりは、2017年の話。
そのため、もしかしたら、コミックバンド的な装いだし、なんとなくドリアンとかその辺と同じくらいのキャリアのバンドでしょ?と捉えている人もいるかもしれない。
が、彼らは全然「若手バンド」ではない。
まあまあ中堅のバンドである。
バンドの歴史をたどっていくと、結成したのが2006年で、ファーストアルバムをリリースしたのが
2008年になる。
ヤバTが2012年結成で、キュウソが2009年結成であることを考えると、いかに彼らのキャリアが長いかがよくわかると思う。
ちなみに、彼らは2016年に結成10周年を記念してベスト・アルバムをリリースしていたりする。
そういう類のバンドだ。
ずーっとインディーズで活動し、地道にライブハウスでキャリアを積んできた、そういう類のバンドなのだ。
だからこそ、2017年の「フェスだして」によるバズは、待望という言葉がふさわしい、快挙だったのである。
それにしても、ここからの躍進がすごい。
一貫してインディーズで活動を続けたこのバンドは、この曲でのバズをきっかけにして、インディーズバンドでありながらも「ROCK IN JAPAN」をはじめとする、メガフェスへの出演も果たすことになるのだから。
基本的に「ROCK IN JAPAN」ってレーベルからお金をもらうことで、そこに所属しているバンドが出演する類のフェスなので、どうしてもこのフェスは金を持っているレーベルに所属していないと出演しづらいという構造がある。
だからこそ、バックドロップシンデレラのような、何の後ろ盾もないバンドが、このフェスに出演を果たせたのは、快挙という他ないのである。
で、なぜこんな快挙を達成できたのかといえば。
理由は色々あると思う。
結論を言えば、人間関係的な繋がりがあったからだろうし、それ以上に曲がバズって認知が広がったことは前提ではあるけども、単純に「それ」だけのことではないと思うのだ。
日夜ライブハウスで間違いないライブをし続けてきて、ライブバンドとしての実績があったからこその結果だと思うのだ。(金がないとなると、ライブを通じて人の心を動かすしかないわけで、きっとバックドロップシンデレラも、それを達成したから抜擢されたのだと思うのだ)。
[ad]
ただのコミックバンドではない
何が言いたいかというと、バックドロップシンデレラって、ただのコミックバンドではないんだよなーということである。
で、そんな10年以上の屈折を経て、ついにバズる兆しを見つけたバックドロップシンデレラは、先日、こんな歌を発表した。
「バズらせない天才」というタイトルの歌。
彼ららしいユーモアあふれる歌である。
ドラムのビートの刻み方だけでも、ライブでの盛り上がりを意識した曲であることがわかるし、彼ららしいユーモアのあるMVも魅力的なわけだけど、不思議とこの歌にコミック的な匂いは感じないのだ。個人的には。
そもそも、バックドロップシンデレラってコミックバンドのカテゴリーで語られることか多いけれど、前述した3バンドほど、楽曲は「笑い」に傾倒していないよなーと思うのである。
むしろ、バックドロップシンデレラの歌詞は、コミック性よりもパンクのイズムを感じる。
「フェスだして」という曲だって、コミックソングというよりも、ギラギラとした野望を見せつける、綺麗事を排除した本音の歌のように感じるのだ。
確かにコミック的なキャッチーさも表面にはあるが、歌われている言葉はネタなどてはなく、ただただバンドの本音。
つまり、歌詞に宿っているのはロックバンドとしての気骨。
ただそれだけなのである。
そう。
この歌は、ネタでもなんでもなくて、むしろ、このバンドの生き様を感じさせるのである。
で。
今回は発表された「バズらせない天才」だって、それと同じものを感じたのだ。
ぱっと聞けばコミックソングっぽいし、そういうコミカルなキャッチーさを利用して、たくさんの人に聴いてもらおうと企んでいるのは確かだと思う。
でも、この歌だって、おそらくはネタにみせかけた本音の言葉を綴った歌であり、今自分たちが主張したいことを全面に出した、闘志に燃えたぎる宣言ソングだよなーと思うのてある。
改めて歌詞を読めば、そのことを強く実感する。
フレーズに宿っているのは、バンドとして安易に業界に媚びない姿勢だし、そういう歌詞を読んでいると、少なくとも僕は、コミックバンドというよりも、パンクバンドの鋭さを感じちゃうのである。
だってさ、コミックバンドの歌って、熱さは一旦おいて楽曲内ではひとつの「ネタ」を消化することが多いじゃん?
でも、バックドロップシンデレラはそうじゃないのだ。
自分たちが今主張したいこと、言いたい本音を歌にぶちまけふ。
そして、それに筋を通すような歌を作る。
そういう哲学を感じるのである。
まとめ
ヤバTやキュウソの場合、最初はどこかふざけているフシがあったけれど、ライブをしているうちにたくましくなったという認識なのだ。
四星球や打首は熱いバンドであるけれど、歌の歌詞だけで言えば「ふざけている」ことが多いという認識なのだ。
けれど、バックドロップシンデレラはそのどちらでもない。
歌であろうがライブであろうが、コミックバンドのふりして、徹底的にロックバンドをやっている。
少なくとも、僕はそのように感じることが多い。
オモロイバンドが熱さを手に入れたら手がつけられないとよくいうけれど、このバンドの場合、元々DIY精神のある肉食バンドで、活動をしていくなかでオモロくする術を知ったけれど、やっぱり哲学を大事にする、そんな匂いを感じるのである。
要は、コミックバンドというカテゴリーの中でも、異質な存在のように感じるわけだ。
だからこそ、バックドロップシンデレラは他のコミックバンドとは違うバズり方をするのだろうと思うし、いわゆるロックバンドともいわゆるコミックバンドとも違う軌跡を見せてくれるんじゃないかと思ったりする。
というわけで。
そういう期待をこのバンドには持っているからこそ、この記事で、こういう形で、このバンドを紹介したという次第なのである。
ウンザウンザ。
関連記事:「おもろい」バンド最強説
[ad]