前説
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どっちかが本業でどっちかが副業、というわけではないによせ複数の活動を行っているバンドマンってわりと多い。
本業をストップした状態で活動する人もいれば、並行してゴリゴリに活動する人もいる。
ただ活動のペースはともかく、そのコントラストが鮮やかだなーと思う人は多い。
そこで、その<複数のアーティスト活動>が鮮やかだなと思うボーカルがいるバンドを紹介したい。
本編
UNISON SQUARE GARDEN
https://youtu.be/i0wV0vhX5j8
UNISON SQUARE GARDENは現在、ゴリゴリにツアーを行っているバンドだ。
アグレッシブかつ通常営業の活動を行っているわけだが、ユニゾンのボーカルである斎藤宏介は、その傍ら(という言い方が正しいかは微妙だが)でXIIXの活動も行っている。
「USELESS」は2021年2月にリリースされたアルバムの中でも特に印象の残る快作であった。
UNISON SQUARE GARDENとXIIXを並べて聴くと、斎藤宏介の鮮やかさが際立ってくる。
ユニゾンの斎藤はクールでスタイリッシュで、ガチャガチャした人間離れした楽曲を涼しい顔で歌う凄みがある。
一方のXIIXでは躍動感というよりも繊細さを大事にした楽曲が多く、ユニゾンでは行わない楽曲を手掛けてみたり、おちゃめ(?)な一面を表に出してみたりしている。
音楽的な面でもキャラクター的な面でも、普段と違う一面をのぞかせているわけである。
しかも単なる課外活動というわけではなく、どこまでもクオリティーにこだわっており、巧みな技がどこまでも光る作品を生み出す。
これまでに複数の活動が”鮮やかな”バンドマンもいないのではないだろうか。
関連記事:UNISON SQUARE GARDENのユーモアとかっこよさについて
indigo la End
複数で活動を行うことがデフォルトになっている川谷絵音もまた、複数のアーティスト活動が鮮やかなバンドマンと言って差し支えないだろう。
多種多様な活動を行っているので、もはやどれを<本命>と言っていいのかわからないレベルであるが、今年アルバムリリースをしたインディゴの活動はキラリと光っている。
特にインディゴの「夜行秘密」はバンド屈指の名盤だと思う。
大人びたクールなサウンドと、切なすぎる装いが印象的な楽曲が多数収録されている。
初期のインディゴの良さと今のインディゴの良さが良い感じに掛け合わさったような印象を覚える。
<夜>というワードが随所に見られるのも今作の面白いところである。
アーティスト活動のみならず、テレビでも登場頻度が高い川谷絵音。
この底なしのバイタリティ、マジですごいなーといつも思うのである。
King Gnu / millennium parade
ちょっと前まではKing Gnuの常田が行っているソロ・プロジェクトみたいな位置づけただったmillennium parade。
でも、今はどっちの活動も同じ平行線に並んでいるくらいの存在感を放っている。
ちょっと前までは、King Gnuでポップなことをやって、King Gnuでできないことをmillennium paradeで行っている、みたいな見え方を感じていたんだけど、今の活動はどっちがどっちとかなくて、どっちでもメジャーシーンのど真ん中を貫いていく<本気>みたいなものを覚えるのだ。
millennium paradeの「FAMILIA」では、ついにKing Gnuのメンバーが全員結集することになったが、面白いものでまったくKing Gnuの歌にはなっていない。
millennium paradeの中にボーカルとして井口を招聘した、みたいな感覚があるわけだ。
なぜそう思うのか、というとちょっと言葉にすると難しいけれど、今のKing Gnuはなんだかんだで中心に井口の歌声がある印象を受ける。
でも、「FAMILIA」はこの楽曲の世界観なり美学なりがあって、それを表現するために井口のボーカルがある、みたいな感じなのだ。
楽曲の中心にあるものが全く違うから、全然雰囲気も感触も違ってくる、という話である。
その一方で「FAMILIA」は井口のボーカルがあるからこそ、成立する楽曲だよなーと思ってしまう自分もいる。
繊細すぎるボーカルにより繊細すぎるメロディーラインが、途方もなく美しく楽曲世界を彩っていくのである。
関連記事:King Gnuの「三文小説」の美しさと不気味さについて
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ポルノグラフィティ
ポルノグラフィティのボーカルである岡野昭仁は今年、ソロ作品を発表した。
このソロ作品である「光あれ」がまた良かった。
岡野昭仁はこのようにソロとしても活動しているわけだけど、一方でポルノグラフィティの活動も行っている。
ポルノグラフィティの場合、楽曲における<自分たちの型はこう>っていうのがかっちり決まっているわけではないと思うし、楽曲も毎回それぞれが手掛けるから色んな色を提示しているわけだけど、ソロ作品とポルノの作品を聴き比べると、やっぱりどこか違いがあって。
まあ、ポルノに関していうと、きっと「カメレオンレンズ」から収録されることになるはずの次のアルバムが楽しみで、今のポルノの油のノリ方を考えると、キャリア最高傑作になるのではないかと勝手にワクワクしている。
何がいいたいかというと、この男たち、このキャリアをもってして、今もなお進化しているという、そういう話である。
関連記事:音楽シーンにおいて常に<光>だった岡野昭仁の「光あれ」論
Mrs. GREEN APPLE
大森がソロ活動を始めた。
ミセスとはまったく違うテイストに色んな意味でドキドキさせられた大森のソロ活動。
きっとこれは、ミセスが次のステップへ向かうためのひとつの航海なのかなーと個人的には、思っている。
にしても、Mrs. GREEN APPLEでも相当に様々なアウトプットを行っており、わざわざソロで別のテイストのアウトプットなんてしなくてもいいのではないか、と思っていたけれど、改めてソロ作品を聴いてみると、確かにソロでしかできない作家性を発揮していて、驚かされたものである。
この男、まだこんなにもアウトプットのタネを隠し持っていたのか、とドキドキさせられるわけである。
常人では真似できないハイトーンすぎるハイトーンボイス。
アイデア豊富で表現力豊かなアレンジの数々。
バンドではありえない音色と雰囲気で楽曲を彩っていくのだ。
ミセスとはまた違う魅力を放ちながら、大森にしかできない作家性を発揮するソロ活動がそこにはあった。
きっと、この活動もどこかでミセスと繋がるような、”鮮やかな”活動になるんだと、ぼんやりと思うのである。
関連記事:カラオケで歌わせる気がない攻撃的なメロディーラインを仕掛けてくるバンドたち
まとめ
というわけで、複数のアーティスト活動が鮮やかなボーカルがいるバンド特集、なのでした。
どんなバンドマンも違う活動を行うと、違う表情を魅せるから面白いなーと改めて思った次第。
活動を比べながら楽しむと、そのバンドマンの作家性を堪能できるのではないかと思う。
では、今回はこの辺で。
ではではでは。
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