公開された「世界はファンシー」について

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UNISON SQUARE GARDENの新曲「世界はファンシー」がYouTube上で公開された。

この歌は2020年9月30日にリリースされた「「Patrick Vegee」 に収録される歌である。

まだ聴いてない人は、ぜひ聴いてほしい。

曲を聴いてもらうとわかると思うが、とにかくクセが強い歌だ。

MVはそれ以上にクセが強いんだけど、映像にまで話を広げると大変なことになるので、そこは割愛しよう。

この記事で話をするのは、音源の話だ。

セリフが多いこの楽曲

にしても、楽曲のクセが強い。

アルバムがリリースされる前の、事前に公開される歌としては、あまりにも変化球すぎる。

ユニゾンの歌って、時よりセリフのような歌詞を歌うことがあるのだが、「世界はファンシー」は、そういうセリフ回しが炸裂した代表曲のような歌である。

このセリフまわしに関しては、ユニゾンが持つユーモアが炸裂していると言えばいいだろうか。

ほんと、今回はこのセリフの部分で遊び心をたくさん見て取ることができる。

注目は、突如として2番のサビ前に挟まれる「HAPPY」というセリフ。

その「HAPPY」のテンションが、本当に絶妙なのである。

気だるげというか、やる気がないというか。

世にあるHAPPYという歌詞がある楽曲史上、もっとも幸せ感が込められていないHAPPYとでも言えばいいだろうか。

また、注目するセリフは、HAPPYだけに留まらない。

2番のサビが終わったあとのギターソロ前でも「ふぁんたすてぃっくぎたー」というセリフが聴こえてくる。

これは、映像と合わせてみると破壊力抜群のセリフであり、音声的にはわりと普通なのだが、ギターソロが終わったあとの、長尺のセリフパートが圧巻なのである。

なんというか、こんな長いセリフをさらっと口にして、かつビートの中にきっちり落とし込んでいるのが可憐であり、スマートなのである。

ほんと、ここのパートって、いわゆる詩を読むというような感じではなく、早口でまくしたてるような弾丸セリフまわしなのである。

霜降り明星の漫才でも、ここまでセリフで畳み掛けることはないのではなかろうか。

注目はセリフだけではない

この歌はセリフが多くてそこが注目ポイントだが、注目するべきはそこだけではない。

まず、楽曲全体がとても早口なのである。

それぞれのリズム隊のスピードはそこまで早くないのだが、ボーカルだけ異常なスピードで言葉を紡いでくるのである。

かといって、ラップという感じでもなく、絶妙なラインで言葉を吐き出し、歌の中に収めてくるのである。

この歌はこういう高速メロディーがウリなのかな・・・と納得しそうになるかと思えば、Bメロだけ急に語彙力を失い、ああああ、という言葉に鳴らない音の羅列で、不思議なメロディーを紡ぐ。

このあたりもユニゾンならではのユーモアな感じがする。

田淵的な物言いで言えば、揺さぶりをかけてくるというか。

まあ、ユニゾンのアルバムって一曲くらい、こういう形を崩したロックソングをアルバムの中盤に入れてきがちである。

おそらく、この歌もアルバムの中盤の曲なのではないかとは思うんだけど、それにしても、ユニゾン史に残るようなクセの強い歌だよなーと思う。

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ふざけているのにかっこいい

ここが重要なポイントだと思うが、この歌ってはっきり言えばふざけている歌だと思うのだ。

温度的な話でいえば「かっこいい」よりも「面白い」を狙っている歌だと思うのだ。

たぶんだけど。

でも、トータルでいえば、かっこいい歌になってしまっているのである。

そこが凄いのだ。

なぜ、そんなことが起こるのか。

それは、メンバーの歌唱や演奏があまりにもシャープで研ぎ澄まされているからだ。

演奏が洗練されていて、ロックバンドとしてのかっこよさが凝縮されているのだ。

だから、純粋にロックバンドの歌として、かっこいいのである。

ソリッドなギターサウンドや、細かくビートを刻むドラムの音が心地よく鼓膜を揺さぶってくるのである。

あと、メロパートは遊びまくるんだけど、きっちりとサビはキャッチーに落とし込んでいて、田淵の作曲センスが存分にいかされているところもポイントだと思う。

なんというか、この歌って、いかにも斎藤宏介にこう歌わせたら面白くなる、みたいな着想で書かれている感じがするんだけど、そこのシュミレーションが完璧だからこそ、着地点も綺麗にところに置いている印象を受けるのだ。

田淵って、色んなアーティストに楽曲をしているけれど、ユニゾンのときはきちんと斎藤宏介が歌うことをベースに考えているし、ユニゾンのグルーヴだからこそ、ハマるようなメロディー展開をしてくる。

「世界はファンシー」も、そういう歌のように感じるのだ。

自分たちのバンドの持ち味やかっこよさを熟知したうえで、ふざけてくるからこそ、かっこいいを維持したまま面白いも突き抜けてくるというか。

まあ、どんな楽曲もかっこいいに消化してしまうのは、ユニゾンの演奏力の高さがあるからなんだよなーとは思うけども。

まとめ

こうやって改めて言葉にすると、この歌はUNISON SQUARE GARDENだからこその歌なんだなーと改めて思う。

歌う難易度が異常に高いメロディーライン。

これを軽やかに歌えているのは、斎藤宏介だからだと思う。

そして、こういうメロディーラインを中毒性のあるキャッチーさに仕立て上げることができるのは、田淵のセンスが冴え渡っているからこそだ。

なにより、鈴木貴雄が緻密なリズムを作ることで、楽曲の心地よさを生み出しているからこそ、「ユニゾンのビート」が発揮され、ユーモアとかっこよさが際立っているのだと思う。

つまり、この三人だからこその楽曲だったというわけだ。

こんな歌を事前に公開するのだから、リリースされるアルバムは相当にやばいんだろうなーと思う。

今はそれが楽しみで仕方がない。

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