前説
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髭男の新曲がすこぶる良い。
「Pretender」という映画『コンフィデンスマンJP』主題歌の曲である。
で、この曲がなんで良いと思うのか?
そのことについて書いていきたい。
本編
曲が良い理由
まず、冒頭のイントロ。
ここから激アツである。
クリーン気味なギターのアルペジオに、キーボードが「とん、とん、とん、とん」とコードを弾いてるのベースになっているんだけど、これがもう良い。
ここを聴くだけで、この歌は気合いを入れて作った歌だぞ!売れ線のメロディーがくるから期待しとけよ!って匂いがプンプンするのだ。
なんというか、イントロだけで物語があるというか、静と動の使い分けが巧みなのである。
イントロは大きく分けると2段構えの展開になっていて、その展開をより劇的にするため、けっこう細かく色んな音が入っているんですよ。ワクワクのお膳立てが完璧なんですよ。シンセの使い方とかも含めて。
だって、イントロ30秒あって、まあまあ長いんだけど、全然退屈しないんですから。基本はループの構造なのに、全然退屈しないという不思議。
で、そんなイントロが完璧にハマったと思ったら、Aメロ入りになるんだけど、ここも良い。
Aメロに入ると、サーっと余計な音が去っていくんだけど、ここでも静と動のかましが上手いこと決まっていて、聴いていて心地よいのだ。
あと、打楽器の使い方が巧みで。
イントロでは生に近いドラムの音が鳴っていたけれど、Aメロでは打ち込みの打楽器音でビートを作っていく。
こういうところも細かく工夫がされていて、おかげでスーッと、藤原のボーカルに耳をすますことができる。
で、Aメロが良い
まあ、ベースとしてメロが良いってのはあるんだけど、そのメロの活かし方が本当に最高なのである。
冒頭、フレーズの末尾に「ラブストーリー」というワードが出てくるんだけれど、この部分では、いきなりファルセットを使ってくるのだ。
比較的穏やかで起伏も少なめのAメロ。
この歌も音程低めでしっとりとした感じで展開するのに、途端にファルセットを使ってくるのだ。
これだけでも「おおっ///」って感じになるのに、一方でもう一つのフレーズの末尾の「〜観客だ」という部分では、まるで白い息が見えそうなくらいに、震えそうな声でウィスパーに吐き出すように歌うのだ。
その後の「しった〜」のとこなんて、マジで震える具合がヤバイのだ。
この対比にノックアウトされる。
ヤバイのはAメロだけではない。
Bメロもヤバイ。
ここから急にキーボードが強めに出てくる構成になっているんだけど、このキーボードの存在感が良い味を出していて、最強のサビがやってくる前の序章感が出て、ワクワクをさらに上げるのである。
さらに、ここから生音よりのドラムが登場する。
かつ、ここではメロやサビとは違うリズムの打ち方をする。Bメロでは明らかに違うリズムの打ち方を持ってくることで、ここでも静と動の緩急が巧みに決まっているのである。
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少し話が変わるが、この歌はメロディーが良い。
メロディーが良いって言っても色んなレベルがあるけれど、この歌のグッドメロディー具合は、米津玄師の「Lemon」とか、あいみょんの「マリーゴールド」とかと通ずるものがあると思っている。
どういうことかというと、メロディーだけで名曲として成立する感じがあるのだ。
例えば、アコギの弾き語りだけで歌っても、あるいはピアノでメロディーだけを弾いたとかても、名曲になってしまう、そういう強さがあるのだ。
平成も終わろうとしているのに、まだこんなにも泣けるメロディーラインが眠っていたのか……と脱帽するようなメロディーラインなのである。
ラストもヤバイ
ラストのサビも心なしか、藤原の歌声がさらに情動的になっている感じがする。
サビの歌い方のテンションでも静と動が巧みに決まってあるのだ。
あとさ、この歌は、歌詞も良い。
大体さ、サビの最後のフレーズが「君は綺麗だ」で「とても綺麗だ」はせこいよ。絶対にこれ、聴き手を落としにかかっているもん。
で、わざわざアウトロは、イントロでは登場しなかったピアノでしっとり終わらせているし。どう考えても、綺麗だのフレーズで余韻浸ってくれ!聴き惚れてくれ!感があるもん。ずるい。
この歌はタイアップソングだから〜という顔をしながら、しっかりと聴き手にこの言葉を投じようとしている感がある。
映画館で聴いたら、なおヤバイんだろう〜けども。
まとめ
ということで、褒めるところ尽くしのこの歌なんだけど、
本編では細かく書いていないけれと、フレーズも本当にいちいち良いのだ。韻の踏み方も気持ちいいし、その単語使っちゃうんだ!!??という面白さもあるし。
どこを切り取っても最高のこの歌。
今のところ、上半期というレベルにおいても、5本の指に入る名曲だと思っている。
聴いてない歌はぜひ、聴いてみてほしい。
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