前説

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売れそうなのに売れないバンドっていくつもいるし、このバンドはもっと売れてもいいのにって思うバンドもたくさんいる。

ドラマチックアラスカ(以下、ドアラ)。

彼らもそういうバンドの一つだと思う。

本編

ドアラ、良いよ!

売れそうだなーと思いながらもなかなか売れなくて、売れる要素は兼ね備えているんだけどなーと思いつつもなかなか芽が出なくて、同時期に切磋琢磨してシーンを賑わせていた同世代バンドがどんどん大きくなっていく中、今ひとつ存在感を示せなかったドアラ。

好きな人にとっては好きなバンドくらいの存在感で落ち着いちゃうのかなーと思っていたドアラ。

だけど、最近ふとしたきっかけで、彼らのライブを観ることがあって、そのときに思ったのだ。

今のドアラ、めっちゃくちゃいいやん、と。

ある程度キャリアを積んできたバンドが、あるタイミングで急にドカーンと良い音を鳴らし始めることって、たまにある。

最近ならa flood of circleやTHE PINBALLSなんかもそういうタイプだと思っていて、ドアラもそれと同じかそれ以上に、「ここにきて良いライブをしている感」のあるライブをしていたのだ。

ボーカルのヒジカタは元々ビックマウスなところがあって、大言壮語を吐きまくりなところがあった。

だから、今年はやってやんぜ的な物言いは少し耳タコになっていた部分もあるんだけど、今度の今度は、マジでブレイクするんじゃないか?

そんな期待をさせてくれるライブをしていたのだった。

それまでのドアラのイメージ

自分のなかでは、2010年代前半に頭角を表してきたバンドのひとつというイメージで、サークル史上主義なフェスブームのなかで、そのムーブメントに乗りながらも、自分たちなりのロックを鳴らすバンド、というイメージだった。

単に盛り上げることにコミットするのも嫌だし、かといって自分たちのやりたいことだけを追求するのもちょっと違うしみたいな。

きっとメンバーは頭が良いから、こういう「ツボ」の押さえ方が売れるためには大事であるっていうのがわかっていて、ある程度は客観視して音楽を捉えていたのだと思う。

けれど。

それだけにコミットするのは嫌なんだよなーみたいなのも見えていて。

そんな揺らぎのなかで、模索するように音を鳴らしているバンドに見えた。

良く言えば、振り幅が大きく柔軟に対応できるバンドと言えるかのもしれないし、悪く言えば八方美人なバンドのように見えたのだ。

そんななか、個人的にもっともグッときていたのはヒジカタの声。

ヒジカタの声って唯一無二というか、他のバンドじゃ替えがきかない要素をたくさん持っているなーと感じていて。

それこそ、昨年の802のキャンペーンソングで終結して「栞」という名作を生み出した、名だたるバンドボーカル陣と同じ匂いを感じさせる、そういう類のボーカルであるように感じていた。

良い意味でクセが強くて、そのクセが良い意味で癖になる。そういうタイプのボーカル。

それが僕の持っていたドアラの印象。

だから、ドアラにはすんごく大きな肩入れはしているわけではないけれど、こっそりと注目はしている。

そんな立ち位置のバンドだった。

好きか嫌いかを問われたら「普通」と答える。

けれど、それは単なる「普通」ではない。そんな不思議なバンドだった。

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音が気持ちに追いついた

なんでドアラのライブがすんげえ良かったと感じたかといえば。

MCが上手くなって魅せ方がカッコよくなったとか、剥き出しの言葉が胸に刺さったとか。

色々言えることはあるんだけど、一番大きく感じたのは、これだった。

音が気持ちに追いついた。

ボーカルがビックマウスのバンドって、多かれ少なかれリスクがあって、端的に言えば「偉そうなことを言うわりには大したことねえじゃねえか」というツッコミを受けることだと思うのだ。

ぶっちゃけ、ドアラにもそういう要素があったし、ドアラが出てきた当初なら[ALEXANDROS]([Champagne])も、わりとそういう空気の中にいた気がする。

でも、ドロスなんて、いつのまにかそういう大言壮語がとても似合うバンドになった。

なぜなら、音が気持ちに追いついたから。

要は、大きなことを言っても説得力のあるカッコいい音を鳴らし、ツッコミなんてさせないような隙のないライブを行うようになった、ということである。

最近のドアラのライブには、同じような説得力を感じる。

単純にライブが良くなったとか、演奏が上手くなったとか、そういうレベルの話じゃない。

どれだけ大言壮語なMCをしても、この音を鳴らせる今のドアラなら、きっとやってくれる、そう信じられる音を鳴らしていたのだ。

なぜ、そうなったのか?

別にインタビューをしたわけでもないから実際のところはわからないけれど、きっと(音に対して)余計なことを考えなくなった、というのはあると思う。

シーンに媚びるならこうあるべきとか、でも自分のやりたいことはこれとこれで……とか、そういう観ている人からすればどうでもいいことは、もうどこかに置いてきたような、そんなライブをしているように見えた。

覚悟を決めて、音を鳴らしているように見えた。

自分がやりたいことに対して、徹底的にコミットメントしているように見えた。

まとめ

だから、2019年、ドアラは飛躍する。

僕はそう思う。

もちろん、わかりやすく数字に表れて、ドカーンとなるのかはまだわからない。

そんな簡単なものでもないからだ。

けれど。

ドアラのライブを目撃した人は、絶対に思うはずだ。

あ、このバンドはやべえぞ、って

あるいは、最近はドアラから離れていた人も、今のドアラのライブを観ればきっとこう思うはずだ。

あれ?今のドアラ、めちゃくちゃかっこいいじゃん、と。

バンドが面白いのは、気持ちと音の繋がりが、思いのほか鮮明に見えるところだ。

だからバンド側が「本気」になれば、それは音にも、ライブにも反映するし、不思議と観ている人にもそれは伝染していく。

そう。僕も伝染したクチなのだ。

だからこそ。

2019年、ドラマチックアラスカに、僕は期待する。

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