以前、質問箱を読んでいると、ニコ動出身のバンドについての記事を読んでみたいという質問があったので、リクエストもらったし書いてみるかーって思った。

[ad]

でも、どういう切り口で書けばいいんだろう。

ふと戸惑う自分。

いやーね、まとめサイトのようにずらーっとボカロ出自のバンドを並べてもいいかなーと思ったけれど、それだけじゃ面白くないというか、あまりにも芸がないというか。

だってさ、ボカロ界隈で最大の出世頭は米津玄師なんですぜ!!!!!

な〜んて話を書いてもさ、スイカって実は果物じゃなくて野菜なんだぜ?ってくらい、今更それ言われても・・・な話だと思うんですよね。

わざわざ僕のブログを読んでくれるような物好きなら、ハチ=米津玄師くらいは知っているだろうし、有名なボカロ出自のバンドを並べてみても「知ってるよ」って話にしかならないと思うんですよ。

であれば。

もう少し、過去に遡って、自分とニコニコ動画と音楽の関わりがどうだったかなーというところから考えてみたいなーと思うわけです。

[ad]

昔、これにハマってたな・・・

最初にハマっていたのは、これ!!!ってほど鮮明な記憶はもうないんだけど、当時ニコニコ動画でよく聴いていた音楽の一つがこれだった。

皆さん、知ってますか?

カプコンの『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』に登場する、ボスキャラクターの「エアーマン」をテーマにしたこの曲。

元々はMIDIによる打ち込みで、ボーカルレスのバージョンが公開されていたんだけど、Team.ねこかん[猫]って同人音楽ユニットが編曲して歌い上げたものが公開されると、これが死ぬほどバズるっていう流れ。

上記動画は、まさしくねこかんverなんだけど、当時の僕もこの歌、めっちゃ聴いたんですよ。

中毒性のある曲で、カラオケなんかに果敢に挑んで死亡した記憶がある。

ちなみにこの歌、歌詞はロックマン2の世界観を歌ったものなんだけど、作詞・作曲自体はオリジナルである。

そんなロックマンブームの流れにあやかってもう一つ、こんな名曲が生まれた。

『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』の「ワイリーステージ1」のBGM「Dr.WILY STAGE 1」に歌詞をつけたこの歌。

作詞は不詳のままディスク化されたこの歌は、00年代のネット集合知を結集した名作の一つだなーと改めて感じる。

今ってさ、良くも悪くも権利にうるさいし、叩きがちな世の中になっていて、それ自体は然るべき流れだと思うんだけど、ネットが混沌としている時はグレーな流れのなかで、こんなすげえものも生まれてたんだぜ?という話はしてもいいのかなーなんて思う。

ちなみに、この歌自体は他のボーカルverもあるんだけど、個人的にはロックアレンジを施したこのゴムverが、一番グッとくる。

懸命な歌声で、センチメンタルは歌詞を歌いきってみせるそのサマがグッとくるのである。

他にも、グレーな権利のまま、色んな名曲が生まれたのだった。

で、基本的にどの歌にも共通しているのが、いろんなクリエイターがそれぞれのアイデアを持ち寄ることで、大きな盛り上がりを生んだってこと。

これって今の洋楽のシーンに近いものがあると思うんだけど、一人のアーティストが作家性を発揮して、奥深い作品を生むのではなく、色んな人たちが多少グレーでもいいから思いつきのままに「勝手に」アイデアを付け足して行って、なんかよくわからん熱量の音楽を生み出した、っていう流れがあったのだ。

売れるとか儲けるとかとは違った熱狂が、このシーンにはあったわけだ。

当時のボカロは、そういう流れの中にあった。

この歌は、そんな流れのなかで生まれた歌の一つだと思う。

今でこそボカロって「P」の言葉が使われるように、作家性のある人が作家性を表現するためのツールとして、「演奏する」とか「歌う」とかと同じ流れの中で、ボカロを扱うことが増えてきたように思うけれど、当時のボカロはもう少し混沌としたものがあった。

特に「みくみくにしてあげる♪【してやんよ】」はボカロというよりは、初音ミクという仮想の女性キャラクターが「歌っている」という設定が重要であって、誰が作るかとか、その作り手の作家性とかは二の次だったように思うわけだ。

むしろ、一つの作品をベースにして、そこからさらに新たな二次創作が生まれる、そういうカオスさというか、混沌とした面白さみたいなものがあったのだ。

少なくとも、今のボカロとはまた違う熱狂があった。

ただ、たくさんのボカロ作品が投稿されるに従って、人気動画を投稿するアーティストが特定の人物になっていき、やがて、そこに作家性というものが見えてくるようになる。

supercell(ryo)はその代表であろう。

もし、ニコ動出身バンドとか、ボカロ音楽の歴史を考えるとして、ものすごく重要になる作品はこの「メルト」だと思う。

この作品で、ボカロのあり方は大きく変わったし、ボカロPという存在の認知度も大きく変わったのではないかと思う。

ロック史で言えば、Nirvanaの「Smells Like Teen Spirit」くらいの革命を与えた歌だと思う。

ボカロってポップスも作れるんだ!というのが、この歌が生み出した革命だと思うし、ここからボカロ作品は初音ミクというキャラクターを愛でるという流れから、ボカロを「ツール」にして、色々なクリエイティブにチャレンジしたり、物語を語る「語り部」として初音ミクを扱う、という流れが生まれるようになる。

ヒトリエとして活動しているWOWAKAや、米津玄師としてスターダムに上り詰めたハチだって、この流れがあったから出てきた人だと思うし。

2010年前後、彼らのようなボカロPの躍進によって、「P」の存在がとても重宝されるようになるとともに、初期のニコニコ動画にあったような、匿名の人間による集合知からのビックバン発生という流れは少なくなってきて、特定の名前を持つ人たちが、作家性を発揮して作品を作る、という流れが明確になる。

そして、そういう指向性を持った人がメインで活動するようになったからこそ、この辺りで出てきた人たちの多くはメジャーデビューを果たし、違う舞台で活躍するようになったのかなーなんて、改めて思ったりする。

とはいえ。

ニコ動と音楽の関係性と一口に言っても、色々な切り口がある。

簡単に分類するだけでも「ボカロ界隈」「歌ってみた界隈」、あるいはkemuとして活動していたPENGUIN RESEARCHの堀江晶太のようなタイプもいるし、きゃりーぱみゅぱみゅやぼくりりみたいなタイプも含んで語り出せば、さらに話は大きいものになる。

まふまふと神様、僕は気づいてしまったの関係性なんかも組み込めるし、考えただけで、こんなまとめられんって感じになってくる。

まとめ

というわけで、この記事では昔のニコニコ動画で盛り上がった音楽作品って色々あったし、そういう土台があったからこそ、今のボカロ出自のバンド・アーティストは生まれたし、全ては全て繋がっているんだなーという話に留めておきたいと思う。

で、もし、この記事の反応が奇跡的に良ければ、この記事の続きのような記事を書いてみたいなーと思う。まあ、反応があれば、の話ですが。

反応なかったら、その時はワンオクのアルバムレビューでも書こうと思います。

では、その時まで。

ではではではでは。

関連記事:ヒトリエを「ボカロバンド」なんて言う奴を殴るための記事!

関連記事:ボカロとか歌い手シーンって重要になっているよなーという記事

[ad]

LINEで送る
Pocket