ヤバイTシャツ屋さんの 「ヤバみ」の歌詞の意味は? 解釈と考察!

ヤバイTシャツ屋さんの「ヤバみ」の歌詞の意味は?解釈と考察!エモみとヤバみの違いについて。

ヤバイTシャツ屋さんの「ヤバみ」の歌詞について書いてみたい。

作詞:こやまたくや

ちなみにこんな歌なので、知らない人は軽く聴いてみてください。

さて、歌詞をみていこう。

If you were sniff up a pinch of salt
with the straw, you would cough pretty badly

いきなり英語である。

歌詞の意味を考える前に和訳する必要がある。

ワンフレーズずつみていくと、最初のフレーズは仮定法を用いてることがわかる。

「sniff up」とは鼻から吸うという意味になる。

「pinch of salt」は一つまみの塩という意味である。

with the strawとあるから、ストローで、という意味になる。

coughは咳き込むという意味で、prettyとbadlyはそれを強調している副詞である。

つまり、並べると、もし仮に鼻から塩をストローで吸ったら、めっちゃ咳き込むで?みたいな意味になる。

当たり前のことを英語で言うことでカッコよくしている。

After you spilled spirytus
on the floor, you light a lighter there.

「spirytus」とはめっちゃアルコール度数の高いスピリタスというお酒のことである。

「spilled」はspillの過去形であり、溢したとか撒き散らしたとかそんな意味になる。

また、ここの「light」は動詞で、「火をつける」という意味で使われている。

つまり、床にスピリタス溢した後、あなたはそこでライターに火をつけた、みたいな意味になる。

なんか映画のワンシーンっぽい描写。

かっこいい。

You burst out grilling a saury on campus,
causing quite a commotion.

burst outは後ろのingに修飾して突然〜しだす、という意味になる。

grillは焼くという意味で、sauryはサンマという意味である。

campusは大学構内で、という意味だ。

causing quite a commotionは騒ぎをおこすというイディオムである。

つまり、あなたは突然大学構内でサンマを焼き出したので、構内が騒ぎになっている、という感じの意味になる。

If you were sniff up a pinch of salt
with the straw, you would cough pretty badly.

これは一度出てきた文章である。

飛ばそう。

You cannot tell good from evil.

tell A from B はAとBを区別するというイディオムである。

あなたは善悪の区別がつかないのか、といっているのだ。

Are you insane? I can’t even…
Dilute the spirytus with water.

insaneは正気とは思えない、という意味であり、お前は正気か?俺は理解できない、みたいな文章になる。

diluteはAを薄めるという意味である。

動詞が頭にきてるので、これは命令文であり、水でスピリタスを薄めろ!と命令してるのだ。

だって、スピリタスはアルコール度数97%である。

ライターで着火するときでも、そのまま飲むときでも、そのままにしておくのは危険な代物なのだ。

いっぱい英語で歌ってみたけど
あんまり意味ないよ

うむむむ。

この英詞はどういう意味なのか深読みさせるまもなく、アーティスト側から「意味ないよ」という予防線をはるのがヤバTらしい。

ボケたらすぐ突っ込むのが、ヤバTの基本戦術だ。

冒頭を英語の歌詞にして、めちゃくちゃかっこいい感じにしたうえで「歌詞はそんなに意味ないんやで?」と返す、そのひねくれたノリを前面に出しているように見える。

実にヤバTらしい。

ちなみに冒頭の英詞はちゃんと「ヤバイ奴」、つまり「ヤバみ」について書いてるわけで、まったくタイトルと関連性のない意味のないフレーズである、というわけでもない辺りも実に秀逸。

ヤバみバみ〜follow me

ここのフレーズは一旦スルーする。

歌詞の続きをみてみよう。

日本語の〜に歌ってね

邦ロックリスナーは英詞の歌もそれなりに聞くわけだが、ほとんどの人はそこに何が書かれているか、どんなメッセージを伝えようとしてるかなんて気にしない。

日本語歌詞であったとしても、その歌詞の意味なんて気にしないことの方が多いだろう。

つまり、メロディーが良くて、フェスとかライブで盛り上がれそうな感じの歌であれば、あとはどうでもいい、という聴かれ方もあるわけだ。

音楽なんてBGMと歌ってみせたのは「ビビった」リリース時のキュウソネコカミであったが、アーティストを無視して、サークルを作って身内でワイワイするなんて、まさしくそういうことである。

そのことを、自虐を交えつつ描いているようにも聴こえる。

どうせ音楽なんてテキトーにしか消費されないんだから、作る側も「テキトー」でいいっしょ、みたいなある種の投げやり感。

どうしようもないから、とりあえず俺たちはそのトレンドにのっかるわ、そっちの方が賢いやろし、人気出るんでしょ的なある種の諦念。

バンドなんて、もはやCDを売るよりもシャツをはじめとするグッズでお金を稼ぐTシャツ屋さんみたいなもんでしょ、と風刺を込めたように見えてしまうバンド名のヤバT。

ヤバTは意識的であれ無意識的であれ、風刺性の高いことをいつもさらっと言いのける。

この辺が、実は彼らの本当の「ヤバみ」だったりする。

ヤバみバ〜follow me

この歌の言う、本当に言いたいこととは何だろうか?

「don’t follow me」とは付いてこないで、という意味になるが、ヤバTに付いていく先にどんな未来が見えるのだろうか?

「歌詞に〜ちゃってんの

ヤバTだって、まもなくアラサーである。

ぶっちゃけ、10代が盛り上がっているものに対して理解できない部分も絶対にあると思う。

「英語の歌詞をめっちゃかっこよく歌ってるのに、そこに意味が全くない」というボケを先にかまし、「ボケなんやで!」感を前面に出して笑いを取りつつ、その裏に、今の受け取られ方への戸惑いのようなものも滲んでいる気がする。

ピエロであり続けるうちに、本当の「面白い」が何なのかさえ揺らいでいく感じがある。

だからこそ、この曲では、その現象すべてを「ヤバイ」でひとまず受け止めてしまう態度が前に出ているように思える。

「ヤバイ」って言っておけば、お互いを完全には理解できなくても、なんとなく世代をまたぐコミュニケーションが成立してしまう。そんな感覚を掴んでいるのかもしれない。

だから、彼らは「ヤバみ」という言葉をフィーチャーする。

とりあえず「ヤバイ」という、広い意味に落とし込める言葉を使って距離を測るしかない。そんな世代間のもどかしさも、この曲には滲んでいる。(だって、本当のところは簡単には理解しきれないから)

そんな複雑な心境が次のフレーズに凝縮されている。

ヤバみ 恨み つらみ follow me…

自分の意図しないところでウケるって「つらみ」なんだと思う。

それでも、もっとチヤホヤされたし売れたいしバンドを続けたい願望はあるから、ちゃんと理解できなくても、してもらえなくても「follow me」はしてほしいと願うわけだ。

賢くないふりをしながら、若者カルチャーを少し引いた距離から眺め、その感触をしれっと歌詞に反映させるところにヤバTの「賢さ」があるのだと思う。

とはいえ、「ヤバTってノリが軽いから好き!」って奴にもフォローミーしてほしいから、わけのわからんフレーズを入れながら、わけのわかるフレーズも入れて、色々とお茶を濁しながら、メロディーに言葉をのせるのである。

そんな居た堪れない思いこそが、この歌で伝えたい本当の思いなのかもしれない。

そう考えると、この歌は「ヤバみ」ではなく「エモみ」なのかなーと思ったり思わなかったり。