不安な時代に、ライブやフェスとどう向き合うか
SNSを開けば、辛辣なニュースや不穏な話題が次から次へと飛び込んでくる昨今。知らず知らずのうちに心が削られて、けっこう”くらっている”人もそれなりにいるんじゃないかなーと思っている。色んな意味で、能天気に趣味を享楽できたあの頃に想いを馳せる人も、きっと少なくない。
GWの頃にはどうなっているんだろう。
夏のシーズンの頃にはどうなっているんだろう。
来年の今頃はどうなっているんだろう。
音楽が趣味の人というのは、もともとライブやフェスの予定で先の未来を考える習慣がある。「◯月の△△のチケット取れたから、それまで仕事頑張ろう」みたいに、楽しみな予定を旗印にして日々を乗り切っていく、あの感覚である。チケットの発券日をカレンダーに書き込んで、物販の予算を逆算して、遠征の宿を早めに押さえる――そうやって少し先の未来に小さな楽しみを仕込んでおくのが、音楽好きの生存戦略でもあったはずだ。
ところが、最近はちょっと違う。
「そもそも普通に暮らせているんだろうか」という、もっと地に足のついた不安で未来を考えるケースが増えてきた気がする。楽しみを前提に未来を描くことが、以前よりちょっとだけ難しくなっている感覚が、確かにある。
そして人によっては、フェスやライブに対する温度感にも少なからず影響が出ている。チケット争奪戦への熱量、遠征の頻度、物販に落とす金額。一つひとつを以前と同じテンションで続けるのが、少しずつしんどくなってきている人も、きっといる。好きな気持ちはそのままでも、生活の重心がちょっとずつズレていく感じ、と言えばいいだろうか。
近いところだと、コロナ禍のとき、社会の変化によってライブやフェスは大きな影響を受けた。公演が飛び、フェスが中止になり、声を出すことすら制限される――あの数年間の苦しさを、音楽好きなら誰もが覚えているはずだ。今起きていることはあのときとケースこそ違うけれど、外側の事情で自分の身近なライブやフェスにも影響が出るかもしれない、という意味では、どこか似た構造の不安を孕んでいる。
考えないといけないことは、きっと以前よりも多くなったはずだ。本当の意味での無関心ではいられなくなった事柄もきっと多くなったはずだ(どのトピックに、どういう考えをもっているのかは人それぞれあるのが前提のうえで、だ)。でも、それと並行して、健気に生きるべき日々の生活もあるし、音楽と触れ合う時間だって同じラインの中で末永く続いているように思う。
だからこそ、変えるべき部分は変えつつも、大切にするべき部分はこれまでどおり継続する姿勢もまた、大切なんだろうなーと思うわけだ。
「行きたい」と心から思った一本には、迷わず手を伸ばしておく。次があると思っていたものがある日ふっと消えてしまう経験を、僕らはすでに一度しているからこそ。行く予定になっているもの、行きたいと思って今予定に加えているものがあるならば、目の前のライブ一本、フェスの一日を、しっかり参加して、ちゃんと噛み締めていくような、そんなスタンス。
肯定して大切にするべき時間は大切にしていきつつも、目配りするべきトピックについてはちゃんと受け止めながら、必要と思うアクションをちゃんとしていくようなそんな覚悟をもって。
絶妙なバランスで、今の暮らしがあるように思うからこそ、ふとそんなことを思った、そんなことを思った一日だった。

