前説
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語弊がある言い方かもしれないが、音楽に「オシャレさ」を求めている層は、一定数いるような気がするのだ。
iPhoneやTENGAが売れているのは、機能性とか能力よりも、まずは見た目だと思う。
ビジュアルが放つ圧倒的なオシャレな存在感。
そこに魅了されるのと同様に、音楽でもそういう「オシャレな部分」を魅力を感じる層って一定数いるのかなーと思っていて。
で、そういう層が一定数いたからこそ、Suchmosの「STAY TUNE」は大きなヒットを飛ばしたのだろうし、その音楽性と親和性があるバンドが続けてヒットを飛ばしていった流れもあるかと思うのだ。
さて、音楽メディアなどはこの手の音楽に「シティーポップ」というカテゴライズをすることで、ひとつの音楽のトレンドとして語ってみせたりした。
まあ、こういうまとめ方が良いか悪いかは置いといて、少なくとも特定の聴き手は「オシャレ系」というざっくりとしたカテゴライズの中で、その音楽を選択し、聴いていた節は否めないと思っている。
そして、元々オシャレ系と言われていた人たちの多くは、そもそも売れるために「オシャレ系」になっていたわけではないから、早々とそのステージから去ることになる。
そのアーティストごとに新たなモードとなる音を鳴らすことを選択していったわけだ。
今の自分たちのモードはこんな感じだけど、あなたたちはどんな感じですか?と問いかけるように、周到に自分たちの音楽性を変えてみせる。
件のSuchmosはその代表例である。
ここで困るのは、オシャレ系を求めて、そういうバンドを聴いていたリスナーである。
好きなアーティストが自分の好みではないサウンドに変化したのだとしたら、そりゃあ困る。
当たり前な話だ。
オシャレ系を求める困窮したリスナーは、やがて新たに自分たちのニーズを満たすアーティストと出会うことになる。
それがSIRUPなのではないか?という仮説である。
SIRUPの登場
SIRUPは元々別のアーティスト名で2012年には音源をリリースするなど、既に長いキャリアを誇っている。
そのため、ブームに載っかったポッと出で現れたアーティストではないことだけは先に述べておきたい。
ただ、リスナーの求めているニーズとSIRUPの音楽性がマッチしたからこそ、ここにきてブレイクを果たした事実はあると思うのだ。
「LOOP」に至っては1000万再生に迫るような勢いである。
もちろんタイアップとかがあって見つかったからこそのブレイクだとは思う。
けれど、見つかった途端、ブレイクするということは、それだけこういう音楽を待ち望んでいたとも言えるわけで。
とはいえ、オシャレな雰囲気の楽曲ならヒットするというほどこの世は単純ではないし、ブラック・ミュージックがルーツでも「売れる」という意味では、まだまだなアーティストなんかたくさんいる。
そんな中で、なぜSIRUPはここまで圧倒的な人気を勝ち取るようになったのか?
この部分はもう少し考えてみる必要があるのかもしれない。
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SIRUPの何がいいんだろう?
まずは、箇条書きにして考えてみた。
・日本語と英語の混ぜ方が絶妙
・低音が強調して聞こえるようなサウンドメイク
・リズム感を出して歌うサマが絶妙
・ちょっとジャルジャル後藤に似ている顔
こんな感じだろうか?
もうちょっとしっかり考えてみる
オシャレ系と括られても売れる人と売れない人の差としてあるのは、リズムのアプローチだと思っていて。
リズムの刻み方が慣れ親しんだそれではなくて、妙にポリリズムだったり、揺らぎを強調するようなリズムアプローチだと、ノリ方がわからなくて、ブレイクというラインでは難しくなるのかなーと思うのだ。
でも、SIRUPの歌ってノリやすい。
別にSIRUPの歌はベタなリズムというわけではないんだけど、なんかノリやすい。
だから、ヘビロテで聴きたくなるのだと思う。
なぜノリやすいのだろう?
理由は色々あるんだろうけど、例えば、全体は日本語歌詞なのに、フレーズの末尾が英語なのもノリやすさに拍車をかけているだろうし、サビではきちんと打楽器が全面に出てきて、わかりやすいリズムアプローチをしてくれるのも、ノリやすさに影響を与えていると思う。
あとは、メロディーの口ずさみやすさも大きいと思う。
メロ部分はヒップホップ的なボーカルを披露しつつも、サビでは和製R&B的な表情を見せて、わかりやすいメロウなメロディーを歌いきってみせる。
その使い分けが明白なために、ノリやすさを生み出しているのかなーと思ったりしている。
まとめ
ただ一番強いのはボーカルの上手さかなーとは思っていて。
オシャレ系の人って偏差値の高そうな音楽を作るんだけど、ボーカルの声がちょっとか細くて、パワフルさとかダイナミックさは欠けていることが往々にしてある。
けれど、SIRUPはめっちゃ歌が上手い。
声量もあるし、声に伸びもあるし、リズム感がめっちゃ良いし。
だから、楽曲の全体の印象として、単にサウンドがオシャレだなー以上の印象を与えるのだ。
メロディーが残るし、ボーカルの声が残る。
このボーカルの強さが、よくあるオシャレ系との圧倒的な違いなのかなーと思うのだ。
ギターの音にそこまで頼っていないサウンドメイクも、バンドのオシャレ系との違いとは思うけれど、まあ、なんにせよ、良い楽曲が多いのだ、SIRUPには。
というわけで、まだSIRUPを聴いていないという人は、ぜひこのタイミングで聴いてみてほしいという、ただそれだけの話。
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