前説

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最近、millennium paradeの「2992」を聴いている。

いや、ほんと、この曲、めっちゃ良いなあと思っていて。

millennium paradeらしいアプローチと構築方法を無数に感じさせる一曲となっている。

端的に言えば、日本のヒットチャートを賑わす歌もの楽曲とは違う美学で紡がれていることを感じさせるのだ。

では、ここでいう美学とは一体何なのか。

この記事では、そのことについて、自分の所感を簡単に書いていきたい。

本編

かっこいいサウンド

https://youtu.be/wkEkkV9XX3s

この歌はゴリゴリに荒ぶったベース音から歌が始まる。

ここまで長い尺でベース音がメインを飾るイントロもそうはないと思う。

この荒ぶるベース音がかっこよくて、まずそこに心を打ち抜かれる。

で。

Aメロが始まってもこのゴリゴリのベース音が続いていくわけだけど、ここからの変化もこの歌の聴きどころとなっている。

冒頭からゴリゴリのベース音が響いているからこそ、さらにロック色の強いバンドサウンドが展開されるのかと思ったら、次に存在感を際立たせるのはオーケストラの音なのだ。

ここが「おっ!」とさせるポイントなんだけど、このオーケストラの鳴らし方も絶妙で。

というのも、いわゆるJ-POPに入りそうなオーケストラの音ではなく、クラシックコンサートで鳴り響きそうなタイプのオーケストラの音が響くのだ。

オーケストラ自身がメロディーを奏でるタイプのサウンド、とでもいえばいいだろうか。

躍動するバンドサウンドと、秩序だったオーケストラが未知なる融合を果たすのである。

ボーカルが始まるまでの流れでいくつものゾクゾクポイントを提示する。

この融合のあり方は常田だからこそのアプローチだと感じさせるとともに、それぞれのプレイヤーの凄さも際立つような流れとなっている。

妥協なきそれぞれのサウンドが混ざり合うことで、他の楽曲にはない高揚感を生み出していくのだ。

また、打楽器の音をひとつとってもその響き方が絶妙である。

楽曲のラストの花火のようなSEに触れるまでもなく、それぞれの楽器がそこで輝くための然るべき音色で音を鳴らしている印象を受けるのだ。

ベースの音も、ドラムの音も、弦楽器も、鍵盤もすべて、音色ひとつひとつにこだわりを魅せている。

だからこそ、聴き進めたら聴き進めるほどに音楽の世界にのめり込んでいく。

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ボーカルの存在感

ただし。

単純にサウンドが攻め攻めの歌というわけでもない。

「楽器」だけが主役になっている音楽というわけでもないのだ。

というのも、きっちりとボーカルも存在感を示していて、歌の存在感もちゃんと際立つような構成となっている。

聴いてもらったらわかるけれど、ボーカルのメロディーラインにもぐっと引き込まれる魅力がはらんでいる。

ただ、ここでポイントを挙げるとすれば、歌が主役のうえでサウンドが鳴り響いているという感じではないということ。

サウンドとボーカルが共犯関係になって、楽曲の世界観を作っているような印象を受けるのだ。

だから、ある意味でボーカルを立たせるだけでも成立するような歌にもなっているし、サウンドだけでも成立するような歌になっている。

なのに、この歌はその両方を立たせたうえで、融合させて新たな美学を生み出すのである。

この辺りにmillennium paradeの真骨頂のようなものを感じる。

とともに、millennium paradeの「2992」が他の楽曲とは違う印象を与えている要因のひとつになっているように感じる。

ただ、聴きながら思うのは、この歌ってかなり情報量が多い構成となっているということ。

きっと数曲分の密度と情報量をこの歌は持っているように感じる。

んだけど、歌全体を見回してみると、過不足がないように感じるのだ。

というよりも、聴き終わったあと、一切疲れを感じさせないのである。

これってかなり凄いことだと思っていて。

こういう情報過多な歌かつある種の芸術性が強いものだとひとたび耳に入れると、それを享受するのに神経をつかってどっと疲れることだってありえると思うのだ。

でも、この歌にはそういうイヤな後味が残らない。

何なら歌が終わったらもう一度聴きたくなるような魅力をはらんでいるのである。

きっとこれって、ただ単にそれぞれのパートがブイブイいわせるのではなく、最終的な地点で常田という指揮者が全体をコントロールしていき、ひとつの楽曲にまとめあげるからこその快楽のように感じる。

この辺りも、millennium paradeだからこそ為せる技だよなーと改めて思うのである。

まとめ

で、millennium paradeの場合、ライブだとここにさらに視覚的なエッセンスもたぶんに放り込んでくるというのだから恐ろしい。

とともに、ぜひ一度ライブに観たいよなーと思わずにいられなくなってしまう。

なんにせよ、millennium paradeの「2992」はすごく面白い作品である。

他の音楽にはないワクワクと美しさが詰まった一曲である。

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