おっさんバンドは軒並みセールスを落としているし、ファンの数も減らしているように感じる。

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もちろん、これには色んな理由があるけれど、特に大きいのはファンの年齢層が上がっているからだと思う。

当たり前だが、バンドが歳をとるとともにファンも歳をとるわけで、昔は足繁くライブハウスに通ってくれていたファンも生活が変わってライブハウスに行くのが難しくなったり、そもそも音楽に対する関心が薄れていくこともよくある話。

だから、バンドがある程度人気を保つためには、初期のファン層よりも下の世代に関心を持ってもらえるようなパフォーマンスをしなければならず、何かしらの「転向」が必要となる。

それができなければ、そのバンドは消えてしまう運命になりがち。

ましてや、産休なんかで一年くらいお休みをしたとなければ、なおのこと影が薄くなってしまうものである。

が。

ホルモンだけは違う。

大きく路線を変えたわけでもなければ、産休をしてお休みをしていたにも関わらず、未だにその存在感は不動のものになっている。

マンウィズのように被り物を被ることもなければ、BUMPのように「あざとさ」を増すような転向をしたわけでもないのに。

なぜホルモンは人気であり続けるのか?

この記事ではそれについて考えてみたい。

そもそもホルモンのファン層はどういうものか?

それについて考えていくために、まずはホルモンのファン層について考えてみたい。

ここでいうファン層とは、いわゆる腹ペコ諸氏というよりも、もう少し幅広く「ホルモンの音楽・ライブに対して好意的な人間」というニュアンスで考えてみたい。

それくらいのサイズ感でホルモンファンを捉えてみると、意外とホルモンファンってその辺の邦ロックバンドのファンよりも層が多いと思われる。

いわゆるロキノン系な人たちだけでなく、DQNなんかにも支持されているというか。

例えば、もし人間のカテゴリーを

不良
ヤンキー系・ギャル系
イキリ系・ウェイ系
ライトサブカル・文化系
陰キャラ
オタク

に分類したとしても、ホルモンは全ての層をカバーできる程度には、広い層に支持されていたように思うのだ。

例えば、普段はORANGE RANGEとかケツメイシしか聴かないようなタイプの人にも、加瀬亮とかマッシュ系男子とかがタイプの女子にも、内向的なロックが好きな陰キャラにもちゃんと聴かれていたというか。

少なくとも、認知度だけで言えば、ホルモンはずば抜けていたように思う。

なんで幅広い層に支持されたのか?

そうなると、気になるのがなぜここまで広い層にウケたのか?ということである。

これは幾つかポイントがあると思われるので、ひとつひとつ考えてみよう。

①カッコいいし、他のバンドじゃ補完できないから

やっぱりホルモンの音楽って唯一無二感がある。

メロディーにしろ歌詞にしろサウンドにしろユーモアセンスにしろ。

3人のボーカルという部分でも他を追随しているところがあるし。

だってホルモンの音楽を端的に説明したらこういう言い回しになる。

日本語を独自の語感表現で操り、激しいラウドロックにポップなメロディを融合させたバンド。

いや、こんなバンド他にいないでしょ?って話で。

ラウドなのにポップだから、音楽的ミーハーでも聴きやすかったりするし、デスボがいるからやたらとみんなカラオケで歌いたがって、結果、DQN層にも普及した感あるし。

ほんと実際問題、ウェイ系にも広く聴かれるようになったきっかけとして、デスボをマネしたいがためにカラオケでたくさん歌われたことは大きいんじゃないかと思っていて。

僕が大学生くらいのときはウェイウェイ勢と酒を飲んでからカラオケに行くと、絶対に一人はカラオケでホルモンを入れるやつがいて、「おれ、ホルモン、カッコよく歌えるんだぜ?」感を出しながら微妙な声量でデスボかましたりしたものである。

で、下手くそなカラオケボーカルでもホルモンの楽曲が流れれば、他のミーハー層・ウェイ層の耳にもホルモンの楽曲が入るわけだ。

そして、ウェイ系ニワカは実感する。

このバンド、普通のバンドとメロディもサウンドも歌詞も全然違うぞ、と。

マジメに歌詞を追っていなくても「なんじゃこりゃあ!?」って意識せざるを得ないフレーズの集積。

単なる英詞だったらスルーされていたかもしれないけれど、ホルモンは日本語を自由自在に扱って複雑なメロディに載っけるから、学生なんかはそういうところにもかっこよさを感じたんじゃないかなーと思ったりして。

カラオケきっかけでホルモンを知り、音源聴いたらさらに良くてびっくりしたみたいな人、けっこういると思うのだ。

そういう広がり方もあって、幅広い層に需要されたのかなーと思ったりして。

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②MCも面白いし、ユーモアセンスもある。

ホルモンが、単なる怖いニーチャンネーチャンがやってる荒々しいバンドなのだとしたら、そんなに人気は出なかったと思う。

けれど、ホルモン(特に亮君)はユーモアセンスがバツグンで、Twitterやインスタなんかの発信の仕方を見ただけでもそのユーモアセンスがよくわかると思う。

ライブでもマンガネタを中心としながら「楽しませること」「笑わせること」を忘れずにライブを披露するから、本当ならラウド系は苦手って人でもホルモンだけは好意的な人が多かったりする。

卓越したユーモアセンスがあるからこそ、ホルモンはより「独自性の強いバンド」になったと言えるだろうし、それをひとつの引っかかりとして、ホルモンが好きになったという人は多いと思うのだ。

以前リリースされた映像作品「Deka Vs Deka~デカ対デカ~」なんかは、エグすぎるユーモアが凝縮したような作品だったし、ひとつひとつのユーモアさえも妥協という字を見せないところがホルモンの面白さであり、かっこよさなわけで。

結果、たくさんの人を魅了することになったのかなーと。

③ファンが腹ペコだから

前述した通り、ファンの年齢層が高くなると、キッズ時代と違って「なんでもかんでもライブに行く」ということはしなくなる。

けれど、一度沼にハマった人間は、まったくライブに行かなくなるということはやはり少なくて、本当に好きなバンドの行きたい公演だけ絞って、狙って行くことが多い。

追っかけも遠征もできないからこそ、行きたいものにだけ絞り、命をかけるわけだ。

で、ホルモンのライブを「命をかけてでも行きたいライブ」にしている人がけっこう多い。

他のバンドのファン数は減ったとしてもホルモンのファンだけは減らないのは、このことも大きいように思う。

で、ここからさらなる循環が生まれる。

初期のファンが減らないということは、ライブの倍率が上がるわけだ。

そうなると、ワンマンには行けない人も出てくる。

当然、その人は悔しい思いをする。

せめてもの鬱憤を晴らすべく、彼らが出演するフェスだけでは全力で楽しみたいという気持ちが強くなる。

そんな人間が集まれば、彼らが出演するフェスのステージの熱量は並々ならぬものになる。

その熱量をみて、ファンと呼ぶほどでない人もそこに引き込まれる→さらにファンが増える→ライブの倍率が上がる……という良い循環が生まれるわけだ。

逆に人気がなくなっていくバンドはその逆パターンが起こりがちだったりするわけだけども。

ホルモンのライブのエネルギーが落ちないのは、こういうことも起因しているのかなーと思ったりして。

④哲学が一貫している。

ホルモンは変に見栄を張らなければ、変に媚を売るマネをしない。

しかも、音楽でモテたいみたいな欲も一切ない。

純粋に、音楽を通して「人を楽しませたい」。

その想いだけがひしひしと伝わるのだ。

彼らはその哲学を通底して楽曲を作るし、パフォーマンスもするし、SNSで発信したりする。

脇道に逸れることはない。

その哲学ありきで、全ての行動を選択するわけだ。

言葉を選ばずに言うならば、ホルモンは意識が高いわけだ。だから、ファンはホルモンのことを信用するし、離れることもそうそうないわけだ。

もちろん、ただ面白いだけじゃなくて感動されるって要素もあるし、復興支援の力の入れ方にもブレなさがある。

哲学がしっかりしているから、どれだけ年を経てもバンドが強いし、魅了に満ち溢れるのかなーと思ったりする。

まとめ

だから、ホルモンは幅広い層に支持される。

もちろん、演奏が上手いとかメロディが良いのは言うまでもないことなので、この記事ではそれをあえて割愛した。

ここで言えるのは、根強いファンが多いからこそ彼らは長く支持されているし、未だにシーンに強い影響を与えているということ。

それだけは間違いない。

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