サマソニでワンオクが炎上しているので、いっちょかみしてみる

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ONE OK ROCKのTakaが炎上している。

理由は、声出し禁止を謳われているフェスで、声出しを煽るパフォーマンスをしたからだ。また、声出しを煽るパフォーマンスをした際の言動も炎上を加熱させる原因になっているようだ。ワンオクのこのパフォーマンスを良いか悪いかで言ってしまえば、良くないことだと思う。

なぜなら、ルールとして設定された「声出し禁止」を破ったからだ。

この「声出し禁止」はサマソニが(一応は)公式に発表したルールだからだ。そして、そのルールの発表を持って、安心してフェスに参加した人だっていたはずなのに、そのルールを破ったことで、混乱を生んだからだ。

サマソニが開催できるようになるまでにかかった年数は3年。

その間に、たくさんの血と涙が流されたはずだ。その中でようやく勝ち取ったフェスを開催できる環境。そして、どのようにすれば開催できるかのルールを「調整」する中で定めれらたのが<声出し禁止>というルール。

それを破ってしまったから、ONE OK ROCKのTakaは炎上しているのだ。

実際にサマソニのライブを観ていた自分としても、ONE OK ROCKは確かにオーディエンスを煽っていたし、ライブの当日の煽るための理由を述べるMCにおいても、聞きようによっては自分勝手な弁明に聞こえてしまったのも事実だ。

自分は出禁覚悟で煽りをしていると述べたが、自分が「ごめんなさい」をすれば済む、というようなことではないのだから、自分の覚悟がどうとかの話じゃないでしょ。そういう叩かれ方をするのは納得ではある。

しかも、今回のサマソニに出演した他の日本で活動するアーティストは、きちんと声出しのルールを守ったうえだったから、なおのことだ。今回の場合だとHYDEのMCが借用されることも多いが、たくさんのバンドは声出し禁止の中でやっているのに・・・という事実や、自分だって声出しをしたいけれど我慢しているのにルールを破って勝手なことをするなんて・・・という感情が、炎上に拍車をかけているように思う。

確かに、こういう形のパフォーマンスで良かったかと言われたら、素直に「うん。よかった」とは言えない。ただ、「声出し」についての話だけをするならば、Takaが煽る前から、サマソニは他のロックフェスではあまりみないレベルの声出しが行われていた。

サマソニはロックフェスという位置づけをされる方も多いが、他ジャンルをかなり積極的にブッキングするイベントで、海外アーティストも招聘されているので、違う文化コードを持った人たちがたくさん訪れるイベントになる。

かつ、サマソニの運営は、他フェスと比較しても群を抜いて(良くも悪くも)参加者に干渉せず、(良くも悪くも)終始無頓着にイベントが進行していくフェスなので、海外では声出しが当たり前になっている状況を踏まえると、イベントにおいて、声出しが頻発することはわりと想像できる範囲とも言えた(それが良いことかどうかは別にして)。

ステージ裏で運営側がアーティスト側にどういう指示を行っていたのかは不明だが、海外アーティストの多くは、わりと積極的に声出しを誘発するパフォーマンスを行っていたわけだ。ということを考えると、Taka一人だけ叩く構造には奇妙な印象を覚える。

Takaが煽ったからめちゃくちゃになった、というような印象を受けかねない炎上の仕方をしているので、その見立てはちょっと違うのではないか、というのがここの話となる。「叩いても問題ない人間で、かつ、叩くことが<面白い>人間を恣意的に選んで全力で叩く風潮になっているし、その叩き方が気がつけばどんどん極端になっている印象を受けるのだ。(なんなら、海外アーティストを絶賛しているのに、ワンオクだけ叩いている極端なアカウントもみた)

少し話は変わるが、今回のサマソニで色んなライブを観てきたが、自分の次に出演する海外バンドに対しての一番リスペクトとねぎらいの言葉を口にしていた日本のアーティストは、Takaだった。

自分がライブを観た際も、後ろに控えるPost Maloneのことを自分のオーディエンスに対して、口にする瞬間があった。まあ、これはPost Maloneに、というよりも海外アーティストが日本に来る環境そのものに対してのリスペクトを口にしている感じだったが。

思えば、異なる年度のサマソニでも、ONE OK ROCKは「自分たちだけではなく、次の海外アーティストを観てほしい」という言葉を真っ直ぐに観客に伝えていたし、自分たちだけじゃなくて、海外アーティストも目撃してほしいということを誰よりも口にしていた日本のアーティストは、ONE OK ROCKだったように思う。いつもサマソニのステージでは、日本だけじゃなくて、海外にも目を向けてほしい、というメッセージを込めてステージを締めくくっていた。

ワンオクと他の国内アーティストと比較した話をした際、声出しのことだけが話として大きくなるが、「日本だけに留まらず、海外もみて感じてほしい」を共有した事実も確かにあったことをここで述べておきたいのだ。

ところで、正直、今の日本のエンタメ興行において、海外アーティストを招聘することは色んな意味でコスパが悪い。例えば、ロッキンなんかだと、呼ぶのは日本のアーティストだけとなる。そして、一部のアーティストをのぞけば基本的にロッキンなんてぜひとも出たいイベントなわけで、ブッキングをするまでの労力は海外アーティストのそれに比べたら、比較的スムーズなことが予想される。

まあ、ブッキングがしやすいかどうかはさておき、日本のある程度の知名度のアーティストであれば、確実に収益を見込める、というところは大きいし、ブッキングの段階で採算がある程度たてられるから、運営面などにも比較的安心してお金をかけることができるのも大きい印象だ。

しかし、海外のアーティストの招聘、しかも洋楽好きが興奮するようなランクのアーティストを呼ぼうとすると、ブッキングの段階でわりと大変なことが予想される。しかも、アーティストの多くは、わざわざ日本に行く必要なんてないと思っているケースも多いだろうから、なおのこと面倒そうだ。しかも呼ぶだけでも苦労するにも関わらず、いざ呼んでみたら動員数はわりと厳しいケースになる・・・ということも、今の日本のシーンだと多い。

さらに言えば、前述したように日本のアーティストと日本のファンだけなら同じ文化を共有している人しかほぼ集まらないので、運営上の管理の上でも相当楽だったりするんだろうけど、異なるコードの人間がゴリゴリに集まってくるとなると、ある種の「衝突」だって起こるリスクが高まるわけで、そういう点で考えてみても、海外アーティストを招聘するイベントはとことん”コスパ”が悪くなっていく。

それでも、なお一部のイベンターが性懲りもなく海外アーティストを呼ぶイベントを行うのは、きっと日本に海外の文化を届けることに強い価値を置いているからだと思うのだ。しかも、わざわざブッキングにもこだわっている。だって、単に興行的に成功すればいいや・・・なテンションだけでブッキングしていたら、今年のサマソニはこのようなラインナップにはならないと思うから。

海外は広いので色んな価値観のアーティストがいるわけだけど、今年のサマソニは明確な狙いをもって、アーティストをブッキングしているように感じたからだ。

YUNGBLUD然り、Rina Sawayama然り、Måneskin然り、MEGAN THEE STALLION然り、The 1975然り。

楽曲やパフォーマンス、あるいはそれ以外の言動から社会的なメッセージを発信し、人種差別やジェンダーといった問題に対して問題提起を突きつけ、パフォーマンスにもそれらを落とし込みながら、具体的な行動も行ってきたアーティストがピックアップされて、ブッキングされている印象だった。

Rina Sawayamaが、今の日本にはLGBTの権利が存在しないので一緒に戦ってほしい、と提起したサマソニのMCは、そういう流れの中のひとつだったように思う。MåneskinのVictoriaがニップレスをつけてライブをするのは、ジェンダーレスな価値観を表明するためで、(そのときのオーディエンスに届いているかどうかはともかく)この日もそれらのアーティストは、自分たちのメッセージをステージで表現していたように感じた。

ホルモンやKing Gnuの「茶化し」たパフォーマンスがネットで荒れる瞬間もあったわけだが、今回出演していた海外アーティストのパフォーマンスの意味をしている人からすると、そこのメッセージ性の違いに反応したが所以だと思う(まあ、炎上している内容については自分の主張に対して都合よく事実を改変している部分もあったので、言葉の組み立てに関しては気になる部分もそれなりにあったけども)。

ポイントなのは、海外のアーティストは今回、いわゆるマイノリティー側の視点に立ちながらメッセージを放つアーティストが多かったということだ。そして、そのアーティストはステージでのパフォーマンスとメッセージをリンクさせてくるということだ。そのアーティストも<声出し>をあえて行っていたところに、ひとつ考えを伸ばしてみたくなる。

例えば、人種差別が表面化している状況かつ自分がマイノリティー側にいる人間だとすれば
、そこにあるルールは単に<守るべきもの>になるかどうかということだ。少なくとも、そ
のルールは自分を抑圧のそれになるのだろうし、だからこそ、そのルールとそのルールが「何」を縛っているかに自覚的になるし、そこに問題提起を起こさなければ、自分たちの権利を勝ち取ることができない切実さも実感することになる。そこに対峙するうえで「声を出す」がとても大切なことを実感していたからこそ、海外のアーティストの多くが仮に事前に<煽らないで>という説明を受けていたとしても、身体的に<感情>を表現することを積極的に推奨するパフォーマンスを行ったのかな、なんてこと思うのだ。

黙ったままでいることがクセになっていたり、正しいかどうか・本当に必要かどうかは脇においてルールを守ることそのものを第一にすることが恒常的になっているとして、そういう態度を続けることで失ってしまうものがあることに自覚的だったアーティストが集っているかこそ、ルールとして声出しが禁止になった日本でもあえて、その行動を促すパフォーマンスをしたのではないか。そんなことをふと思うのだ。

そして。

ONE OK ROCKはおそらくその日いた日本のどのアーティストよりも、海外アーティストへの扉を促すバンドだったことを思い出す。

結果としてそれが正しいアクションだったのかは別にして、<声出し>という行為に必要以上の意味性を見出したのは、各バンドが世の中にあるルールに疑問を投げかけて、問題意識をもって活動するアーティストたちだったから、という部分もあるのではないか。ふいにそんなことを思うのである。

声出しした方が楽しいやんとか、海外でもやっているんだから日本でもやったらいいやん、という話で留まらない意識があったのかなーなんてことを、勝手ながらに思ってしまうのである。

話は少し変わるが、ワンオクはやり玉に挙げられるのに、海外アーティストはやり玉に挙げられることが少ないなと思っていて、それはワンオクが有名だからということもあるが、どこか海外アーティストは自分たちとは別の世界に生きているもの、という意識があるからではないかと思っている。

でも、海外アーティストも同じ人間であり、同じ感情を持っており、本来的にはそこに隔たりはないわけで、そういう部分にもワンオクは意識があったからこそ、あえて具体的なアクションを促す行動を示したのかなと思う部分もある(ロッキンでも煽っていたことを考えると、別に関係ないかもしれんが)

とはいえ。

日本と海外では違う部分もあることは確かだし、とりあえず日本はルールを大切にする価値観だからこそ保たれたものもあるわけで、今すぐアクションを起こすべきトピックもあれば、慎重になるべき内容だって確かにある。

もし、フェスの声出しという話にスポットを当てるのであれば、どうしても日本全体のスケールで考えていかないといけない部分もあったので、少なくとも「俺が責任をとるから、煽る」の話で済ませてはいけなかったのではないかと思っている。(まあ、「声出し」禁止を徹底しているフェスでも、アクト以外の部分では普通にお互いが喋ったりしていることを考えると、それを行う意味性とは・・・と思う部分もあるが、そういう話を加速的に行うと、そもそも密で行うイベントは良くないので、開催禁止!!!という話にもなり得る事案だとは思うので、そういう意味でもこのケースは慎重さがどうしても求められるよなーとは思っている)

・・・というところまで考えてみたけれど、個人的には今のトピックにおいて、過剰に「ONE OK ROCK」という部分にだけ寄って話を進めるのは、ナンセンスなのではないかということ。

なんとなくのムーブになってワンオク一人をやり玉にあげて炎上するべき内容ではないんじゃないかということ。

そして、いろんなことを考えをしていくと、もう少し別の見え方が出てくるんじゃないかということ、なのだ。

・・・・なんてことを書いてみると、なんだか邦楽よりも洋楽に価値を置いた意識高い系の人間っぽい発言に見えちゃうので、それはそれで嫌ではあるが。

個人的には、別に海外の価値の方が優秀とも思わないし。というより、ケースによると思う。

なんなら、自分のメッセージを伝えるためだけに、恣意的に事実をねじまげて、特定のもの(例えば、邦ロック)をsageして二項対立を作ることで安易なバズを生み出し、自分のメッセージを補強しながら「俺の方がお前よりえらい」的な雰囲気になっている、リベラルなフリにして根はゴリゴリの差別主義な洋楽至上主義マンがFxxxだったりするしね。(まあ、ジェンダーレスな価値観を表明しているアーティストがいる場においても、露悪な性的に嗜好を発揮する輩がいたようで、それが今回のサマソニにおいては、一番にきついなーと感じたけども)

まあ、なんにせよ。

ついついひとつのトピックはわかりやすい形になり、極端な装いに形に変えて語られてしまいがちだけれど、極端が加速している場合はわかりやすいヘイトに身を染めず、今そこにある「なぜ?」をもう少し掘り下げてもいいのではないか、そうすることで、見えていたものの輪郭も変わるのではないか、そう思うのである。

・・・。

ところで、この記事、誰の何の話がしたくて、書いた記事なんだっけ?

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