スピッツの楽曲の好きなフレーズ特集
名曲が多すぎるスピッツ。
好きな曲を数曲選ぶだけでも(ある意味で)困難になってしまうバンドである。
そんな中でも、あえて今好きな歌を選ぶなら、どの歌か。
ぐっとくるフレーズはどのフレーズか。
そんなことを考えながら、いくつかスピッツの楽曲を取り上げて紹介してみたいと思う。
本編
紫の夜を越えて
面の向こうの快楽匂いのない正義その先に
これってSNS社会の今の中の、炎上含めてやり取りを丁寧切り取ったフレーズだと思う。
もっと率直かつ毒のある言葉で描写することもできるんだけど、こういう描写もスピッツらしさを忍ばせるのが流石だなーと思っていて。
<快楽>というワードチョイスや<匂いのない正義>という表現が、スピッツらしさを助長しているのだと思う。
そして、それが=良い意味でのスピッツの変わらなさにもなるのではないかと思うわけである。
夜を駆ける
研がない強がり 嘘で塗りかためた部屋
抜け出して見上げた夜空
よじれた金網を いつものように飛び越えて
硬い舗道を駆けていく
YOASOBIの大ブレイクにより、検索で若干引っかかりにくくなったこの歌。
この歌はサウンドと歌詞が描くシンクロ率がめっちゃ高いと思っていて。
サウンドを聴くだけでも不思議と手を取り合ってどこかに逃げようとする男女の映像が見えてくるのである。
スピッツの歌って、景色の描き方も丁寧なものが多くて、ぐっとくることが多い。
恋する凡人
走るんだどしゃ降りの中を ロックンロールの微熱の中を
定まってる道などなく 雑草をふみしめて行く
これ以上は歌詞にできない
スピッツってもう30年ほどのキャリアを持ったバンドであり、<おっさん>という形容がしっくりくるバンドのはずである。
しかもけっこう変態的な歌詞を歌にすることもあるし、その感受性は独特と評しても差し支えがない。
なのに、不思議と止めどなくピュアな歌もすごくぴったりなバンドなのである。
「恋する凡人」は、そんな楽曲の代表だと思う。
最後に「これ以上は歌詞にできない」という歌い、ロックンロールを鳴らしながら短いアウトロでさらっと終わる感じがたまらない。
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若葉
思い出せる すみずみまで
若葉の繁る頃に 予測できない雨に とまどってた
泣きたいほど 懐しいけど ひとまずカギをかけて
少しでも近づくよ バカげた夢に
今君の知らない道を歩き始める
悲しい失恋の歌である。
だからこそ、今は<雨にとまどっている>という描写がある。
でも、そんな君といた過去に対して、<ひとまずカギをかけて>の描写がとまらない。
若葉=君との失恋が、いつか繁て行くと歌いきり、この別れを切なくも微笑ましく描く塩梅が絶妙である。
スピッツだからこそ描くことができる失恋ソングだよなあと思う。
海とピンク
ほらピンクのまんまる 空いっぱい広がる
めっちゃピュアで繊細で美しい歌を歌う。
かと思えば、色んな意味でど真ん中の歌を歌うこともあるのがスピッツの魅力。
こういう歌もさらっと歌い上げるのがスピッツの魅力だと思う。
とても良い出だしだと思う。
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愛のことば
焦げくさい街の光がペットボトルで砕け散る
違う命が揺れている
スピッツの歌ってファンタジー色が強い。
不思議な単語のチョイスで、エロも毒も爽やかに表現することが多い。
でも、よ〜くフレーズに目を凝らすとどきりっとさせるフレーズを忍ばせることもある。
このフレーズも捉えようによっては、色んな想像を喚起することができる鋭いフレーズだと思う。
多様な解釈ができるからこそ、スピッツの歌は長く愛されるのだと思う。
自転車
自転車で行きたいな スルリスルリと
自転車の描写で<スルリ>という擬音を使うバンドはこのバンドくらいではなかろうか。
スピッツの歌って、歌の主人公の五感が卓越しているのも特徴で、だからこそ、その主人公を通して世界の描き方がどこまでも魅力的に映るのだと思う。
何気なく自転車を漕いでいるだけ(のようにも聞こえる)の歌でも、これだけの鮮やかさが見え隠れするのが何よりの証拠である。
正夢
「届くはずない」とか つぶやいても また
予想外の時を探してる
この歌も、「自転車」くらい素朴な日常が始まりの歌なんだけど、歌詞が進めば進むほど、鮮やかな景色が描かれていく。
ハッピー感もあるし、妙な切なさもあるし、色んな想像を歓喜させられるのである。
ただ、あくまでも「<予想外の時を探してる>だけなのが、なんだかんだでリアルでスピッツの歌らしくて。
細かい描写も丁寧なんだよなーと思わずにはいられない。
夢追い虫
美人じゃない 魔法もない
バカな君が好きさ
途中から 変わっても
すべて許してやろう
けっこう君に対して強い言葉を投げつけている気がするんだけど、妙な高圧感を覚えないのがスピッツらしさだなーと思っていて。
こういうフレーズを飛ばしても、妄想男子の戯言(といったら怒られる気がするが)な感じがして、逆にニヤリとさせられるというか。
「夢追い虫」はわりと強めのワードチョイスをしているんだけど、それがキュートさに繋がっている不思議な楽曲だと思っている。
冷たい頬
ふざけ過ぎて 恋が 幻でも
構わないと いつしか 思っていた
壊れながら 君を 追いかけてく
近づいても 遠くても 知っていた
それが全てで 何もないこと 時のシャワーの中で
ワードのひとつひとつは意味が追える。
難解なワードも珍しい言葉も使ってはいない。
なのに、他のアーティストにはない情景の描き方をする。
これがスピッツの真骨頂だと思う。
破滅的で、でも美して、そんな芸術的な不思議な美徳を突きつけてくるのである。
スピッツの偉大さを痛感させる一曲だと思う。
まとめ
改めて思う。
「醒めない」でも歌っていたことだけど、スピッツの歌って<切なくて楽しい>のである。
任せろ 醒めないままで君に 切なくて楽しい時をあげたい
ほんと、このフレーズも良いフレーズだなあと思う。
聴けば聴くほど、ニヤリとさせられてしまうのである。