前説

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皆さん、この歌を聴いたことはあるだろうか?

こちらの楽曲は奈良発のギターロックバンドSplit endの人気楽曲である。

今回はそのSplit endの [Vo.&Gt.]であるななみにインタビューする機会を頂いた。

では、その模様をどうぞ。

本編

インタビュー開始

ロ=ロッキン・ライフの中の人
な=ななみ

バンド開始から今までに至るまで

ロ:今回のアルバム(「deep love」)良いですよね。暗い感じが良いです。

な:暗いのがすごい好きなんで、(その評価は)うれしいです。

ロ:元々そういうのが好きなんですか。

な:そうですね。

ロ:でも、元々コピーバンドやっていて、そっからオリジナル作られたんですよね。

な:そうですね。

ロ:最初はわりとポップな感じのものを作ったけど、やっぱり暗いのが好きだったという感じで、今に至ったみたいな・・・。

な:はい。RADWINPSとアジカンが好きでした。

ロ:いいですね。その辺からコピーしていったって感じですか。

な:そうですね。あと、軽音楽部だったんですけど、そのとき流行ってたのがチャットモンチーとか、木村カエラとか阿部真央とか。私はやってたか覚えてないんですけど。

ロ:いいですね。その頃は、オリジナルは作っていたんですか。

な:そうですね。ただ、なんかはじめに作ったのは、ほんとに私のただの思い付きで、曲作れるんじゃね?となって。適当に作った1曲、高1の終わりくらいに作りました。で、先輩たちが「1曲オリジナルを作ってるんなら、5曲作って全部オリジナルでライブできるなら、俺たちの企画に出さしてやってもいいよ」って言われたんですよ。じゃあ作ってみようってなって、いろいろ作ったのが最初ですね。

ロ:その頃、作ったのはどんな感じだったんですか。

な:1番最初に作ったのは、めちゃポップですね、パンクロックよりのポップみたいな。

ロ:今の全国流通版とかみたいな感じじゃないですよね。

な:全然。封印されています。

ロ:で、いろいろやっているうちに今みたいな感じになっていったというわけですか?

な:そうですね。

ロ:どのへんでそういう、自分たちのやりたいことに持っていったんですか?

な:今作じゃないですかね笑

ロ:なるほど笑

な:結構今回で、自分のやりたいことがわかった気がします。それまでは(とりあえず)作ってみよう、みたいのが多かったので。まあ、自分たちの好きなものを詰めているんですけど、明確に言葉にしろと言われたら、全然わからない状態だったので。

ロ:そうですよね。ムズイですよね。

な:結構言葉遊びが好きで、最初のころの曲も、流通はしてないけれど、ライブハウスとかでしっかりCDにして売れるようになった曲は、けっこう深い意味を含んでいたりするんですけどね。

ロ:言葉遊びですか。じゃあ、今出てる曲で一曲あげてもらえるなら、例えばどれとかになりますか?

な:「ロストシー」とかもそうですね。

ロ:確かに「海が枯れる」とか、印象的なフレーズですもんね。

な:実は、あれを作ったきっかけは、ただ「海が枯れる」という言葉が使いたかっただけなんですよ。

ロ:そうなんですね。パパッとできた感じなんですか?それとも、何かにインスパイアされた感じですか?

な:完全に何もない状況で神様が降りてきたみたいな…感じですね。

ロ:いいフレーズだと思いますよ。その言葉から色々膨らませていった感じですか。

な:そうですね。歌詞自体はわかりやすいかなと思うんですけど、その比喩とかリズムが結構ややこしくて、ドラムはずっと4拍子だけど、ギターは3拍子でやってたりとか。自分が作った中でも、こだわりが多くていいなと思いますね。

ロ:すごいですよね、(YouTubeで)80万とか再生されてるわけですから。

新作のアルバムの話について

ロ:自分で今回のアルバムは、どの辺がこだわりですか。今までに比べて、どこに力入れたとか、明らかに変えたとかありますか。

な:私が元々暗い音楽が好きというのをもっと取り入れたなと思うのが今作で、今までよりもいろんな音を使いましたね。今までは、ギター歪ませた系のものが多かったんですけど。レコーディングのときもアンプ持っていったりとか、みんなの機材が増えてたりとかあって、いろいろ試して、いままでで一番に音にこだわっています。

ロ:どんな感じでレコーディングは進められたんですか?

な:最初にスタジオで合わせてみて、合わせた音源をレコーディングスタジオに送っといて、ベースとドラムから一緒に録っていく感じですね。ベースとドラムが1番、次に私のギターをのせて、その次にずんちゃんのギターをのせて、最後に歌ですね。だいたい下から順番に、ですね。

ロ:最初の音を決めるときは、みんなで試行錯誤する感じなんですか。

な:そうですね。リハとかのときに、「コーラス(ギターのエフェクト)きかせた方がいい」とか、「もうちょっとガツガツした音がいい」とか言い合って決めていきますね。で、レコーディングスタジオにもっていったときにはほぼ決まっている状態で、スタジオエンジニアの人と音域とかを相談しながら固めるみたいな。前回はほとんど向こう任せみたいな感じでしたが、今回はいろいろやりました。

ロ:せっかくなので、曲ごとにどこにこだわったか教えてもらいたいですね。

な:「deep love」のコーラスの部分は何回も録って、やっぱりもうちょっと深い方がいいとか、深さと幅が選べるんですけど、それを調整するのに時間をかけました。

ロ:なるほど。

な:私は元々音に全然興味がなかったんですけど、こういうことがしたいと思うようになってからは、すごい音に興味が湧くようになって。いろんな音作りたいなと思うようになったから、できたと思えます。今までだったら、多分そういう発想がなかったからしようともしてなかった。

ロ:やっぱりゴールというか、目標があるからこそ考えられるようになった?

な:イメージができるようになったって感じですね。前作と今作が違うのは、私の中にイメージができているか、できていないかがすごい関わっていると思う。

ロ:言葉遊びが好きという話がありましたけど、今回の作品でいったら、どこのフレーズが気に入っているとかありますか?

な:まずdeep loveという単語が気に入ってます。タイトルにしたくらいですから。元々は友達との会話のやり取りで出てきた言葉なんですけどね。その友達の彼氏とのエピソードから出てきた言葉で。

ロ:(笑)。その単語ありきから、広がった感じなんですね。

な:そうですね。そういう曲って結構あるかもですね。「ロストシー」も<海が枯れる>という単語ありきでできた曲ですし。言葉からイメージが膨らんで、映像が自分の中で浮かんで、それを音にしたという感じです。「deep love」の真意はその友達とのエピソードにあるんですけど。アルバム事態はそういう意味ではないんで。そういう意味に取ってくれてもいいんですけど。私からはそういう意味だって言いたくはないですね。いろんな風に考えてほしい。

ロ:ふむふむ。

な:あともう一つ、ツアータイトルが「愛を纏え、愛を放てツアー」というんですけど、そこからdeep loveを歌ったツアーが始まるというか。「愛を纏え、愛を放て」というのは、5曲目の「生命力」という曲の歌詞なんですけど、そのフレーズも気に入っているから、それをツアータイトルにしました。

ロ:愛が強いですね。

な:deep loveなので(笑) 基本的に今までに作った曲全部、テーマが何かと言われたら、すごい大きいジャンルで言うと「愛」なんです。今後書く曲も絶対そこに入ってくる。だから、そういう言葉が好きで、そこにはこだわっていきたい。「愛を纏え」ってめっちゃかっこよくないですか?

ロ:確かに!ちなみに、狙った意味はあるんですか?

な:どういうことかは考えてほしいですね。愛の定義って、めちゃむずいですよね。いろんな哲学者がいろんな意味を見出してる言葉ですし。

ロ:確かに、いわゆる男女関係とか、家族にも当てはまる言葉ですもんね。

な:家族も他人でもいいと思うし、会社やものへの愛でもいいと思うんですよね。

ロ:なるほど。「deep love」のアルバムでいえば、1曲目はこの愛を歌っていて、2曲目はこの愛を歌っているみたいな聴き方もできるわけですね。

な:そうですね。

ロ:そして、全部聞くと、より(聴き手の)愛が深まって、グッとくるみたいな。

な:そうですね、グッと来てほしい。これが正解とは言わんけど、それはめちゃくちゃ私にとって嬉しいことですね。

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奈良のバンドの話

ロ:すごい勝手なイメージですけど、奈良出身のバンドって、やりたいことを通すみたいなバンドが多くあるんですよね。

な:多分それはその通りだと、私から見ても思いますね。奈良の色ってわかりやすい感じで。

ロ:大阪とは違いますもんね。

な:ただ、地方行くとけっこう似てるなとは思います。ライブハウス的に、奈良はキャパが100以上の、大きいところって1つしかないんですよ。もう一つ最近できたところがあるんですけど、それは今年できたばかりなので置いといて・・・。ライブしようとしたら、そこでやるしかなくて。最初ってワンマンとかしないじゃないですか。いろんなバンドと一緒にやることが基本で、ジャンルレスになるんですよ。大阪だったら多分、こういう系のバンドを集めて、こういうイベントをしましょう、ギターロックの日とか今日はポップの日みたいなのができるんですけど、奈良はそれができないんですよ。地方もそうだと思うんですよ、ライブハウスの少ないところはゴチャ混ぜになる。そういう中で育ったから、自分はこう!みたいのが育つんじゃないかなって思います。

ロ:確かにそんな感じがします。

な:いろんなところに行った経験上で、思ったことでもありますね。はっきりしてないと埋もれちゃうし。

ロ:ライブハウスで他のバンドとやって、影響受けたみたいことはありますか?

な:それは、めっちゃあります。高校生のときとか、ライブハウスに見に行ったりしてたんですけど、オーラル先輩とか、いろいろなバンドが出てたんですけど、そのときに聞いてた音楽って、RADWINPSかチャットモンチーか、奈良でやってる先輩バンドたちの曲かって感じだったんで、かなり影響は受けてると思います。若いときに聞いた音楽ってすごい残ってますしね。(そういう若い時に聴いていた音楽として)奈良の先輩の曲があるっていう感じです。

今後について

ロ:次の目標ってありますか。まだツアー中ですし、まずはツアーを成功させるっていうのが一番の目標だとは思うんですけど。

な:ツアーをソールドさせたいですね、まずは。今回は無理でも、1年以内には必ず実現させたい。あと、今回CDで作ってなかった自分のやりたい事もありますし、やっぱりそれを音楽という、CDという形で残したいというのはありますね。

ロ:これがやりたいというのは常にあるという感じですか。

な:作ってる中で気づいたこととかもあるんで、次はこういう曲が書きたいとか。それをしっかり形に残してリリースしたいです。

ロ:それが見えてるのがすごいですね。やりたいことがなくなってしまったら終わりですからね。

な:なんか、前作出した時って、次できるのかわからへんって感じだったんですよ。今回出したのは真逆で、前回より成長できた証を知ったから、全国流通は1年8か月空いたんですけど、その中で一番生きてきて変わったなって思う時期でした。急激に変わるんだって思ったから、私、来年めっちゃたのしみだなって自分で思ってしまって。そしたら、次のやつ早く出したいし、どんどんこの間にできるようになったことがすごい増えたんですよ。イメージできる強さってのを知ったので、これをどんどん続けていったら、次どんな素晴らしい曲ができるんだろうって自分に期待が持てたんです。だから、ドラムが抜けても悲しい悲しいって落ち込むばかりじゃなかったし、こうしたいああしたいって思うことが多かったので、下向きな気持ちがなくなって、自分が楽しくてCDが作れて音楽楽しいって思えました。それについていけるように、やっぱりライブハウスでソールドさせたいです。私自身別に、売れたいのは売れたいんですけど、有名人になりたいっていうのはないんですよ。そうじゃなくて自分のお客さんを、好きって言ってもらえる人をできる限り増やしたいですね。まあ結果一緒なんですけど。ただ、バンドやってても、有名人になりたいからバンドやってるみたいな人もいるんですけど、自分にはそれがなくて。そんなことより、曲を聞いてほしい、みたいな。なんか、わーきゃーされたくないこともないけど、そこを目標にはしてないですね。そんなことよりも好きな曲を好きって言ってもらえた方が嬉しいし、幸せですし、それを増やして、ライブハウスの中をsplit end大好きな人だらけにして、泣きたいですね。

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