前説
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人気バンドのメンバーが集って結成されたTHE KEBABS。
プレイヤーとして一流のメンバーが集まったこのバンドは、さながらオールスターである。
そんなTHE KEBABSに対する筆者のイメージを端的に申し上げるなら、こうなる。
・懐かしさを感じさせるロックンロールを鳴らすバンド
・仲が良いメンバーが集まっている和気あいあいとした感じのバンド
・映像をみるかぎり、めっちゃ楽しそうにライブをするバンド
・タバコを吸うのはドラムだけのバンド
そう。
つまるところ、THE KEBABSの音楽には、ある種の懐かしさを感じるのだ。
エイトビート基調のオーソドックスなロックを鳴らすことが多く、シンプルな言葉の連呼や、サビをみんなでコーラスする感じに、一昔前のロックみを感じるのである。
例えば、THE BLUE HEARTSとか、そういう類のロックである。
たぶん、今のフェスシーンをみても、こういうロックはマイノリティーなタイプだと思う。
最近になって、THE BLUE HEARTSのイズムを感じさせるバンドがいくつか出てきたけれど、それでも若い邦ロック好きからしたら、まだまだこういうロックはマニアックだと思うし、これからもその状況は変わらないのかなーと思う。
でも、THE KEBABSはそこに向かって突き進んでいる印象を受ける。
こうしたら広い層に届くとか、これが今の流行りだとかいう、自分たちの外側の反応なんてひとまずは置いといて、自分たちがやりたいことをやる。
そういうロックンロールの精神を感じさせるのだ。
それが=めっちゃ楽しそうにライブの演奏をする、に繋がるのかなーと思う。
とはいえ。
THE KEBABSがそういうアプローチを試して続けているのは、このバンドが「お友達と集ったバンドだった」からであり、遊びの延長戦にあるバンドだからだと思っていた。
のだが。
2020年。
THE KEBABSは大きく動き出す。
メジャーデビュー。
アルバムリリース。
そして全国ツアー。
畳み掛けるように、精力的な活動を行うことがアナウンスされた。
ここから、何かが起こりそうな、そんな予感。
そこには、何らかの企みがあるのだろうか。
あるのなら、探ってみたい。
そう思い、インタビュー企画に応募してみた。
今から、そんな一端をのぞいてみようと努めてみる。
本編
インタビュー開始
──もともとTHE KEBABSを活動させるというアナウンスが2018年の11月くらいにあった中で、アルバムリリースや全国ツアーなど、より活動が精力的になったのが今年からという印象だったのですが、なぜ今年になってから、このような活動を始めたのか聞かせてもらえますか?
佐々木:みんながどう思ってるかは分からないけど、(2018年からの)延長線上というか。2018年にみんなでスタジオに入って、「なんか楽しそうだね、やっちゃおうか」って話をしてた流れで「じゃあ、ライブやるならここでやろうか、スケジュール空いてるからデモを録ってやろうか」ということの連続で、特に2020年は目指してはなかったですね。
田淵:目指してはない。でも、やっぱりフラッドがあってユニゾンがあって、そもそも他メンバーには仕事があるんだけど、その数マネジメントスタッフがいるじゃないですか。その辺の足並みが揃うまでに時間がけっこうあった気がしていて。ライブを一回やるだけでも「これ、マネジメントは誰が仕切るの?」みたいなをすごい気にされていたんですよね。最初はもう、「4人でやってお金だけ入れるんで、温かく見守ってください」みたいなつもりだったんですけど、なんだかんだでスタッフの力を借りないといけないかーとなったところもあって。たくさんいるスタッフたちがちゃんとひとつのチームになって連携をとれるまでが大変で。
──そりゃあそうですよね。
田淵:僕らは「空いてるときにライブをやれればいいんですよ」というノリで始まってるけど、やはりスタッフサイドは立場上そうはいかないですよね。やってるうちにようやく全国で出せるとか、全国ツアーができるみたいな、外から見て活動してるなという見え方になったのは、当然その辺の足並みが揃ったからであって。自分たちのバンドのスケジュールの合間を協力して、縫ってもらってできるようになったのが今年かなって。
佐々木:斎藤さんのソロが1月でしたっけ?
田淵:1月。
佐々木:(去年は)ユニゾンは15周年を駆け抜けてて、ちょうど(今年は)タイミングが合ったのでやってみようかって。THE KEBABSに深い意味はないので。それがあったら面白いんじゃないかという実験をずっとやってる感じ。で、たまたまタイミングが2020年というキリがいいところに来ちゃった。
──リリースされるアルバムも2019年の空いてるところで、作っていったという感じでしょうか?
佐々木:最初のセッションのときからできてた曲っていうのもあったりして、そういうのは一番最初からあるんですけど、「猿でもできる」とかは、ライブをやりながら田淵さんが「THE KEBABSこんな感じだな」みたいな。そうやって、THE KEBABSのスタイルが見えたみたいな。
──なるほどですね。
佐々木:忙しさとかも含めて、スケジュールについての質問って俺、THE KEBABSにとってはけっこう大事だと思ってて。タイミングが合うときに合わせて曲を作るから、そのスケジュールでもできる曲、覚えられる曲とか、逆にその条件でやるとできる面白い曲とか出来てくると思うんで。このスケジュールで、このペースだから「猿でもできる」みたいな面白い曲ができてくる。(限られたスケジュールの中で)ライブをやりながら見えてきたものをその都度、特に田淵さんが曲にしてくれたりして。
田淵:まあ、活動してスタジオ入ってライブが決まってりゃ、自然に曲はできるから…。いつでもアルバムを出せるなってのは、最初の活動を始めたときからあって。
佐々木:3枚組でもいけましたよね。
田淵:でも、ライブをやるっていうのとレコーディングをするみたいのはみんなのスケジュールが合わないとできないから、それこそユニゾンとかフラッドみたいに「ここの2週間全部レコーディングです」みたいなスケジュールはTHE KEBABSでは絶対成立しえないので。もう4人の合いそうなところがなんとなく見えたら、もうそこにピンポイントに全ての作業を詰め込んでいく。
──なるほどですね。
田淵:ライブ盤が流通盤として出るんですけど、スタジオ盤はライブハウスの物販で売るんですよ、まったく同じ曲順のやつを。構想は半年くらい前からあったから、それも2日とか3日とかで全部録れるような構想でいこうみたいな。(ケバブスの歌は)曲も短いからわりとすぐ作れるというのは、なんとなくデモCDを作った段階で見えてたので。この4人が揃うこの2日間でアルバムを全部録っちゃいましょうみたいな感じで。コスパ、という言葉はあまり好きじゃないけど、効率が良いように集まって、全部やっちゃて。
──コスパ。
田淵:でも、あれだ。ライブに関しても、ライブは決まったけど、今度はリハをやらなきゃいけないってときに、覚えなおしとか練習とかどうしても必要になってくるじゃないですか。そこで、あまり覚えなくていいものをやるようになっていった気がしていて。新井君なんかはギターソロすごい適当にやってるだろうし。
佐々木:気に入ってるフレーズだけできますよね。
田淵:俺の場合、曲を作ってるからコード進行は覚えてるけど、ベースラインを難しくすると覚えられないから、全部ルートにするし。
佐々木:スタイルが見えてきて必要な曲ができてくるのを俺らは楽しんでいる。真面目にやると出てこない曲だと思うんですよ。それがいいかなって。
──さっきちらっとあったアルバムの話なんですけど、流通でライブ盤を、スタジオ盤はライブでしか販売しないようにした理由は何ですか?
佐々木:それはこのインタビューと同じで。何かやってやろうみたいな野心じゃなくて、半笑いみたいな。デビュー盤がライブ盤って面白いねって言い出しちゃったっていうのがあって。
田淵:ニュースキャッチが先に思い浮かぶんですよ、そういうときって。だから、「THE KEBABS、メジャーファーストはライブ盤、収録はこれから」ってめちゃくちゃ面白いなって。ブログやってる方だからわかるだろうけど、見出しがどうとか、ニュースのキャッチがどうってけっこう気にするだろうし、そういうときにやっぱり見出しって面白い方がいいよなって。この業界で、このネット社会で生きてるとどうしても自分の中にストックとして貯まってきてるものがあって、そん中でおもろいとか、ウケるとかってTHE KEBABSは試しやすくって。ライブ盤が出るって発表されたときにまだ収録してないとかすごく面白いなっていうのを思いついていったような気がしている。で、スタジオ盤は全く同じ曲順のものがあったら、それもウケる感じになるじゃろっていう。
──確かに面白いです。
田淵:わりとみんな意義を生み出してくれようとして、雑誌の人とかもすごい深堀りしてくるから、なんか俺たちすごい人みたいになった気分なんだけど、元々はそんなに考えてないんだよな。
佐々木:ほんとそれでいいと思う。映画も、伏線がどうとか語るのがマジでだるい(笑)もっと画を見ろよ映画なんだからさ、というのと近くて。もちろん(意味を)見出してもらうのは面白いし嬉しいけど、どう伏線張るとかばかりが多くなってきてる気がしていて。でも、もっと(純粋な)面白さを大事にしてもいいと思う。
──曲を聴いていて一番感じたのは、”シンプルな曲が多いな“ってところなんですけど、言葉もわりと少なめの歌が多くて、1番と2番も同じことを繰り返してた歌があったりしますけど、なぜそういう歌をたくさん作ったのでしょうか?
佐々木:最初は真面目に1番と2番もバラバラなことをやっていたんですが、2番なんだっけ?って思いながら、やってたりして。「ジャキジャキハート」も、覚えられないから代わりに2番歌ってくれるって言うから(田淵さんに2番は歌ってもらいました)。
田淵:ハッハッハーっ!!!そういうことだったのか。
佐々木:やっぱり必要が発明の母であって、俺が覚えられないことによって、初めて田淵智也リードボーカルの曲が生まれるという。
田淵:まあ、このバンドをやるときに「いつでもできるバンド」にしたかったんだけど、どうしてもボーカルだけはそうもいかないと。僕はユニゾンのライブの翌日だろうといつでもできるし、ユニゾンのリハが昼にあっても、その夜、下北沢のライブハウスに出るとかできるから、「とにかく俺は自由なのだ」というスタンスでこのバンドに関わるようにしてるんだけど、ボーカルはやっぱりそうはいかなくて。だから、なるべく佐々木が歌わないようになるといいなって。だんだんハンドボーカルが増えてるのは、その理由なんだけど。
佐々木:だんだんギターを弾かなくなりました。
田淵:最初、メンバークレジットにギターボーカルって書いたのやめた方がよかったね。俺、あれ、すごい後悔してるから。
佐々木:え、でも、ちょっとだけ弾いてますよ(笑)
田淵:僕が自分のバンドで去年、『Thank you, ROCK BANDS!』っていうトリビュートアルバムを出したんですけど、その曲を再現してくれるってことで、佐々木がa flood of circleでカバーした曲を歌いに来てくれて、そのときは手ぶらで来た、と。何も持たずに来たというのはすげぇいいなって思って、最終的にTHE KEBABSがこうなると楽だなって思って。佐々木は何も持たずに「僕、今日は歌うだけなんで…」みたいな。
佐々木:それは理想的ですね、何も持たずに行けるのは。普通のボーカルはみんな、それやってるっぽいですけどね。
田淵:まあそうだね(笑)あれいいよな。ちょっとした夢ではあるんだけど。
佐々木:楽したいっていう心はあるんだけど、でもバンドはやりたいじゃないですか。空いてる日にセッションしたり曲を作ったり。休んでもいいけど、休みの日も俺らはやりたいっていう人が集まってる。それが今の曲のスタイルにもなっている。歌詞の1番2番が一緒という条件でこそ書ける歌詞とかも絶対あると思うんですよね。条件とか環境が変わってくると、その中での1番面白いことをやろうとする。この条件だからいいやつを、みたいなのを考えて、こうなってる。
田淵:確かになんかTHE KEBABS始めてから、単語により拘るようになったかもしれない。
佐々木:バカっぽさの中にきらめきとか輝きがあるような。「恐竜あらわる」って聞いたとき、さっきのニュースの見出しのように、タイトルだけで輝いて見えましたし。
──もともとのバンドイメージが強いので、ああいう歌をポッと出されると、「あれ?どうしたんだろう?」って。衝撃というか、新鮮さを感じるんですよね。
田淵:なるほど。そうだよなあ。言い出すといろいろ理由があって、佐々木はとにかく歌心があって、このボーカルは「Fuck you!」って言っても、「Oh yeah!」って言ってもサマになる声をしてるから、それを活かさなきゃ、シンプルな方がいいなっていうのが、確か理由としてあった気がしていて。このボーカルだったらなるべく同じ単語を連呼してる方がかっこよさそうみたいな。たまたまa flood of circleの曲は、そればっかりではなかったから、これはフラッドでもやってなかったし、ちょうどいいやって。ボーカルって幸か不幸か同じ声になるから、「フラッドと一緒やんけ」ってなるのはどうしてもファンは喜ばんじゃろうから、明らかにこっちで歌ってる佐々木はふざけてるっていう方がいいかなって。
──なるほどですね。
田淵:あと、これは対社会に対して思うんだけど、そんなに歌詞に意味っているんですか?っていうのはわりと思っている。そんなに必要ですか?
──んー。好きな人は好きなのかなっていうのがありまして。バンドに物語を求めてしまうリスナーも多くて、その物語を見出すうえで、歌詞を大事に聴くリスナーが多いのかなって。
田淵:確かにな。YouTube文化に助かってか、映像でも補完できるようになったから、よりそういうストーリーを描きやすくなったからなのかしらね。(ただ、個人的には)そんなに歌詞って大事なのかなって思っていて。まあ、そういうバンドが売れるんだなって思うけど、そこに対して「バンドってこんなもんでいいんだよ」「そんな堅苦しいものじゃなくて、誰でもできるんだからやれよ」っていうのをわりとTHE KEBABSではアピールしたいなって思っていて。今回のインタビュー企画もそうなんだけど、やりたいやついるんならやれば?ていうのがあって。音楽ってそこがすごく閉鎖的だったから。そりゃ危険なユーザーはいるし、アーティストがすごく偉そうにする職業だし、俺も偉そうにするところでは偉そうにしてるけど、だからと言って、ユーザーが行動を起こすところを完全になしにしたり、そこに絶対踏み込んじゃいけませんって、すごい時代的に遅れている気がしていて。
──なるほどですね。
田淵:僕らが本業でやってるバンドはもう、ちゃんと責任を背負っちゃってるところもあって。例えば、わざわざ今からユニゾンで撮影をOKするというのはあんまり興味がなくて。でも、THE KEBABSだったら別に、撮りたいやついるなら撮ればいいんじゃないの?っていう、そういう自分もいるから。僕らみたいなバンドがいて、ルールとか関係なくやることで、音楽に参加する人たち、そのユーザーの人たちが面白がったり、よりバンドとか音楽とかを好きになる入口になればいいなって思っていて。
──なるほどですね。
田淵:全然話は変わっちゃうんですけど、ルールを作って規制してっていうのって音楽ってどんどん増えてるんですよね。ライブとかでも、コール禁止だ、ジャンプ禁止だとか、とにかくルール、ルールでがちがちに固めていって。その文化に人、来るかね?っていう気がしていて。自由度がなくなっていくのは、必ずしもいいことだとは僕はそんなに思っていなくて。がちがちにやるのはもう辞めようみたいな人達がより出てきてもいいんじゃないかな?って思っている。そうこうしている間にYouTubeとかニコニコ動画とかで新しい音楽の文化とかできちゃってるわけで。音楽が、この後私たちはずっと儲かり続けますとかだったら別にいいと思うけど、入口を用意するくらい良いんじゃないかなって思っていて。例えば「撮影くらい良くない?」っていうスタンスでも別にいいんじゃないかと。
──なるほどですね。
田淵:なんでその、音楽ブログを書こうって思ってたんですか?
──んー、元々そんなに大きなテーマがあったわけじゃなくて、単純になんとなく書きたくなったから書いていて、反応もらうと嬉しいのでまた書いての繰り返しをずっとやっていて、気が付いたらたくさんの人に読んでもらえるようになったというのがあるので、そういう意味では、バンドやって楽しくてライブをやってというのと似てるのかもしれないです。
田淵:やっぱり認められる喜びというのはあると思うんですよね。それをなしにしちゃってる流れっていうのは、僕はあまり好きじゃないというか。ブログはまったく知らない人から評判があったということですか。
──もともとは全然知り合いじゃないですね。作品を聞いて感想を書いたりとか、ライブ行って感想を書いたりとか、そういうことを繰り返してっていうところですね。
田淵:だんだんそれって、文章鍛えられてきましたか?やっぱり、人に見られるというのを前提としたものをやろうとして、徐々にスキルが上がっていったみたいな自覚ってあるんですか?
──自分では何とも言えないですが、ただ書くスピードは上がりましたね。ノウハウっていうと言い方が悪いんですけど、自分なりのパターンはわりとあって。そこは、曲を作ることと似てるかもしれません。
田淵:確かに曲作りなんかもそうだね。この間さわおさん(the pillows山中さわお)と話してた話で、正確には覚えてないんだけど「ずっと大したことない曲しか作れない時期ってあるけど、そのときめちゃくちゃ作ってるとさ、400曲くそみたいな曲作っても、401曲目からは名曲しかできない」みたいな、その反復練習みたいなのが自分の人生であったなって。
佐々木:401までやらないと降ってくるとは言えないですよね。0で降ってくることはない。
田淵:外から見ると、「なんでそのたくさんの音楽のブログを書けるんですか?」って、「いや、普通にやってますけど」みたいな答えになると思うんですけど、僕も、多分佐々木もそうで。「なんでそんなに曲書けるんですか?」って、「いや、書くだろふつう」っていう。そんなに時間かかります?みたいなのって、反復活動が成した技だと思っていて。
──ちなみになのですが、THE KEBABSの曲は、それぞれメンバーの方が書かれていて、佐々木さんならこういうテイストで、田淵さんならこういうテイストで、みたいのがあったりするんですか。分け方じゃないですけど、それぞれで何か違いというか、意識していることはあるのかなーと。
佐々木:ルールは全然設定していなかったですね。どんどんシンプルにはなっていきましたけど。今度のアルバムのおまけに入っている「おねがいヘルプミー」という曲は、自分で書いてるんですけど、それもリフは一個しか出てこないし。歌詞も<おねがいヘルプミー>だけだし。
田淵:あれって英語だっけ?
佐々木:英語ですね。(英詞なのは)the pillowsの映画のために作った「枕を変えたら眠れない」って曲をストリーミングのみで出して、それやったときに、「THE KEBABSって海外行ってもいいかもね。」って話があって。逆に今こんなバンドいないから面白がってくれる人がいるかもしれないね、ってところから英語の曲があってもいいかなってなって。
──そうだったんですね。
佐々木:これからは歌詞減らそうってインタビュー中はこうして喋るけど、二人の間で打ち合わせとかしたことはなくて。ライブとか条件が整っていく中で、これが一番面白いかなっていうのを探してる感じで。
田淵:気が変わるかもしれないしね。
佐々木:次のアルバムは急にめちゃくちゃしっかりしたアルバムになったりして。名曲だらけの…。
田淵:ストーリーもりもりで、男女の恋愛とかあって…笑
佐々木:それはそれでありで。インスタのストーリーがなんでみんな好きかって、みんな今、他人の人生を覗くとか、みんな綺麗に(自分を)見せることが好きで。だからみんなそれに興味がいく。ラッパーも自分のライフストーリーを見せる人が増えていて。それがスタンダードなスタイルだから、今ラップが開けているなと思うんだけど、その裏で例えば、甲本ヒロトさんがどういう人で、どこで生まれて、どこで育ってきたかなんて、全く関係なくても感動してる僕たちがいたりして。ストーリーを見せる面白さも感じるし、見せない面白さも感じているというのがでかいと思うんで、どちらがいいとか俺は思ってない。自分がソロだったら、もっとラップっぽいやり方でやってるだろうし、THE KEBABSに関しては、みんなこっち向いてるから、ストーリーを見せる方じゃないところに行こうっていう引き算でやったり。(THE KEBABSのライブでは)エモいMCとかいらないし、泣きのコード進行でこうアルペジオしながら「今日まで俺たちは苦労してきて…」みたいなことを言う気もないし。
──泣きのアルペジオ。
佐々木:それが全部だめなわけじゃもちろんないんだけど、そっちに振る事で見えることがある。さっき言った面白い歌詞を歌うっていうのも、別にコントみたいなことをしたいというわけじゃなくて。コントみたいな面白いことを書ける人はいっぱいいて、それはそれでいいんだけど、それは俺らがやることじゃないし、そうじゃない面白さもあっていいだろうみたいな。みんなとわざと外そうぜみたいな打ち合わせはしてないんだけど、自分たちがかっこよくあろう、忠実にあろうとすると、みんなの波に乗れない俺たちみたいな、それがTHE KEBABSの、真面目にやらないことも含めて、スタイルになってる気がしますね。
田淵:「ホラー映画を観よう」という曲もアルバムに入るんですけど、あれはAメロずっと喋ってるという手法で、ああいうのは俺絶対書けない。あれは、新井君と僕でセッションして作った曲だけど、これは佐々木に喋ってもらおうって。なんか適当に頼むって言って。
佐々木:それで、めっちゃ困って。喋るって言葉数増えるから、覚えられるやつにしなきゃダメで。その答えが、新宿駅から映画館に行くまでの道のりの順序を歌うっていう。これだったら忘れないから。
田淵:これは佐々木が得意そうだから任せようみたいなのがあって、歌詞頼むとか、なんかかっこいいリフちょうだいみたいなのって。コンポーザーが集まってると、そういうことが楽っていうのがあって。
佐々木:それが面白いのと、ドキドキするときがある。すげぇ今、俺試されてるんじゃないかな?って。
田淵:(笑)……楽したいだけ。
佐々木:ただ、楽してやってるだけじゃなくて、独特のスリリングさはあって。3コードの曲なのに、急にタッピングする新井さんがいたり、すごいリフを入れてくる浩之さんがいたりというのは、15年とかやってきた人の、「簡単な曲をやろうね」って言ってるのに出ちゃう何かが絶対あって、そこが超面白くて。言わないけど試しあってるところがあると思う。こいつ、こう言ったらどうくるんだろう?みたいな。駆け引きとは言わないけど、パワーバランスみたいな面白い化学反応みたいなのがずっと起きている感じ。
──ちなみ、「ホラー映画を観よう」のホラー映画って何か想定されていたのか?
佐々木:何だったかな?「ゲット・アウト」かな。意外とTHE KEBABSって、シンプルなことをやっていくと、段々エモっぽいことができるっていう気がしていて。ホラー映画が流行ってるとか、そういう新宿で今何が起きてるかだけで、今の歌がかけるっていう証明の裏返しになってたりもするので。Playboi Cartiという、同じ調しかラップしないラッパーがいて、それもめちゃくちゃおしゃれなやつでいろんなファッションショーとかにも呼ばれているようなやつなんだけど、「猿でもできる」と同じことやってるなって思って。すごいシンプルなことを言うだけで、勝手にみんなが深読みしてくれている。ラップも進化してて、自分のライフストーリーを語るだけじゃなくなってきてる。THE KEBABSがクリエイティブに自然なことをしていくと、今っぽくなっていくというのがあるような気がしていて。
──その「猿でもできる」の動画を見させてもらったのですが、歌詞に対して映像のダンスが難しそうですよね。
田淵:<踊れるやついるか 猿でもできる>って言ってるのに、その踊りがすごかったらウケるな、みたいな発想。だから全部「ウケる」なんだよね、着想ポイントが。
佐々木:今度、THE KEBABSのライブ来てもらう?リキッドルーム。
田淵:急に出てきてどうする?
佐々木:俺はフロアに降りて、(そのダンスを)見ながらみんなで一緒に歌うわ。
田淵:それにしよう!
──(笑)
佐々木:こういうノリなんですよ、THE KEBABSって。ユニゾンとフラッドでこういうノリだと、実現させるにはどうやってやるかと考えてしまうものだと思う。でも、THE KEBABSの場合は、やってみよっかって感じで。
田淵:とってる立場によって、自分のダサいだろラインみたいなのが変わるのがなんか面白くて。何がダサくて何がOKなのかは、説明がつかないんだよね、なかなか自分の中で。
佐々木:わかります。THE KEBABSをやればやるほど、インタビューしてくれって言っててあれなんですけど、自分の中の理屈が崩壊している。ストーリーがあるバンドは嫌だなみたいなことを言いながら、それも裏返せばストーリーを感じてくれとも言えちゃうみたいなところもあって、この矛盾をOKにしてしまうみたいなところがあるかも。昔は何か一個に集中しないと大成しないぞみたいなのもあったと思う。だけど、そういう時代は2020年より前の話でいいなって思うから。この矛盾してどっちも見せちゃう状態の方が健康的なんじゃないかなって。フラッドやユニゾンで守ってきたもの、作ってきたものをTHE KEBABSでやることによって、矛盾してないか?って突っ込まれそうなんだけど。
田淵:俺、今まではライブのコラボレーションほとんど断ってきてるもん。アンコールで出てくるってあるじゃん?俺短絡的にああいうことするのあんまり好きじゃないんだよね。自主企画とかであるじゃん?
佐々木:あ~嫌いそう!
田淵:お互いの関係値的にカタルシスがあるなら別なんだけど、基本的にはああいうのやるのすごい嫌いなんだよ。ステージで写真撮影とかもほんと嫌だし。
佐々木:それはわかる。でもTHE KEBABSならやっちゃうかも。
田淵:あーでも、(THE KEBABSでも)ステージで写真撮影は嫌だな~。
佐々木:まあ、それをルール化していっちゃうと、さっき言ってたみたいに、試行実験する余裕すらなくなってきちゃう。俺らこういうものだからってなっちゃう。俺らっていうのは、THE KEBABSじゃなくて、それぞれの人生が。でも、そうじゃないパターンを試す場があってもいいんじゃないかなという意味で、THE KEBABSに期待してるところがある。
田淵:なんかどんどん人生がおもろくなっていくような気がしてるんだよな。「なんでTHE KEBABS始めたんですか?」っていうのって、真面目な話をすると音楽好き欲が余ってたみたいな、それをどこかで昇華したかったからバンド組んだみたいなところがあって。自分が音楽好きで、自分が大事にしてるバンドで叶えてもらってるから、これ以上欲しがらなくていいはずなんだけど、やっぱりなんか余ってるからやろうと思って始めたもので。自分の価値観が変わるようなこととか、勉強になることとかがめちゃくちゃあって。でも、こういう時に「外でやったものをバンドに持ち帰るところもあるんですか?」みたいな…その質問されたら俺多分、「そんなことはないですね」って言っちゃう気がする。それはなんか正論みたいな感じがあるじゃん?キレイごとっぽいような。
佐々木:でも「持ち帰る」って、ここで思いついたアレンジを持って帰るとかそういうストレートな意味じゃないけど、ここでこれをやれてるから、こっちでは迷わなくて済むなっていうのはありますね。
田淵:あー。俺はただ単に人生が豊かになってる気がするんだよね。外で活動をやることによって。でも、俺が豊かになってるだけで、それがユニゾンの音楽にどう影響しますかって言われたら、なんもない。ユニゾンはユニゾンでもう変わんないし十分かっこいいじゃんっていう気持ちもあるし。必ずなんか欲しがるじゃん?自分のバンドに持って返るみたいなことって。
佐々木:ファンの人に安心してほしいっていう意味でもあるんだけど、それはなかなか言えないですよね。
田淵:でも、自分の人生が豊かになったというのがあって、そのおかげでなんか心もおおらかになっているってのはあるかもね。
佐々木: THE KEBABSをやることによって、ユニゾンやフラッドに持ち帰るものがなくても、研ぎ澄まされることはあると思うんですよ。
田淵:(確かに本業のバンドに)戻った時になんか、「あ、このバンドって楽しい」ってなる。今日もユニゾンのリハだったんだけど、いいバンドだなって。久々に会って、(音を合わせて)楽しいなって。楽しさが増えてるだけで、ほんとにその音楽の余ってる欲が満たされたことで、生きてることがより楽しくなるから。これはけっこうおすすめだなって思ってる。
佐々木:この間、なんか88Risingのショーン・ミヤシロさんが、「ラッパーとかってどんどん音源出しちゃうから、リリースタイミングは見極めて、絶対ガンガン出させない」って言ってて。それを聞いたときに俺は、THE KEBABSに似てるなって思って。アーティストって燃えてる人は、無限に曲が出てきちゃうから、どうやってアウトプットするかをどうしても考えちゃうと思うんだけど、制限しちゃう。だからこそ、そこからこぼれるTHE KEBABSみたいな場があって。それをやることによって、元いた場所が壊れるとか汚れるとかいうことはなくて、それとこれとは、繋がっているようで繋がっていなくて、みたいなのがアリな世界になってほしいなって。
田淵:新しいことが楽しくなって、元いたバンド辞めちゃうみたいな、そんな例があるから、僕たちが誤解されるのかなって。
佐々木:(自分たちは)どっちも一生懸命生きるだけですけどね。
田淵:こちらとしてはわりと普通なんだけど、世の中的には、やれ忙しいだの、休めだの、そういうことをどうしても言われる。けど、こっちは単純に余ってるだけだからね。ダメな人はすべてがおざなりになるっていうか、全然元のバンドのことやらなくなるとかあると思うけど、まあ俺そういうことしないから大丈夫っすよねという話をして始めてるところもあって。そこに関してはすごく自信があるんだよな。それに文句を言われないためには、全てのことの責任感が上がるんすよね。これでちょっとでも自分のバンドに対して、やる気がないみたいなのが観客から見てばれるようなことがあったら、それはくそダサいけど、それはさすがにしない自信があるので。
リリースされるアルバムの中で、どの曲が一番イカしているか訊いてみた
佐々木:今日の気分になっちゃうんですけど、「すごいやばい」という曲が気に入っていて。まず今時、こんなまんまパワーポップっぽいコード進行とリズムないよなって。
田淵:どっかで聞いたことある感じで。
佐々木:でもこのテイスト、ギターとベースとドラムの組み合わせってほんとに最高だなって改めて思っちゃう輝きをすごい感じられる。それと、これ田淵さんに言って毎回否定されるんだけど、田淵さんってアーティストだなってすごい感じられる歌詞で。さっきの話みたいに合理的に歌詞を考えて、泣かせるため、笑わせるため、応援するために考えて曲作るのってついやっちゃうんだけど、ほんとは音楽を作ったり、アートすることとそれってあんまり関係ないような気がしていて。この歌は、ただ通り雨がザーッと降っている、なんの意味もないことにすごいやばいって感動してファンファーレに聞こえるって歌詞なんだけど、それって本当にどうでもいいことっちゃどうでもいいことで。でも、忙しかったり、合理的すぎると、本当に衝撃的なこととか大事なこととかに心が動く瞬間とかがどうでもよくなってくると思うんですよ。例えば、今から仕事に行かなきゃいけないと思ってるときに、その場で人身事故が起こったときに、人が死んだかもしれないんだと思う自分と、勘弁してくれよと思う自分とどっちがマシかっていう話だと思ってて。どうでもいいかもしれない雨がザーッて降っているところに感動できる自分って大事だなって。で、田淵さんのユニゾンでやっているスタイルの中にもそれがもちろんたくさんあるけど、「すごいやばい」は超簡単な歌詞とシチュエーションを書くだけでそれを感じさせる。ハートがあってよかったみたいな。「すごいやばい」はロックとか音楽とかに関して、感動するポイントが詰まってるような気がしていて、リード曲に絶対ならないタイプの曲なんだけど、俺にとっては大事なものが詰まってる。
田淵:何にも考えてなかったんだけどね。深読みされると気持ちいいなあ。
──田淵さんは何かありますか?
田淵:僕は、ちょうど新曲なのでブームなだけかと思うんですけど、「オーロラソース」っていう1曲目の曲ですね。THE KEBABSを始めて新しい喜びを見つけたとか、更に人生が豊かになったことのひとつに、「こんなんでも作曲って言ってもいいんだ」と気付けたというか。すんげえこう適当なめちゃださの使い古されまくったコード進行でも佐々木が歌えば新曲になるみたいな。演奏がサマになっていればめちゃださのリフでもよく聞こえる、みたいなのができるようになったというのが僕的にはすごい音楽やっててよかったなと、THE KEBABSを始めて新たにゲットした喜びのひとつで。「オーロラソース」はわりとその極地みたいな。やっぱりTHE HIGH-LOWSが好きだったから、3コードパンクスみたいなやつから作曲を学んだみたいなとこがあって。でも、(今までは)それでまともな曲を作れなかったから。自分のバンドは斎藤宏介に合うもの、合うメロディーライン、彼が得意とするほかの人に負けないところを研ぎ澄ませた結果、今のブランドが出来上がったと思う。そうやってわりと3コードの曲作りを諦めてずっとやり続けてきた15年間だったような気がしていて。でも、「オーロラソース」を書いたときの、バンドで合わせて佐々木に歌ってもらったとき、シンプルなコード進行の歌、一応僕書けるんですよって言える自分になれたような気がして。今聞いてもイントロが始まったときに「うわ、ダサッ」って思うし、Aメロもベタベタな3コードだし。でもそれがなんか心地いいというか。それを書いた俺というのが、なんかすごい喜ばしいですね。
──ちなみに、元のバンドとTHE KEBABSでライブするときって全然違うものですか?
佐々木:ちょっとずるいんですけど、どっちもあって。伝えたい事はそんなにたくさんあるわけじゃないし、本当にその時大事だと思ってることを言いたいなって思ってやってるので、そういう意味では違いはないかなって。でもやっぱり人が違っていて、バンドってそれが大事で。THE KEBABSのときは、「ギターソロ!!」って言ってギターの方を見たら、(メンバーが)いないみたいなのがよくあるんだけど、フラッドはそれがまずない。「いない!俺に恥かかすな」と思ったら、あっちで(新井さんと田淵さんが)イチャイチャしてるみたいな。(田淵さんも)THE KEBABSだったらそれをやるけど、ユニゾンだったらそれやんないだろうし。斎藤さんにあんなに絡んだりしないでしょ?
田淵:(少し首を傾げ)んーどうだろうね。
──(笑)
田淵:でも、あるかもね。友達の性質が違うからさ。対斎藤君と、対新井君だったら。
佐々木:(フラッドは)家族って言ったらベタだけど、ずっと一緒にいたという気恥ずかしさもあるし、信頼してる感じもあるし。田淵さんとか新井さんとか鈴木さんとかってほんとに友達っていうか、まあ先輩なんだけど。
田淵:ユニゾンは、家族みたいなものだからね。
今後のケバブスの企みについて訊いてみた
佐々木:セカンドアルバムとかも考えてないので、面白いことを思いついたらやろうみたいな感じかな。
田淵:(企みは)あるんだけどな、でも言ったら手の内明かすみたいな。
佐々木:今、言えるちっちゃいこととかないんですか?
田淵:……例えば、今回のファーストアルバムのときもやりたいと思ってたんだけど、CDの移動販売。なぜ人はそんなCDなんて時代遅れのものを買うのかって考えたときに、やっぱり思い出だったり、参加体験で買ってるような気がしていて。当然こういう職業をしてるから、それに対して考えるのは結構好きで。で、ケバブスカーみたいなのを1台持って、全国回ると。メンバーも乗る、で、回る。で、それでGPSつけといて、今日はここ!っつって、で買いに来てもらって、CD買ったのを僕らがちょっと見て、で、また次の街に行くみたいな。なんか発売日が全部の地域で違うの面白いなって。THE KEBABSニューアルバム発売!バンッ!つって、東京、埼玉、千葉は何月何日みたいな。
佐々木:握手会みたい(笑)
田淵:なにこれ!?ってなりそうだな。でもまあ、そういうCDを買いたくなる工夫っていうのをもうちょっとみんな諦めない方がいいんじゃないかなって思ってて。考えれば考えるほど、面白いアイディアっていっぱい出てくるから。対CDだったらそういうのやりたい。で、対ライブだったら、途中で客全員に酒配るタイムがあるとか。みんな飲んでくれないから。スタンディングだと、中入ると、どうしても飲めないとかあるだろうから。
佐々木:それ、自分でライブ行っても思いますね。こんな中歩きにくいな、狭いなって。
田淵:そうだよね。指定席とかでやって、1回やめまーす、1回ビール配りまーすみたいな。
──いいですね、それ。
田淵:あと、例えばレコーディングだったら、佐々木が言ってて面白いなと思ったのは、初日は、全部生中継して、曲作ってるの見せますみたいなのをやって、翌日、それでできたアルバムの曲をレコーディングしますみたいな。
佐々木:合宿いいかなって。「THE KEBABS 合宿」って。1日しか製作期間設けないって決めて、曲作って、2日目に全曲録るっていう。3日目はライブですね。二泊三日でみんなで帰るっていう。
田淵:あと、ミックスっていう、レコーディングした曲をみんなで聴いて整えて、これで完成ですねっていう作業があるんだけど、それができた途端に聞いていいよという制度作れないかな?って。別にファンクラブを作る気はないけど、めちゃお金を払ってくれた人には、もう音源ができた瞬間にみゅーーんってあなたの端末に音源が入りますみたいな。そしたら、今日トラックダウンが終わりました!どうぞって、LINEみたいな感じで送られてくるってすげぇいいなって思って。これは音楽業界のルールであって、とても大事な部分の一個ではあるんだけど、できたあとにこれをみんなの元に届けるまでに、1か月2か月かかるよっていうのがあるんだけど、そういうのいいから早くくれっていう人には早く配ればいいんじゃないかなって思っていて。そういう当たり前になっているものに別案投げるみたいな突破口になってみたいなってすごく思っていますね。
──なるほどですね。
田淵:それでバンド好きな人とか音楽好きな人が、もっと音楽好きでよかったなっていう気持ちになってもらいたくて。そういうものがあって、ロックバンドにはまるやつも、うっかりライブハウスに転がってくるやつも増えたりするんだったら、そういう工夫はしないと、よそのゲームとかYouTuberとか、そりゃあそっちに行くよなって。お客さんって、やっぱり面白そうなことが見つけやすいとこにまず転がって行くから。そんなときに、音楽はいつまでそんなに決まったルールでやってるんですかね?っていうのはすごく思っていて。音楽が好きな人が一人でも増えるなら、やってみたいというアイディアは、すごいいっぱいありますね。
インタビューを終えて
冒頭で「インタビューを通して彼らの企みを探る」なんて書いたんだけど、最後にはわりと大きなスケールの企みを話してもらった気がしていて、今はただただ震えておる次第。
にしても、やっぱりお二人とも頭の回転がめっちゃくっちゃに早い。
一個ボールを投げてみると、瞬時に、それが何倍にもなって返ってくるのだ。
しかも、そのコントロールが的確で。
流石というか、なんというか。
インタビューしながら、ずっと思いましたもん。
あ、これこそが、すごいやばいだ、って。
きっとこの記事を読んでいる人の多くは「そんなこと、とっくに知ってるよ」って思うかもだけど、改めてご本人と対面して言葉を交わすことで、そのことを強く強く実感したのでした。
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