前説

[ad]

今年、シーンに大きく存在感を示したバンドっていると思うけど、自分の中で外せないバンドが一組いる。

それが、Omoinotakeである。

「モラトリアム」「産声」「One Day」など、ぐっとくる楽曲を今年、たくさんリリースした彼ら。

なんとかして、今のOmoinotakeのお話を訊きたいと思った自分は、無理を承知でインタビューをさせていただきました。

というわけで、この記事では今のOmoinotakeの言葉をテキストにしております。

御覧ください。どうぞ。

本編

インタビュー

──単純に今年はどうでしたか?

レオ(Vo&Key):良い曲をたくさんリリースできたのがよかったですね。

──確かにリリースが多い印象でしたね。

レオ:2019年の3作がよかったというのがあったので、その勢いを殺さないように今年も、三ヶ月連続でシングルを出そうということで進めていきました。

インタビューでは、まず、今年の2月にリリースされて話題になったモラトリアムという楽曲についての話から伺うことにしました

レオ:初めての描き下ろし作品だったので、気合いはめちゃくちゃ入ってました。

エモアキ(Ba&Cho):歌詞の面では原作を読み込んで、今まで触れたことのないカルチャーだったりもしたので、どこを自分との共通項にして探すというか、どこをそのポイントにしようと思ったときに、ああいったフレーズが生まれてきて・・・っていう感じだったので、わりとスムーズに制作できました。

ドラゲ(Dr&Cho):リズムに関してはどちらかというバラードだけど、横ノリみたいなイメージで。ちょっと首が揺れるようなイメージだったりを大切にしようと思って、制作にあたりましたね。

レオ:あとはその、(主題歌という)イメージの軸があることでやりやすりかったのと、原作の漫画がすごく人気な作品なので、原作のファンの方が喜んでくれるような、この曲、合ってないって思ってほしくなかったので、すごく漫画を読み込んで、世界観を作りました。

──タイアップということで、今までと違う反応や手応えはありましたか?

レオ:一番わかりやすいところでは(主題歌のおかげで)海外の方から反応をもらえたのが大きかったですね。

2020年を改めて振り返って

エモアキ:「モラトリアム」っていう新しいアルバムができたタイミングで、大阪とか名古屋とか今までワンマンツアー回れなかったところも行けるってなって、どんどんこっから行こうってときのコロナだったので・・・。(ただ、)4、5、6月の三ヶ月リリースするっていうのは決まっていて、なので配信の強みというか、今思っていることをわりとすぐのタイミングでリリースできるっていうところがあったので、「One Day」とか「夏の幻」は今思っていることを書いて、すぐに聴いてもらおうと思って、そういったマインドで曲が作れていきました。

レオ:あとは、バンドはじめて2、3年くらい経って、がらっと音楽性を変えていた時期があったんですけど、その頃から聴き始めたブラック・ミュージックの要素と、それまでも聴いてきたブラック・ミュージックではない音楽の融合っていうのが、「モラトリアム」制作時から自然とできるようになってきたので、Omoinotakeらしさがたくさんの人に広がっていったらいいなっていう思いで、今年は曲が作れていったかなって。

──ちなみに、Omoinotakeらしさとは何ですか?

レオ:いつもみんなで言っているのは「踊れるし泣ける」っていうのがキーワードかなーと。踊れるっていうのはブラック・ミュージックとかを吸収して、グルーヴ感とかでいかに、耳で聴いて身体が揺らせられるかという要素。泣けるっていうのは、もともと中学生くらいの頃から好きな、ジャンルは関係のない、「切ない」の曲の要素。ただオシャレなだけじゃない、ブラック・ミュージックのフィルターを通した切なさとか、エモーショナルさを、いかに出していくかっていうのが「らしさ」なのかなーと思っています。

──新しくリリースされたミニアルバムでも、その「らしさ」を大事にされたということでしょうか?

レオ:はい、そうですね。

──ちなみに、制作をするなかで、この曲は苦労したとか難産したみたいなのってありますか?

レオ:「産声」ですね。これはメロ先の曲なんですけど、メロディーもけっこう苦戦しました。

──ちなみに、曲を作るときはどういうアプローチで作っていくんですか?

レオ:詞先のときは、メロディーも、こんな曲調にしたいとかもなくて、詞だけが完成してそこから作っていくって感じです。メロディーが先だと、でたらめ英語みたいな、ある程度どういうビートだったりとか、どういう曲調にしたいかっていうイメージがあるなかで詞を書いていってっていう、その2パターンですね。

──今回のepだと、どの曲が詞先になるんですか?

エモアキ:「欠伸」と「夏の幻」と「東京」って曲が詞先で作ってます。

──そうなんですね。例えば、「欠伸」なんかだとどのフレーズからできたみたいなのってあるんですかね?

エモアキ:Aメロに「つられて〜」のくだりがあるんですけど、この曲の場合はいわゆる歌詞っぽい歌詞を書こうと思って作ったので、「つられて泣いた」とか、そうやってイメージを膨らませて書いていくみたいな。そういったところがとっかかりでした。

──普段の曲作りとタイアップでの制作で違いはありましたか?

レオ:タイアップの良さっていうのは、自分たちだけでは引き出せないものがあると思うし、締切みたいなものがあることで、期限ギリギリでなんか生まれてきたりするものがあるので、タイアップって大事だなーって。

──期限がある方がいいということですか?

レオ:焦りみたいなものがひとつのエネルギーになるのかなーと。

エモアキ:あと、フラットな状態だったら絶対に使わない言葉とかが出てきたりするし、(普通にやっていたら)「モラトリアム」みたいな曲を自分たちの最新のシングルとしては作れないだろうなというところもあったりして。そういった面でも引き出してもらえるのが大きくて。すごくありがたいなと思いました。

──楽曲制作以外で今年大きなトピックはありましたか?

レオ:ひとつの大きな出来事として、一発撮りのパフォーマンスを配信するYoutube チャンネル『THE FIRST TAKE』にて「One Day」という曲をさせてもらったことですね。あれは曲を含め、今年だったからあった出来事ですし、曲の広がりも含めて大きかったですね。

エモアキ:『THE FIRST TAKE』は一発撮りなので怖い部分もあったんですけど、もともと観ていたものだったので、すごくありがたかったです。

──ライブでやるのと緊張感は違いましたか?

レオ:『THE FIRST TAKE』は全然違いましたね。

ドラゲ:全然、違ったね。

エモアキ:他の自分たちで作る動画だったら、何回もやり直しができるし、ってところがあるんですけど、『THE FIRST TAKE』 は(一発撮りなので)怖かったなー。

レオ:すごいストイックな動画撮影でしたね。

──もともと、Omoinotakeは(ライブハウスだけじゃなく)路上ライブもされてましたけど、路上ライブの場合とも、また違いますか?

レオ:路上ライブは(ライブハウスと違って)そもそも音楽を聴く気がない人に向けて演奏をするので、頼むから俺たちの演奏を聴いてくれっていう、メンタル的なところが全然違いますね。

──なるほどです。話は少し変わりますけど、路上から始まって長く活動していくなかで、演奏していく楽曲に変化って、あったりしましたか?

レオ:そうですね。はじめたころは、もともと僕がドラマーだったこともあって、ピアノとかのウワモノ系の楽器をどうしたらいいのかわからなくて。やっていくうちに少しずつどういう音が入ったらかっこよくなるのかってわかってきて。(それで少しずつ)サウンドがかっこよくなっていったかなーと。あと、アレンジャーの方と一緒に作るようになったのがわりと最近で、それで磨いてもらったり、盗んで自分の力にしたりとかも。

──アレンジャーの方とは、どういう距離感で一緒にやっているんですか?

レオ:たくさんの曲をやってもらっている、Alaska Jamの石井浩平さんは、すごく長い付き合いなので、けっこう躊躇いなく思うことは言えるし、やらせてもらっていますね。

──けっこうバチバチにやると。

レオ:そうですね。密に連絡を取り合ってやってますね。

──ちなみに、このやり取りは凄まじかったってありますか?

ドラゲ:印象に残ってるのは、浩平さんはベーシストで毎回デモの段階でテクニカルなベースを弾いてくるので、エモアキが「ちょっと簡単にしてくださいよ」みたいな感じで、ごねるっていう(笑)

エモアキ:(笑)

──ちなみにそれはどの曲の話なんですか?

ドラゲ:「One Day」かな。

エモアキ:あれはムズかったなー。でも、そうやって、浩平さんのフレーズとかをどんどんレコーディングで練習するたびに楽勝になるのが気持ちいいというか。

レオ:「One Day」に関していうと、(ミニアルバムに入っている)それ以外の曲はけっこう自分たちである程度形にしてからブラッシュアップしてもらったりしたんですけど、「One Day」は浩平さんに自由にお願いしますって形でやってもらったので、自分たちではできないサウンド感があったっていうのがありますね。

最後に今年の活動が自分的に何点なのか、またその理由はなぜなのかについて聞いてみました

レオ:70点ですね。で、なぜ70点かというと、少し話はずれるんですが、今まで何をやってもだいたいボチボチみたいな感じで、父親に「おまえは何やっても7割だ」って言われたことがあって。それが自分の心に引っかかって。(逆に言えば)7割を超えたらもっとすぐブレイクできる・・・。ただ、まだ今年は7割だったかな、的な。

ドラゲ:僕も70点ですね。レコーディングをするときにとりなおした回数が30回あったので・・・っていうのは冗談ですけど、(今年の作品制作でも)楽曲によってリズムアプローチとかトライした部分があるんですけど、あれもしたい、これもしたいと、来年の自分に課せるためにも、70点にしました。

エモアキ:65点・・・。そのこころは、今年はずっと飛躍の年にしようとずっと言ってて、でもコロナになって、代わりに色んなチャンスも頂いて、確実に広まっていってるとは思うんですけど、飛躍とまではいっていないなーと思っていて。というところがあって、マイナス35点かな、と。(なので、)あと二ヶ月で73点くらいまでは、もっていきます。

関連記事:Omoinotakeの「幾億光年」が、ついに何かを突出させた件

関連記事:Omoinotakeの「幸せ」で感じたゾクゾクの考察

[ad]

LINEで送る
Pocket