前説

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きっかけは曲が良いと思ったからだ。

そう。

自分はSixTONESのデビューの楽曲が良いと思ったから、彼らの音楽を聴くようになった。

特にデビュー曲である「Imitation Rain」は印象深い曲だった。

この曲の作詞作曲を手掛けたのは、X JAPANのYOSHIKIである。

YOSHIKIのイズムを感じさせる言葉遣いや楽曲展開。

今までのジャニーズグループのデビュー曲とはちょっと違う、大人びた魅力を感じる歌。

雨の中から沸き立つ、静かな闘志を感じさせるような一曲だった。

そういうテイストの楽曲を、SixTONESは誠実に表現していた。

だから、楽曲に引き込まれるとともに、SixTONESにも引き込まれるようになった。

ただ「Imitation Rain」を聴きはじめた頃の自分は、SixTONESの名前は知っていても、正直メンバーの名前は知らなかった。

20代のメンバー六人で構成されているんでしょとか、一部メンバーのキャッチーなパーソナルは認識していたが、それ以上のことは正直知らなかった。

そんな自分が、今年、SixTONESのDVDを購入することにした。

DVDのタイトルは「TrackONE -IMPACT-」。

SixTONESのCDデビュー前、最後のワンマンライブの映像を記録したDVDである。

SixTONESって、一体どんなライブをしているんだろう。

単純にそのことが気になったので、購入したのだった。

そこで・・・。

この記事ではこのライブDVDについての簡単な感想を書いてみたいと思う。

本編

ジャニーズのライブ

このライブは、SixTONESのCDデビューを直前のものとなる。

この数週間後には待望のCDデビューが行われるというタイミング。

本篇のラストは、先程も紹介したメジャーデビュー曲となる、そして自分がSixTONESを聴くきっかけとなった「Imitation Rain」で締めくくられている。

正直、自分は今までジャニーズ所属のアーティストのライブを観たかったことってなかった。

TOKIOやENDRECHERIがフェスで出演した際のライブは観ているんだけど、きちんとアーティストサイドで作り込んだワンマンライブは観たことがなかったのだ。

ジャニーズのライブはすごいぞ・・・。

知り合いからは、そういう話を聞いたことはある。

作り込みが全然違うとか、演出がすごいとか、そういう類の話だ。

圧倒的なエンターテイメント性が、そこにはある・・・らしい。

例えば、人が宙に浮かぶとか。

ステージが移動して近くの方をすーっと移動していくとか。

普段はバンドのライブばかり観ている自分からしたら「いやいやいや、そんなの盛りすぎでしょ」と思ってしまうような話をきくこともあった。

情報としては「そういうものもある」ということを知っていた自分だが、肉眼でそれをきちんと観たことはなかった。

ついに、自分は「それ」を目撃することになる。

そんな期待と不安を持ちながら視聴を始めたSixTONEのライブだったんだけど、SixTONESのライブも冒頭から演出の部分で大きく引き込んでくる。

「Rollin’」で幕開けとなるこのライブでは、SixTONESは初っ端からいきなり空中戦を仕掛けてくるのだ。

ライブを観てない人だとナンノコッチャという話になってしまうかもしれないが、冒頭からSixTONESは宙の上で歌いながら、ぐるぐるとまわるのである。

どれだけ身体が回転しても、そのあとのボーカルが乱れることはない。

このボーカルパフォーマンスだけでも、SixTONESの凄さを実感させる瞬間であった。

「Rollin’」が終わると、SixTONESは地上に戻ってくるんだけど、そこからの躍動感もすごい。

カラフルなサウンドとキレのあるダンスが印象的な「JAPONICA STYLE」や、セクシーなダンスと躍動するビート感が印象的な「「RAM-PAM-PAM」は、特にSixTONESの「エンタメ性」が爆発していて、映像を観ているだけでワクワクさせられる。

このDVDを観て思ったけれど、SixTONESってやっぱりしっかりとパフォーマンスで魅せるタイプのグループだよなーと思うのだ。

下積みが長く、なかなか陽の目を浴びてこない中でも淡々と実力を描いてきたグループだからこその技量。

以降もライブは鮮やかな照明だったり、動くステージだったりと、たくさんのスタッフが関わっているからこそ作り上げることができるステージまわしを展開していく。

衣装も目まぐるしく変わっていくし、楽曲ごとに展開も大きく変わるし、視覚的にも、聴覚的にも楽しい時間が一瞬にして過ぎ去っていく。

ああ、これがジャニーズ所属グループのライブなんだ・・・・と感じてしまう瞬間だった。

こういうお金をかかった演出に対して、きっちりと期待に応えるようなパフォーマンスをするところが流石である。

ジャニーズという巨大かつストイックな集団に属し、裏の部分で想像を絶するような努力に勤しんできた人間だからこそ、できる芸当なんだろうなーと思うのだ。

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努力の先にたどり着いたステージ

これは勝手なイメージだけど、バンドのライブは肉体性があって、人間味に溢れるライブが多い。

一方、テレビに出たり大きなステージに立つようなアーティストは完成度が高度な演出とパフォーマンスで魅了するけれど、人間味は薄くなってくる。

そういうイメージがあった。

その区分けで言えば、SixTONESも後者だと思っていた。

やっぱりジャニーズだし、ちょっとどこか遠い人たちなのかもしれない、と思っている部分があったのだ。

大衆を相手にするエンターテイナーの宿命といえば宿命なんだけど、きっとSixTONESもそういうライブをするんじゃないかと勝手に思っていたのだ。

たしかに、この日のライブのパフォーマンスも完成されたものであった。

少なくとも、デビュー前のアーティストとは思えないほどに歌もダンスも洗練されていたように思う。

けれど、SixTONESのライブには等身大の姿というか、デビュー前のこの時だからこその実直な想いがライブの中で表現されていたのだ。

それは、ライブの終盤に訪れる。

ステージの照明が暗くなり、ステージに立ったメンバーひとりずつにだけスポットを当てるような時間が用意される。

その間、メンバーはステージ上で仁王立ちになっているのだが、合わせて事前に録音されたメンバーの一人ひとりの声が会場に流される。

結婚式のエンディングのように、したためた手紙を独白するのような形で、自分たちの想いの丈が述べられていく。

その言葉の中にあるのは、不安や弱さといった、ネガティブな色合いが強いものであった。

「ホンネ」は隠す方が美徳されがちな大衆的な芸能人において、そこで綴られる言葉はどこまでも赤裸々で率直に響いてくるのであった。

曰く、自分たちはデビューができないかもしれないと思っていたこと。

曰く、デビューは決まったけれど、本当はそのデビューが怖くて仕方がないということ。

曰く、自分のパーソナリティ故に誤解されることが多くて歯がゆい思いをたくさんしてきたということ。

曰く、日々ぜんぜん思い通りにいかないことばかりで、それまでの道のりが辛くてきつくて大変だったということ。

メンバー全員、そこで語られる言葉は、どこまでも率直だった。

もちろん、それも「演出」ではあるかとは思う。

でも、それを「演出」と吐いて捨てるには、あまりにも赤裸々でリアルな姿がそこにあった。

特に本編が終わって、アンコールの最後にメンバーの多くが波を流した場面を観るとなお、ここで語られる言葉が強い印象を残すのである。

改めて思った。

きっと彼らは、色んな想いを抱えながらここまできたんだということを。

簡単には思い出にできないような辛酸をなめながら、やっとここまでたどり着いたんだということを。

そのことが想像できるから、メンバー全員が本心をさりけだしたあとに、満を持して披露されるデビュー曲の「Imitation Rain」が、どこまでもかっこよく響いてくるのだ。

自分はこの瞬間に、この日一番の鳥肌を立たせることになる。

こうやってライブを通してみると、「Imitation Rain」はSixTONESの中でも異質な響きをもった楽曲であるように感じる。

だけど、そういう異質さも自分のものにする強さが、SixTONESにはあった。

というよりも、こういうかっこよさを持った歌を、きちんと表現できると思われたからこそ、この歌をデビュー曲にしたのではないかと思うのである。

必ずしも平坦ではなかった道。

デビューまでの道中でジャニーズを辞めようと思っていたメンバーもいたはずの中で、やっとたどり着いたCDデビュー。

今後、このグループはさらなる躍進を遂げていく。

そのことを予感させるようなパフォーマンスに、ただただ自分は見とれてしまうのだった。

まとめ

にしても。

にしても、である。

こんなの、魅せられてしまったらそりゃあ大変なことになってしまうよなーと思う。

ライブDVDを観ていたときは、よくファンのみんなはずっと黄色い声援を飛ばしていられるな、その体力どっか生まれるねんと思っていたけれど、今はそれくらいになってしまう気持ちがわかる。

ライブの瞬間は、集中して世界の中に入り込んでしまう気持ちが、今ならよくわかるのだ。

「沼」というのは、いつだって知らないうちにどっぷり浸かっているものなんだよなーと思うのだ。

こんなもの魅せられたら、そりゃあ大きな沼にハマってしまう人だってたくさんいるわなーと思う。

このライブDVDは、沼へと続く凶悪なハシゴであることに、視聴後に気づいてしまうのである。

いやーSixTONES、恐るべし、である。

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