前説

ふと今年のヨンフェスのメンツをみていると、いわゆるONAKAMAが揃っていることに気づいた。

ONAKAMAとは、 THE ORAL CIGARETTES、04 Limited Sazabys、BLUE ENCOUNTの3バンドのことである。

ONAKAMAとは、どういうものなのかには触れないで置くけれど、せっかくこの3バンドが今年のヨンフェスで集結するならば、この記事ではこの3バンドにスポットを当てた記事を書いてみたい。

本編

この3バンドが出演したイベント名がONAKAMAだった。

そのため、当時からこれらのバンドのファンだった人からすると、この三組が揃うと、ついついニヤリとしてしまうところがある。

今となっては、3組とも日本のロックシーンにおいて存在感を示すバンドとなった。

が、その個性はバンドごとにまったく違う。

厳密に言えば、似ている部分もあるんだけど、バンドごとの持っている武器は明確に違うように思う。

BLUE ENCOUNT

BLUE ENCOUNTはエモというジャンルをベースにしたロックで、攻めるバンドだ。

そこからミクスチャー的な要素を加えたり、エモというジャンルでありながら、細かくリズムを刻んでみせたりすることで、重めのサウンドでありながらテクニカルさも感じさせる部分が特徴のバンドである。

特筆するべきはライブのエモーショナルさ。

サウンドとライブのテンションとMCの熱さが、ここまでしっかりとリンクしているバンドもそうはいないと思う。

フォーリミ、オーラルと比べても、際立つのは、そういう部分だと思う。

この3組のバンドで、一番ストレートな熱さを感じるとでも言えばいいだろうか。

ただ、ブルエンが面白いのは、近年の作品ではより“テクニカル”な部分を強調していることである。

勢いで押し切ったり、ぶち上げるだけの楽曲なのではなく、音楽が持つリズムの魅力をより意識させる楽曲も積極的に歌っている気がするのだ。

もともと、ブルエンは田邊の甘い声もひとつの持ち味であり、グルーヴィーな歌もかなり魅了的に歌うことができるボーカルである。

きっとこれからの活動において、ブルエンはどんどん良い意味でイメージの殻を破るのだと思う。

ブルエンって言えば、エモーショナルなボーカルがよく泣くバンドでしょ、みたいな認知なんて古ぼけてしまうくらいに、さらなるフェーズに進んでいくのである。

そのことは確かだと思う。

THE ORAL CIGARETTES

初期のオーラルはわりとシンプルなギターロックだった。

サークルを作ってワチャワチャしちゃう音楽が流行っている中で、シンプルに右手だけをあげたくなるようなギターロックだったイメージがある。

しかし、オーラルは歳を重ねるごとにどんどんと内なる魅力を開花させていくことになる。

雑に言ってしまえば、V系+邦ロック、みたいなところがオーラルのイメージだと思うんだけど、他のバンドではやらないように絵的な部分へのこだわりを感じさせるバンドになったように思う。

ステージにいるオーラルのやまたくを見ていると、目の動かし方や指先の動かし方ひとつとっても、相当に気を張っているように感じるのだ。

全方位、自分は見られているということを意識して、パフォーマンスをしているように感じるのだ。

音楽だけじゃなくて、そういうところにまでこだわりを見せるところに、ある種のV系らしさを感じるのだと思う。

バンドサウンドにおいては、この三組の中で一番テクニカルというか、音の振り幅がとても大きいように感じる。

ボーカルの声色もかなりの数があるし、フェス尺だけでみても、オーラルというバンドはひとつの側面では語れないことを痛感するのである。

04 Limited Sazabys

この三組を比較すると、フォーリミが一番変わっていない気がする。

最初のONAKAMAのときの音楽性という話だけで言えば、きっとそうだと思う。

もともと、フォーリミの音楽がパンク・ロックに根ざしたものだから、ということもあるんだろうけれど、メジャーになったあとの動きがフォーリミは他のバンドとちょっと違う気がするのだ。

一時期はもっと多くの人に音楽を届けようと、意図的にポップの路線にかじを切っていた印象もあったが、程なくしてそこに向かうのはやめた印象を受ける。

バンド自身のコメントとしても、自分たちはただ大きくなるということを志向しているのではないということを明言している。

どのバンドよりもカルチャーというものを大事にしているバンドであり、パンクロックとしてのカルチャー(例えば、ライブハウスとか)を大事にしているのかなーなんて思うのだ。

おそらく、カルチャーというものを大事にするバンドだったからこそ、ヨンフェスというフェスを作り上げたのだろうし、そこに目が言っているからこそ、ルーツを大事にした音楽(つまりは初期の音楽性から大きくは外れない音楽)を生み出しているのかなーなんて思う。

フォーリミの音楽としての面白さはまさにここにあって、根本はパンクやメロコアやパワーポップになるんだけども、カルチャー志向が強いからこそ、いわゆるサブカルなんかにも精通していて、そういう部分がうまい具合に音楽やビジュアル面に落とし込まれていると思う。

思えば、今年のヨンフェスだって、Crossfaithのようなゴリゴリのバンドも呼んでいる一方、佐藤千亜妃のようなアーティストも呼んでおり、そういう幅に実にフォーリミらしさを感じる(ちなみに、GENとコイエと佐藤千亜妃は全員同い年である)。

きっとこれからもフォーリミはルーツとカルチャーを大事にしながら、自分たち発信のワクワクするものを作っていくのだろうなーと思う。

音楽とはまた違った観点でも、クリエイティブを発揮していく今後のフォーリミの動きが楽しみである。

まとめ

というわけで、三組のバンドの記事を書いてみました。

それにしても、ヨンフェスの倍率は年々上がってきており、いかにこのフェスがロックシーンに定着してきたのかを如実に示していると思う。

きっと、今年のヨンフェスもすごいものになるのだろうなーと思う。

ブレアもそうだけど、今はただただ愛知県のロックシーンがただただ熱いよなーと思う。

関連記事:04 Limited Sazabysの音楽の変わらない爽快感の秘訣の考察

関連記事:04 Limited Sazabysというバンドの偉大さについて

 

LINEで送る
Pocket