Number_iの「REBON」「BUGS LIFE」「DIGITAL GIRL」の独自路線に惹かれた話

Number_iは、どんどん独自路線に突き進んでいる。

その「独自」具合は好みが分かれるところもある印象だけど、音楽はそもそも好き嫌いのあるもので、人の数だけ「好き」があるよなーと思う。

そのうえで、自分はNumber_iの、この独自具合が好きだ。

なぜか。こういう切り口、こういうテイストで、これだけクリエイティブな作品を生み出しているアーティストって、ほかになかなか思い浮かばないからだ。曲の中に詰まっている発想を追っていくのが楽しい。今回のシングル『REBON / BUGS LIFE / DIGITAL GIRL』にも、そう感じるところがいくつもある。

「REBON」

まず「REBON」。

この歌は、和のテイストの香り方が絶妙だ。チョコレートの抹茶味的な。あるいはカリフォルニアロールのような。

その音色をこういう刻み方のビートにトッピングするんだ!的な興奮があるのだ。

スリリングなビートメイクと高速のフロウが重なっていく瞬間もぐっとくる。ただ単にワールドワイドに音楽をクリエイトするのではなく、どこか特定のジャンル性を打ち出すわけではなく、ごちゃまぜになった先の「らしさ」を追求している感じ。次々と繰り出されるラップに包まれることで、高揚感が増していく流れなのも良い。

ほんと、このスピード感えぐい。国内の音楽シーンだと、高速フロウといえば、R-指定を思い浮かべる人も多いだろう。そこと比較してどうのこうのではないけれど、高速フロウの堪能具合でいえば、Number_iの鋭さも半端ないことは確かだ。

しかも、Number_iの楽曲の場合、そのままの調子で最後まで突っ走るわけではない。あるいは、サビでキャッチーなメロディーに着地するわけでもない。予想のつかない角度から、予想のつかない切り返しをするのだ。

それくらいに、突然、がらっと楽曲の雰囲気やテンポ感が変わる。それが良い。さっきまでのビートの流れに乗っていたら、急に違うところへ連れていかれる。コーヒーカップと思って乗っていたら、ホーンデッドマンションだったような心地。構成の中でビートのスリリングさを最大限に引き出すからこその心地である。

「BON BON」と、とにかく弾けるように展開するところも面白い。カタカナ語のような音の響きそのものでビート感を生み出すワクワク具合。言葉の響きが、そのまま曲の勢いになる感じ。細かく畳みかけるところと、弾けるように響かせるところ。その使い分けがあるからこそ、ラップを追いかける面白さが増しているのだと思う。

「BUGS LIFE」

フォンクチューン的であるこの曲において、作り手側が好むカルチャーが作品から見えてくるテイストなのも良い。こういうテイストが好きだから、こういうモチーフをもってこういう再構築をしてみました、みたいな要素が見えてくるのが良い。背景が見える音楽だからこそのワクワクがこの楽曲にはあるというか。

そして、この曲はディープで鋭い低音のフロウが炸裂している。

低い声の深みがありながら、言葉の響きには鋭さがある。その声で次々と言葉を繰り出していく感じが、とてもかっこいい。「まくしたてる」という言葉が、こんなにも似合うかっこいい歌って、なかなかないよなーと思う。

それを支える音使いも好きだ。少ない音数なのに、まくしたてるようなラップと噛み合って、しっかり高揚感を作り出している。音を足さなくても、ここまで気持ちを上げられる。少ない音の中だからこそ、フロウの深さや鋭さにも意識が向く。

「DIGITAL GIRL」

「DIGITAL GIRL」は、ゲームサウンドっぽい始まりにぐっとくる。そのあとに入る、張り詰めたような、叫びにも似たボーカルの入れ方が良い。

ラップを主軸にしつつも、歌を聴かせるパートへの対比も良い。この曲もどんどん展開を変えていくという点では同じなんだけど、切り替わり方が他の楽曲とはまた違う。故に、次はどうなるんだろうとワクワクする。

海外、具体的にはアメリカのヒップホップシーンに目配せをしながらも、J-POPともUSヒップホップとも違う発展を繰り出している。そこが良い。好きなカルチャーが見える一方で、そこからどんな作品にしていくかには、Number_iならではの発想があるように思う。

まとめにかえて

3曲それぞれに惹かれる理由をたどっていくと、自分が好きなのは、この自由な発展の仕方なんだろうなーと感じる。

その独自具合を、どう感じるかは人それぞれだと思う。ただ、自分的には、好きすぎるという話。