Aぇ! groupの「Chameleon」の話。歌詞、歌割り、ボーカル、サウンドに触れて

Aぇ! groupの「Chameleon」の話。歌詞、歌割り、ボーカル、サウンドに触れて

本来は上半期に書くべきだったんだけど、ちょっと忙しくて執筆が後回しになっていた記事を、最近いくつかアップしている。

そんな中で、今回はAぇ! groupの「Chameleon」を取り上げたい。

本作は、Aぇ! groupの3rdシングル。リリースは6月のため、話題になったのはちょっと前ではあるんだけど、改めてこの楽曲を紹介したい。

というのも、けっこう自分はAぇ! groupのロック色のある楽曲が好きで、その濃度が強めの楽曲をプッシュすることが多かったんだけど、改めて「Chameleon」を聴き直すと、この歌ええやんええやんになったわけである。

本編

ロック色の強い歌とは違ったスポットの当たり方

それまでのシングル曲はロック色が強い楽曲が多かったが、「Chameleon」は意図的にロック色を脱したような構成になっている。

もちろんギターやドラムがサウンドを盛り立てるという意味では”バンド”が作り上げたサウンドが軸にはなっているんだけど、バンドのアプローチがちょっと異なっているのだ。

あえて言えば、オシャレ系。

複数日あるロックフェスであれば日割りが違いになりそうなくらいのテイストの違い。

これまではゴリゴリ系のロックだとすれば、明確に「Chameleon」はスタイリッシュなそれなのだ。

クールなダンス・ナンバーだし、ソウルとポップのバランスが気持ちよくて、ノリノリになれる。

痛快なリズムワークではあるんだけど、間を大事にした歌だからこその気持ちよさが全編に通じて展開される。

Aぇ! groupの新たなフェーズを予感させる楽曲展開だし、サウンドを乗りこなしながら、それを丁寧に歌いこなすAぇ! groupのボーカルも良いのだ。

5人のボーカルが織りなすハーモニー

そう。

「Chameleon」でポイントなのは、ソロパートの豊富さ。

楽曲の大部分をソロパートで歌いつなぐような構成になっており、メンバーのスマートかつパワフルなボーカルが印象的なのだ。

末澤誠也のボーカルがしかるべき軸を握りながらも、正門良規の柔らかな歌声や、佐野晶哉の爽やかなボーカル、草間リチャード敬太の紡ぐ凛としたメロディー、小島健のエッジの効いた歌声のワイルド感。

それぞれがそれぞれの個性を発揮して、歌のバトンを繋ぐからこそ、カメレオンというコンセプトやカラフルな楽曲構成と相まって、とんでもない破壊力を生み出す。

しかも、そんなリレーの果てにたどり着いたユニゾンのインパクトがまた良い。

あぁ、一切合切剥がれ落ちて
本当の感情さらけ出してちょうだい
肩書きも無意味なように
衝動抑えつけぬように
まともなフリ 隠した欲望
どうにも止まらなくて膨大
後悔する暇もないでしょ
強がりはとうに置いといて

ここで歌のモードがさらにひとつ切り替わって、歌がどんどん盛り上がっていく。

このユニゾンの流れでも、大サビにしてもいいくらいなのに、

脱したいだろ大都会とか
甲斐もない日々限界だ
賛美に満ちた甘美な笑みも
腹抱えて暴いてしまえば
代理可能な大義の裏
隠れた永遠の少年が
鮮やかな色望んだ憧れを
最後姿表すカメレオン

で、リズムアプローチを高速にして、本当の大サビの展開を作り上げる。

この楽曲構成が良いし、ボーカルだけでどんどん展開を作るAぇ! groupの歌いこなしが絶妙なのだ。

楽曲がおしゃれで、歌の見せ方が変わるだけでも十分インパクトがあるのに、表現の部分や魅せ方の部分もどこまでも鋭いのである。

こういう音楽軸でのワクワクを深めていくあたりに、Aぇ! groupの凄さが際立っている。

歌詞とボーカルのシンクロ具合

あと、歌詞自体も良いなあと思う。

なんというか、Aぇ! groupの音楽としての物語とシンクロしている気がするのだ。

フルアルバムがリリースされて、ここからシングル曲でどのようにして、違う色をみせるのか?というタイミングでリリースされた歌だからこそ、フレーズのひとつひとつが際立つというか。

音楽的なチャレンジと、歌詞が紡ぐメッセージと、Aぇ! groupのパフォーマンスがシンクロしている感じがするからこそ、聴いていて楽しいし、耳と頭に残るインパクトも強いという、そういう話なのである。

まとめに替えて

おしゃれで気持ち良い

歌割りが良すぎ。

ハーモニー最高。

歌詞と表現力の組み合わせが絶品。

ざっとまとめると、感想はこんな言葉に行き着く。

ロック色の強い歌も良いけれど、こういうタイプの楽曲でもAぇ! groupって魅力的なんだなーと改めて感じたという、そういう話。