マキシマムザ亮君がSixTONESに楽曲提供したというニュース

SixTONESの5枚目アルバム『GOLD』に収録されている「恋のバタリアン」の話をしたい。

今作の大きなる特徴はマキシマム ザ ホルモンの頭脳と言っても差し支えないマキシマムザ亮君が作詞作曲を手掛けているところにあるだろう。

マキシマム ザ ホルモンの楽曲を聴いたことがある人は多いと思うが、マキシマム ザ ホルモンの楽曲って個性の塊である。

独自の楽曲展開と言葉選び、そしてルーツ性や時にはオマージュ性を大切にしたサウンド世界で、マキシマム ザ ホルモンでしか体験できない濃度の音楽世界を作り上げていく。

一発でも耳にしたら、あ、これホルモンの歌だなあとビビッとくる程度には、臭いが厳しすぎるとんこつラーメンの如く、強烈なインパクトを残すことになる。

なお、マキシマム ザ ホルモンは楽曲以外にもこだわりが強い。

アー写とかMVとか動画コンテンツのこだわりといったところから、サブスクは配信しない方針であるとか、フェスでは絶対にトリを務めないといったものなので、己の中で厳格なる美学があって、そのラインからははみ出さないように活動をしてきたわけだ。

そして、楽曲提供も行わないという一貫とした姿勢をみせてきた。

曰く、これまでオファーは断ってきたという話だった。

それは、きっとマキシマムザ亮君の音楽への向き合い方から決めた事柄だったのだと思う。

そんなマキシマムザ亮君がついに楽曲提供を行うのだから、そりゃあ興奮しないわけがない。

しかも、楽曲を提供するアーティストがSixTONESというのが痺れる。

なぜ、マキシマムザ亮君がSixTONESに楽曲提供することになったのか?という経緯部分は省くとして、普段は違うフィールドで活動している、でも、どこか交錯する要素も持ち合わせた二組のアーティストのタッグは熱いものがある。

SixTONESはこれまで人気バンドのフロントマンに楽曲提供してもらった実績はある。

が、マキシマムザ亮君による楽曲提供は、やはりこれまでの楽曲と異なる興奮が宿ってくる。

どんな楽曲を提供されるのか?
その楽曲を、SixTONESがどう歌いこなすのか?

上記が、あまりにも想像できないからだ。

マキシマム ザ ホルモンの通常の運転の楽曲は、やはり個性が強すぎる。なので、それがそのままSixTONESに提供されることはないと思われる。

かといって、アイドルど真ん中な楽曲をマキシマムザ亮君が提供する想像もできない(おそらく、マキシマムザ亮君はそういう歌も普通に作れると思うが、そういう”ふつう”の歌を提供するためだったら、マキシマムザ亮君が楽曲提供をするなんて思われないから)

そんな妄想にモジモジしているうちに、『GOLD』はリリースされて、「恋のバタリアン」を聴くことになる。

SixTONESの「恋のバタリアン」の話

ということで、「恋のバタリアン」を聴いたわけだけど、絶妙なバランス感の一曲だなあと感じた。

印象としては、近年、マキシマム ザ ホルモンがポップ寄りの歌(といっても、全然他のアーティストに比べたらポップじゃないけど)のテイストの楽曲、という感じ。

そのポップ寄りの楽曲に、ポップス的なアレンジ施したという空気感では、ある。

が、逆に言えば、マキシマム ザ ホルモンが歌うことも絵に浮かぶような展開の楽曲だなあーと、しっかり感じられたという話でもある。

そのため、一般的なAメロ→Bメロ→サビのパターンを何度も繰り返すような、王道的なそれの展開をしかけることはない。

マキシマム ザ ホルモンの特徴としては、とにかくサビに至るまでの道中が濃いことが多い。

それは、マキシマムザ亮君だけではなく、ダイスケはんやナヲがボーカルを取る展開も用意されているからだ。

ひとつの楽曲の中でどんどん展開は変わるし、クリーンもデスボイスも混ぜ合わせながら、色んな世界を体感することになる。

「恋のバタリアン」においても、そういう展開が用意されている。

だって、普通のポップスなら「本能 欲している ホラーショウ」で、メロパートを切って、サビに入っていると思う。

が、「恋のバタリアン」はそんなことをしない。

そこからさらにもうひと展開作り上げる。

そこからのパートは、きっとマキシマム ザ ホルモンだったら、ダイスケはんがマイクを握る想像ができるスピード感。

京本大我が「野蛮チュール」のパートを歌っているときに、ホルモンだったらきっとナヲがマイクを握っている気がする、圧倒的な信頼感。

そこまで聴くことにより、きっとマキシマム ザ ホルモンが歌ってもよかったはずの歌をSixTONESが歌っており、かつ、SixTONESはマキシマム ザ ホルモンという個性的なメロディーのデパートの楽曲さえも、乗りこなし、歌いこなしていることを実感することになる。

これまで、SixTONESは様々なジャンル性を乗りこなしてきており、そこがSixTONESの魅了だと語ってきた。

今作においても、SixTONESのそういうパフォーマンスの高さを体感することができる。

なにより、ジャンルという大きな枠組みではなく、アーティストが持つよりコアな要素もSixTONESがのりこなしっていっている様子をみて、改めてこの6人のボーカルのポテンシャルの高さを体感することになるのだった。

2回目のサビが終わると、田中樹や髙地優吾がスピード感のあるラップを披露する流れも秀逸だし、難易度の高いシャウトぎみのパートをジェシーが軽やかに歌う流れも素晴らしい。

「うなじ 毒どく歯ばでいっちゃって」という、サビ以上にインパクトがあるこのメロディーラインを松村北斗や森本慎太郎が歌うからこそ、どんどん展開が変わる楽曲を綺麗な形で引き締めている。

振り返って部分で楽曲を切り取ったとき、6人のボーカルの個性の発揮の仕方とバランスの取り方が秀逸であることに気づく。

安易な歌いこなしなら展開があっちこっち行ってしまうようなホルモンの楽曲でありながら、あまりにも綺麗で美しい構造の中に落とし込む。

何度も楽曲を聴いていく中で、そんな高揚感を覚える自分がいるのだった。

まとめに替えて

マキシマムザ亮君が楽曲提供を行って、SixTONESがそれを歌いこなす。

だからこそ、「恋のバタリアン」はこの組み合わせでしか実現し得ない感動がある。

それぞれのアーティストの素晴らしさを実感しつつ、この歌をここまで華麗に歌いこなすSixTONESのボーカル力の高さを改めて体感する自分がいるのだった。

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