今ライブを観ておくべき”若手バンド”って誰ですか?という問いへの回答
たまにタイトルのような質問をされることがある。”若手バンド”というのは便宜の言葉で、”バンド”という括りだと、すでに大型フェスでブイブイいわせている、あまりにも大物バンドも枠の中で語ることになってしまうので、そういう枠の中の話ではない、ということで、便宜的に”若手バンド”ってワードを自分は使っている。
いやね、”若手”って何年まで指す言葉なんだよ?という指摘があるけど、M-1は結成15年まで出場できて、そのM-1が”若手”のお笑い芸人の甲子園のような舞台だとしたら、それくらいの年度は”若手”として語っていいのではないかと思っている。
サラリーマンとして働く自分からしても、専門卒の入社で15年だと35歳。会社の規模感にもよるけど、若手から中堅への移行時期くらいな気もする。
余談が長くなったけど、2024年最後にそういう視座で書きたい記事を紹介したいと思う。では、どうぞ。
2024年最後に伝えたいおすすめの”若手バンド”
ポンツクピーヤ
京都を拠点に活動するスリーピースバンド。2024年8月にリリースされた1stフルアルバム『俺の中の戦争なんて誰も興味ない』が、界隈で話題になっており、自分的に「今のうちに絶対的に注目しておくバンドの一組」になっているし、自分のまわりのインディーズ好きの界隈でも、ポンツクピーヤを絶賛する人が多い。マジで。
まず、ハイパーキューティーウルトラポップバンドというキャッチコピーを掲げるだけあって、歌の耳馴染みが半端ない。
知らない人は、騙されたと思って、「こんにちはスーパーマン」を聴いてほしい。
運動して汗かきまくったあとに飲むスポーツドリンクばりに、メロディーがすーっと身体に入ってくる。しかも、単にメロディーが良いだけではなくて、バンドのサウンドも立っている。シャープでマイドル、でもちゃんとエッジが効いた音で楽曲を盛り立てる。
「喫茶店に蔓延る」「19歳」辺りの疾走感強めの楽曲を聴くと、よりそのことをダイレクトに感じるんじゃないかと思う。「喫茶店に蔓延る」に関しては、andymoriと初めて出会ったときに近い、強烈な何かを覚える。
しかもね、歌がするする入るにあたり、ボーカルの声が良いっていうのも大きい。
メロディーが良くて、そのメロディーとボーカルの相性が合わない・・・というバンドをたまにみることがあるけど、ポンツクピーヤはこの組み合わせが完璧。
このメロディーに、この声ありのパンチ力が半端ない。
ライブでも観客を巻き込みながら展開していくバンドとしての強みがあって、今のうちに目にして欲しい筆頭。率直におすすめさせていただく。
606号室
大阪発の4ピースロックバンド。男女構成だり、バンドのパートにピアノがいることが、ひとつの個性となっている。2022年に結成され、着実にキャリアを重ねており、2025年は明確に次のフェーズへ向かう予感をひしひしと感じている。
「100個の幸せとたった1つの」でも、リードピアノが軸になるバンドサウンドで、華やかかつカラフルな音楽世界を作り上げている。昇栄の澄み切ったボーカルが、そんな606号室のサウンドと美しく溶け合っているのも特徴で、ポップな楽曲を丁寧に歌い上げるバンドがツボという全人類におすすめしたい。
「未恋」「夏が君を離さない」など、キラーチューンも多数あるが、どの楽曲もポップで煌びやかな空気感を大切にしていること、歌詞が繊細で情景や感情の描写を丁寧に行なっていること、ある意味”聞ける小説”のような世界観もある印象。
わりと大人になったので冷静に楽曲を受け止められるが、自分が606号室と同世代かちょいしたくらいで、どこまでもピュアにその楽曲に触れていたとしたら、歌っている歌があまりにも美して切なくて、うお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!ってテンションで聴いていた気がする。
甘酸っぱさもあれば、独特の苦味で勝負する楽曲もあって、キウイフルーツみたいだと勝手に思っている。なんにせよ、注目するならマジで今。そういう瑞々しさを解き放っているバンド。
KOHAKU
北海道を拠点に活動するスリーピースロックバンド。2021年に結成。若月の強い優しい歌声と、繊細で心に響く歌詞が特徴・・・。
そう、KOHAKUもマジで良い歌を歌うバンドなのだ。
「恋人たち」を聴いてみてほしい。
このトーンのこの色合いの歌声。それをしっとりと、でも温かみをもって音を鳴らす感じ。
KOHAKUの音楽って、どこかリスナーに寄り添う空気感があって、それが優しいメロディーや日常の景色が見え隠れする歌詞に現れるのかなーと思っている。
あと、「アイボリー」ね。
この歌も、KOHAKUを語るうえで、外せない歌だ。
もうね、最初のギターのアルペジオの段階でいいし、そのあとにベースとドラムが合流するあり方も良い。
じわじわと魅力が広がるタイプのバンドだと思うからこそ、そのじわじわが大きな規模感で染み渡るとき、KOHAKUはシーンにおいて、とんでもない存在を放つと思うし、2025年はそういうフェーズの時期だと睨んでいる。ここからの飛躍が、とにかく。楽しみ。
バウンダリー
大阪を拠点に活動するスリーピース・ロック・バンド。2013年に結成。シンプルでストレートな楽曲と、力強くパワフルサウンドが特徴。ライブでも、エネルギッシュなパフォーマンスでライブシーンに強烈なインパクトを与えている。
バウンダリーって面白いバンドだと思っていて、本人たち的にはどう思っているかわからないけど、自分的には色んな文脈と繋がる面白いバンドだと思っている。
例えば、パンキッシュなシーンに接続することもできるパワフルさもある。
コーラスワークやメロディーの美しさもこのバンドの魅力だから、”歌を聴かせること”を重点にしたシーンでも繋がる魅了があると思っている。
「足跡」を聴いたときに、そんなことを感じたのだった。
2024年も「こんなに」や「たとえばロックンロール」など、バウンダリーらしさを軸にしつつも多様な楽曲をリリースしているし。
多様なのに、らしさが変わらない、そんな魅力をもったバンド。しかも、年々キャリアとしてステップアップしていて、活動のスケールも大きくなっている。
そして、ライブを見ると、ストレートにバンドってかっこいいな、音楽っていいな、って気持ちにして心を打ち抜いてくるのだ。
まとめに替えて
今年最後におすすめするならってことで、この4バンドの名前を挙げた次第。しかも、そのバンドを一日で全部見れるイベントが大阪に開催されている。
まあ、自分の主催イベントなのですが。(画像をクリックしたらチケット購入できる!!)
今観ておくべきって意味では、自分的に過去一の今回のイベント。マジで行こうかなーどうしようかなーの人は来た方がいいです。そういう温度感の、そういうラインナップ。