前説
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関西のバンドで推したいバンドっていくつかいて、その中の一組として名前を挙げたいのが、OKOJOである。
2018年に結成された彼らは、今、関西のインディーズシーンでも大きく存在感を示すバンドになっている。
つまり、これは早いうちに癒着しておくべきだと思ったワタクシは、早速このタイミングでインタビューを申し込むことになった次第。
で、今回、ベースとボーカルを担当しているまつしたさんにお話を伺わせていただくことになりました。
では、どうぞ。
本編
2020年の活動について
まつした:今年はツアーも中止になりライブができなくなったのですが、その分、サブスクやYouTubeで再生される回数とか、取り上げてもらえる回数が増えたので、プラマイゼロかな、ぐらいです。
──プラマイゼロと言えるのはすごいですね。
まつした:(少し考え、)いや、むしろ、プラスぐらいかもしれないですね。
──その真意は、どこにあるんですか?
まつした:普段通りライブをやっていたら、曲の求心力がここまで高まっていたのかわからないです。
──自分たちの楽曲が広まっていると感じますか?
まつした:知り合いから「YouTubeのオススメに出てたよ。」とか「TikTokで使われてたよ。」とか、すごい来るんですよ。そういうのを聞くと、バンドを好きな人以外にも広まっているんだなと感じますね。
──ちなみに、自分の音楽がTikTokとかで使われているのを見たことはありますか?
まつした:はい、見ました。
──作る側からして、それってどう感じますか?
まつした:(少し考え、)あれがけっこうサブスクとかにすぐ反映されるんですよ。フォロワー数の多い人が弾き語ってくれたりとか、音源を使って動画を撮ってくれたりすると、その日のサブスクの再生数が伸びるとスタッフの方から教えてもらって。データを見せてもらったら、本当にその通りで。でも、手放しでは喜べない感じはあります。たぶん大部分の方は「TikTokにあるフリー素材の音源として使用している感」があるので、OKOJOの曲だと少しくらい意識して使ってほしいなとは思います。けど、そういった状況を見聞きして、ファンの人たちが肯定や否定も含めて意見を交わし合ってくれているのをSNSやコメント欄とかで見ると、自分たちのことでこんなに言い合ってくれて嬉しい気持ちになります。
──どの曲がよく話題になりますか?
まつした:「最低なラブソング」の一強です。
代表曲である「最低なラブソング」の話について
──あの曲は自分たちの代表曲にするぞって意気込みで作ったんですか?
まつした:そうですね。これが広まらなければ、もうミュージシャンとしてプロを目指すことはやめようぐらいの気持ちで、レコーディングスタジオでエンジニアさん含め、みんなで曲に向き合いました。
──それだけ想いを込めて作ったと感じですか?
まつした:そうですね。けっこう考えましたし衝突もしました。
──「けっこう考えた」っていうのは、具体的にどういう部分ですか?
まつした:曲始まりです。最初の20秒間で聞く人を引き付けて、最後まで聞いてもらえるようにするにはどうすれば良いのか考えました。
──冒頭の20秒間のこだわりというのは、具体的にどういうことですか?
まつした:サビ始まりで「やっぱいいな君の顔は」から始まるのですが、その歌詞を捻出するのに、時間をかけました。あと、音にもこだわっていて。とりあえず、最初の20秒に色々詰め込もうと思いました。それ以降は出てこない音とかもたくさん使ってます。ハンズクラップ(手拍子の音)とかはそこしか出てこないんですよ。
──「最低なラブソング」ってワードが面白いですよね。
まつした:そうですね。聞いてくれる人に1回嫌われたいなと思って書きました。
──嫌われるぐらいの気持ちで作ったんですか?
まつした:それまでは「当たり障りのない曲ばかり歌っているバンド」というイメージを持たれていて、そんなバンドがいたとして、リスナーとして自分が好きになれるかと聞かれたら、なれないなと思いました。だったら一度ここで、今まで積み上げてきたものをぶち壊そうと思って公開したのが「最低なラブソング」なんです。結果、それまで出した曲の解釈もちゃんとしてもらえるようになったので良かったなという感じですね。
──そうなんですね。
まつした:実は、この曲を公開したいと言った時、当時所属していた事務所には反対されたんです。でも、自分たちの感性を信じたくて、その事務所を抜けてから完全に自主制作でリリースしました。だから、より想いがこもっている部分もあります。
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「最低なラブソング」以後の話
──今年も楽曲をリリースされていますが、「最低なラブソング」を踏襲したうえで作っている感じなんですか?
まつした:それはしないように考えてはいましたが、気づかないうちに踏襲しちゃっているかもしれないです。でも、新しいアプローチも意識しています。
──具体的には何かありますか?
まつした:「もううんざりだ!」に関しては疾走感を意識しました。
──それは、ライブでこういう風にやっていきたいっていうのを考えてのことですか?
まつした:そうですね。ライブで山場を作れる曲が欲しかったんです。
──リリースされてから、まだほとんどライブはできていないと思いますが、やってみての感触としてはどうでしたか?
まつした:単純に楽しかったです。あと、先日出演したフェスでも、OKOJOのタオルとかTシャツを着てくれている方がたくさんいて、とても嬉しかったです。
──ライブの反応はどうでしたか?
まつした:お客さんのリアクションが制限されているので、つかみきれない部分はありましたが、楽しんでくれていたと思います。あと、ライブ後にCDがたくさん売れたので、そういう結果で「あ、良いライブが出来ていたんだな」と気付かされたりもします。
──さっき、今年リリースされた作品は疾走感を意識しているとありましたが、これから作っていく曲もそこにスポットを当てているのですか?
まつした:いや、今はもうライブを意識せずに曲を書いているので、次にリードにする曲は、テンポの遅い曲になるかもしれません。
──もともとそういう曲の方が好きなんですか?
まつした:もともとバラードが好きです。そういう曲をリードにしてもいいのかなと最近は思えてきました。
──バラードが好き、ていうのは、何か理由があるんですか?
まつした:理由は分からないですが、単純に好きなバンドの曲でどれが好きかと聞かれたら、バラード曲を挙げてしまうことが多いです。
──具体的に好きなバンドのバラード曲って、何がありますか?
まつした:例えば、Mr.Childrenの「しるし」とか、BUMP OF CHICKENの「花の名」とか。
──ちなみに、アレンジはバンドメンバーと合わせながら進めていく感じですか?
まつした:基本、僕が弾き語りでデモを作って、ギターのでんでんが全体のアレンジをある程度して、ドラムのヤマトが微調整するという流れです。データのやりとりだけで曲が出来上がります。3人で意見を出し合って、ある程度納得のいくデモができてから、スタジオに入ってライブの為に練習をしたりします。ライブが無ければ、レコーディングまではスタジオに1回も入らないこともあります。
──だいたいは、デモ通りにレコーディングする感じですか?
まつした:そうですね。でも、レコーディング中にエンジニアさんとの相談や誰かの提案で変えたりすることは多々あります。
──途中で大きく変わったりとかもしますか?
まつした:それこそ「最低なラブソング」はレコーディング段階でかなり変わりました。元々はシンプルなバンドサウンドでアレンジしてたんですけど、エンジニアの門垣さんの提案で、僕らがやったことのないアレンジを詰め込んで、今の形になりました。
──その助言があったからこその曲なんですね。
まつした:そうですね。「今まで売れてないのに、同じやり方では今後も現状維持だよ」と言われました(笑)めちゃくちゃグサっと来ましたが、その言葉がなかったら広まってなかったかもしれないですね。
今後の活動について
まつした:秋以降はほぼ白紙状態です。今月(このインタビューが行われたのは9月)のイベントも2本とも(「MORNING RIVER SUMMIT 2020」と「KANSAI LOVERS 2020」)1ヶ月ぐらい前に決まったのですが、不思議と焦りはないです。
──インタビューの冒頭でおっしゃったような切羽詰まったものはもうないってことですね?
まつした:今、徐々にバンドが広まっていっている最中だと思うので、1回冷静になって、地に足をつけて曲を書こうという感じで進んでいます。
──なるほどです。では最後に、今後の目標みたいなものがあれば、教えてください。
まつした:ライブに関してはまだちょっと先が見えないのですが、曲は年内にリリースしたいとは思っています。
──曲のレコーディングは終わったんですか?
まつした:真っ最中です。良いタイミングが来たらすぐにリリースできるようにしておきたいので、そのための準備をしっかりしています。
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