前説

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ぶっちゃけると、バンド名が改名されるという話を聞いたときは「あ、このバンド、もう終わるわ」と思っていた。

「starrrrrrr」は良い曲だった。

「Me No Do Karate. 」は良いアルバムだった。

でも、それで終わったと思った。

だって改名されたバンド名が、お世辞にもカッコいいと思えなかった。

だって、[ALEXANDROS]ですよ?

マジありえなくないですか?

今だったら不思議なことに違和感を覚えないけれど、やっぱり純粋にみたら、このバンド名、かっこよくはないよなーと思うのだ。

だから、当時の僕は、思った。

せっかくようやく陽が当たってきたと思ってきたけど、大言壮語な振る舞いに見合う実力派のバンドになってきたけれど、ここからきっとまた急降下するぞ、と。

だって、こんな名前のバンドじゃ、若い子からは受けつけられないと思ったのだ。

本編

予想は違った

ウけた。

いや、ほんとこのMVがセコイと思うんだよな。

なんでこのタイミングで川上洋平はメガネかけるんですか?絶対落としにかかってるでしょ?

そこ抜きにしても普通に映像作品としてかっこいいし、何よりバンドとしての洗練具合がエグい。

で、ここから「Adventure」「ワタリドリ」とシングルを立て続けにリリースするんだけど、ほんと、ここにきて、いきなりバンドのスケールが大きくなるのだ。

バンドの実力が、ホールバンドとかアリーナバンドのそれになるのだ。

元々は上手いバンドだったとは思うけれど、正直、それまではまだ青い部分もあった。

それこそ冒頭で紹介した「starrrrrrr」も今聴くと、洋平さん、あんまり高音きれいに出てないっすよ!とつっこみたくなる隙がある。

でも、ドロスの楽曲には、そういう隙がなくなった。

改名を機に、明らかに進化してきた。

決して改名は、ポジティブなきっかけで生まれたものではなかった。

けれど、ピンチをチャンスに変えるじゃないけれど、改名という脚光をあびるタイミングを逆手にとって、バンドとしての進化っぷりを、ぐうの音も出ないくらいに見せつけたのだ。

ああ、ドロスって俺が思っている以上にすげえバンドだったんだって思った。

いつのまにか、ここまで進化してたんだなーって思ったのだった。

「ALXD」は00年代にキャリアを積んだオルタナバンドとしての圧倒的な貫禄を見せつける作品として、リリースされる。

実際、楽曲としての幅は広がっていた。

けれど、このアルバムは、まだUKの洋楽の要素をベースにしたオルタナバンドって感じで、シャンペ時代からの地続き感があった。

ここからアルバムごとの進化もエグいことになるのだ。

だって、「EXIST! 」になると、ついにオルタナバンドとかロックバンドという枠組みを壊していくサウンドを鳴らしているもん。

ジャズもやるし、ラップもやるし、テクノもやるし。

お前らは音楽のデパートか、とつっこみたくなるフルサービスである。

それまでは、なんだかんで借り物のジャンルの中で音を鳴らしていたフシのあったバンドだったけど、この辺りから、自分たちがジャンルそのものになるような勢いで、音楽の幅を広げていく。

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そんなドロス、最近どうした?

もちろん、ライブは軒並みソールドしているし、信じられないくらいのキャパも満員にするので、まだまだバンドとしては人気だし、その人気は今後も続くと思う。

けれど、ファンの外側からしたら、最近のドロスの曲、実はそこまで印象がない人、多いのではないかと思うのだ。

なんかキムタクを起用したMVもあったけど、あれ、なんてタイトルだっけって人、それなりにいるのではないかと思うのだ。

わりと「Sleepless in Brooklyn」もアルバムとしては存在感が薄めな気がするし(いや、それはお前だけだよとツッコミは受け入れます)。

まあ、印象深いかそうでないかは置いといて、ドロスはここに来て次なる変化をしているなーと感じるのだ。

おそらく、海外を意識した変化だし、前作は海外を意識しながら、(実際海外でレコーディングしているし)作った作品だと思う。

ただ、ここでいう海外を意識している、というのは、某ロックバンドのように、単に海外トレンドを取り入れました、というようなノリではない。

音そのものというよりも、音の構成の仕方というか、ミキシングとかそういうところを中心に、海外的なものに寄せてきたのではないかなーと思うのだ。

今はサブスクリプションの時代だけど、サブスクとCDの違いって、音の詰め込み方にあるわけだ。

で、海外と日本の音楽の違いは音の詰め混み方、ミキシングの発想に違いがあるわけだ。

シンプルに言えば、日本の音楽は音を詰め込みがちなんだけど、サブスクの場合、そういうやり方だと、結果的に音をしょぼくさせてしまうことになる。

だから、なるべく引き算的な音の組み方をする方が良いし、実際、海外のアーティストが音をスカスカにしがちなのは、そういう背景がある。

で、ドロスもそういうことを意識をしつつ音を構成していた感じがするのだ。

まあ、もちろん、某ロックバンドと同様、リズムをクオンタイズしていく方向に舵を切っているのも確かなんだけども。

ただ、ドロスは某ワンオクほど大胆な舵をきってはいないよなーとも感じていて、その辺は慎重にバランス取りながら、進めている気もする。

まとめ

これって個人的には良いことだと思っている。

ワンオクもそうだけど、海外への強いマインドを持っているバンドって単純にカッコいいし、ドロスは努力でそれに見合うバンドになったっていうのがすごくわかるから、海外のすんげえでかいステージで、すんげえカッコいい音を鳴らしてほしいなーと思う。嬉しいし、夢があるし。

もちろん、そんなすぐにはできないだろうし、そこまで簡単なことではないとは思うけど、ダサい改名をしてもうこれは売れないわと思っていたバンドがここまでの快進撃を見せたのだ。

きっと絵空事のように思えた、海外でのライブだっていつか成功してくれると思うし、海外にチューニングしつつも日本のファンも魅力するような音楽を生み出し、新時代にふさわしいロックバンドになっていくんじゃないかなーという期待を持っている。

NICOとかユニゾンみたいにベタなバンドサウンドにこだわり、それを研ぎ澄ましていくバンドもカッコいいけれど、ワンオクやドロスみたいに、余計なことは恐れずに、どんどん進化するバンドもカッコいい。

そう胸を張って言える、そんなバンド。

それがドロスだよなーと思う。

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