2018年11月18日、阪神甲子園球場で行われたMAN WITH A MISSIONのライブに行ってきた。
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ぶっちゃけ今回のライブ、甲子園というスケールだから、もしかすると、あんまり臨場感がなくて微妙になるかなーと不安だったんだけど、そんな不安は速攻で吹き飛ぶ、超絶素敵なライブだった。
というわけで、この記事では、僕がマンウィズのライブに行って感じたことを徒然と書いていきたいなーと思う。
人の数がすごい
甲子園でのライブ、と簡単に言うが、甲子園のキャパは4万5千ほどである。
バンドマンの目標と言われている武道館でキャパは1万ちょい(ステージの割り方によってはそれ以下になる)。
さいたまスーパーアリーナで3万7千と言われていることを考えると、その規模感は相当なものであることがわかる。
ハイスタ、エルレのように、ある種伝説的扱いをされているおっさんバンドならともかくだ。
死ぬほど下積みを重ね、長い年月をかけてようやく陽の目を浴びることになり、売れてからも毎年のようにコンスタントに音源をリリースしたり、全国各地でライブを続けてきた(マンウィズとしては8年目の)おっさんバンドが、特に久しぶりのライブというわけでもないのに、4万5千というキャパを即完させるというのは、単純に考えて、えぐいなーと思う。
バンドのキャリアが長くなると、昔は好きだったけど今はそうでもないや〜って人だって当然出てくるだろうし、ライブには行きたいけれど結婚したから今回は行けないや、みたいな人だって出てくると思うのだ。
けれど、ファンの総数は減るどころか増えているし、大きなキャパでライブをしても即完するというこの事実。
改めて、マンウィズって、色んな人たちに支持されているんだなーと実感した次第。
いやね、実は、個人的には甲子園は埋まらないんじゃないかと思っていたのである。
と言うのも、すげえ失礼な言い方にはなるが、マンウィズって、例えば米津玄師とか星野源みたいに、明確にこの曲が売れた!とか、この曲が代表曲!っていうのは、あまりないように思うのだ。
もちろん、ファンからすれば「FLY AGAIN」のあの振り付けは名物みたいなところがあるかもしれない。
しかし、だ。
4万5千のキャパを埋めるアーティストって=お茶の間レベルのアーティストというイメージがあって。
仮にそう考えると「フェスに足繁く通うような人たちの外側の人」にもその音楽が伝わっているはずだが、そこまで考えたとき、マンウィズの「FLY AGAIN」の認知度って、決して高くはないように思うわけだ。
タイアップ曲が多いし、至るところでマンウィズの歌を耳にすることはある。
けれど、それこそ同じスタジアムバンドでいえば、back numberやONE OK ROCKのように「これが代表曲」っていうような、バンドよりも曲が一人歩きして色んな人の耳に入る、ということが少ないように感じるのだ。
その一方で、マンウィズというバンドの認知度はすごい。
音楽を能動的に聞かない人でもマンウィズというバンドは認知をしていることが多いし、仮にマンウィズという名前を知らなかったとしても、狼の被り物を被ったバンド自体を認知している人は多いように感じる。
うちのオカンも、マンウィズとWANIMAは認知しているし。
そして、だからこそ、甲子園も埋まったのだなーと感じたわけだ。
というのも「特定の曲だけが愛されている」みたいな曲ありきの需要ではなくて、バンドそのものが愛されている状況だからこそ、大きなキャパでライブをやってもちゃんと即完するし、どのフェスに出ても人気になるし、長い期間、第一線で活躍している大きな理由のひとつになってるんだろうなーと思ったわけだ。
曲ではなく、マンウィズというバンドそのものが愛されているというか。
そんな背景もあるからか、マンウィズのライブって年齢層がとても幅広い。
子どもから年配の方までいるし、いわゆる「サークル作る・リフト作る系のライブキッズ」もいれば、普段はそこまでバンド音楽なんて聞かなそうな感じのおっちゃんまで、ライブに足を運んでいる。
当然、色んな世代・文化の人がいれば、それだけ価値観が衝突するリスクが高くなる。
実際、バンドがホールやアリーナを攻めるようになると、小さなライブハウスでやってる頃からのファンと、お茶の間に進出してからのファンとの間に乖離が生まれ、揉めてしまうことが多い。
実際、マンウィズの甲子園ライブでも、そこら辺のコンサートバンドではないような、サークル・モッシュ・ダイブ・リフト・熱唱などが起こっていた。
その一方で、着ぐるみを着たおっさん(マンウィズメンバーのこと)を見ながら子供が「キャキャキャキャ」と笑う場面もあれば、サンタ・モニカが客席に突っ込んでアリーナがぐちゃぐちゃになる場面もあれば、またもやサンタ・モニカが移動式のステージに立ちながら目を光らせて存在感を示すこともあれば、ライブの途中に流れる寸劇映像では、老若男女関わらず、その場にいた全員が笑いながら、食い入るようにその映像を観る場面もあった。
要は、アイドル的コンサート風味の要素や需要時間もあるしそういう楽しみ方をする人もいる一方で、ロックバンドのライブに来たノリでワチャワチャする人もいたという話。
で、そういう二つの楽しみ方をしている人たちが同じ会場に混在していたにも関わらず、みんな思い思いのあり方で楽しみ、FLY AGAINのサビなんかでは、みんな同じ振り付けをして盛り上がるわけだ。
これがすごく素敵だなーって思った。
別々の楽しみ方をするときはそれぞれの楽しみ方でライブを楽しむし、一体感を出して楽しむときは同じあり方を共有して、そのライブを全力で楽しむ。
そういう感じ・雰囲気が確立されていた。
だから、色んな世代・文化の人が足を運んできても、概ね会場にいる全員が笑顔になるという、すんごい奇跡が甲子園に起きていた。
そういう実態があるからこそ、たくさんの人がマンウィズのライブに足を運ぶし、色んな人がマンウィズのライブに結集するのだ。
これってマンウィズのライブ・音楽がそういう魅力を孕んでいるという話でもあるし、マンウィズが色んな現場に足を運んでライブをしてきたからこそ、生まれた結果とも言えると思う。
海外を攻める一方で、地方公演を大事にしたり、ボランティアなんかにも積極的に顔を出していたマンウィズだからこそ作れる景色なんだなーと感じたわけだ。
演奏がかっこいい
甲子園のライブではボーカル、ギター、ベースがステージから捌けて、ドラムとDJだけが残って、二人でセッションするパートがあった。
マンウィズの歌は必ずしも楽器隊が激しく主張したり、ガンガンソロパートを入れるわけではない。
だからこそ、こういうセッションを見たりすると、本当にメンバーの演奏技術が高いなあと実感するし、演奏技術が高いからこそ、色んなパターンの楽曲が演奏できるし、あんなに視界が悪い中でも安定的なプレイができるんだろうなーと感じるのだ。
あと、トーキョー・タナカとジャンケン・ジョニーの二人の歌がとても上手かった。
ちなみに、ここでいう「上手い」とは、音程が安定しているとかそういうことではなくて、感情がこもっているというか、声に表現力があるというか、言葉が胸に届くというか、そういう類の話である。
二人のボーカルが魅力的だから、バラードでもぐっとくる。
今回のライブだと「Sleepwalkers」はジャンケン・ジョニーがアコースティックバージョンで披露したんだけど、そういうしっとりしがちな楽曲でも、魅せられてしまう。
アップテンポも、バラードも、楽器隊がセッションするパートも、それぞれの魅力があるマンウィズ。
パッと見だと、コミックバンドのような出で立ちだが、内実は演奏技術が高くて、二人のボーカルはすんごく感情がこもっていて、胸に迫るものがあって。
土台がしっかりしているからこそ、色んな層・世代のファンが魅力されるんだろうなーと改めて感じたわけだ。
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MCが熱い
マンウィズは設定上、MCをするのはジャンケン・ジョニーだけである。
昔は自身の設定を守るために、少しキャラを作りながらMCをしていたジャンケン・ジョニーであるが、年々、彼の日本語は流暢になっており、最近では普通の「日本人」としてMCをしているように感じる。
ただ、日本人だろうが究極の生命体だろうが別にそんなことはどうでも良くて、マンウィズって普通に熱いMCをしてくるのだ。
自分たちがどういう思いでライブをやっているのかとか、どれくらいの気持ちを込めて音を鳴らしているのかとか、そういうことを、きちんと伝えるMCをするわけだ。
笑いを取るところではきちんと笑いをとるけれど、ここぞという場面ではジーンとするMCをする。
そういうギャップというか、格好良さみたいなものがある。
MCをしない他のメンバーだって、同じことが言えると思う。
タナパイなんかはMCをしていないはずなのに、誰よりも熱い男だということを周りが認知している。
そうなのだ。
マンウィズって、キャラクターが見えるバンドなのだ。
それは設定上のキャラクターとかそんな話ではなくて、もっと根源的なものというか、もっとその人の本質に迫るものというか、そういったところまで見えるバンドなのだと思う。
だから、歌の一つ一つに、映像の一つ一つに、MCの一つ一つに、パフォーマンスの一つ一つに、ぐっとくるのだ。
ただの覆面バンドなのではなく、音楽に真摯に向き合っている、マジで音楽が好きな熱いバンド、っていうのがライブの至るところから伝わってくるからこそ、マンウィズのライブってコンサートと呼べるようなスケールになっても「胸に届く」ライブになっているのだと思う。
というか、甲子園のマンウィズのライブを観て、改めてそれを感じた次第。
スケールの大きさなんて気にならない。
音楽も言葉も映像も全てに胸が迫るものがあったマンウィズのライブ。
甲子園でも、いや甲子園だからこそ、その凄さをはっきりと感じた、そういう話である。
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