
A.B.C-Z「Cocktail」の話。竹内アンナの歌詞世界との融合
ちらっと楽曲を聴くと、確かにこれは面白い音楽だなーと思ったので、A.B.C-Zの「Cocktail」の話を書いてみたいと思う。
今作はシンガーソングライター・竹内アンナが作詞・作曲を手がけた作品。
竹内アンナはがっつりアレンジにも加わっているので、竹内アンナの作家性がしっかり反映された楽曲である。
ということもあって、楽曲のトーンが明確でワクワクする。
触れるだけで感じるとろけるようなおしゃれ感。
メロウなダンスナンバーにふさわしい甘い歌声の集積。
夜にかかった魔法のような、柔らかい世界観
音色の選び方も絶妙で、A.B.C-Zの個性と竹内アンナの作家性が美しく混じり合っている印象を受けた。
本編
サウンド軸 ― 浮遊感が生み出すロマンティックな世界観
本作は、なんといってもおしゃれ。
ビート感も心地良いし、鳴っているサウンドのすべてが絶妙。
サウンドのエフェクトのかけ方もコレが一番いいが続いているし、打楽器の音の差し込み方も絶妙。
おしゃれな雰囲気だからこそ、それに似合うトーンで合わせている感じ。
ファッションって、全体のバランスが優れていることで、秀逸感を際立たせるけれど、「Cocktail」はそういう秀逸具合がぐっと凝縮されているのだ。
あえていえば、独特の浮遊感がこの歌にはあるし、ゆるやかなグルーヴに身を酔いしれたくなる心地よさがある。
全体的にサウンドひとつひとつは控えめに鳴り響くが、ボリューム自体はふくよかな感じ。
細かくて、必要なものはしっかり投入している豪華さがある。
だからこそ、聴きやすいけれど充実感があるのだろう。
こういうテイストの楽曲だからベースの流れも心地よくて、洒脱なビート感が好物な人も、思わずにっこりするようなサウンド構成である。
ボーカル軸 ― A.B.C-Zの新境地を切り拓く表現力
そして、A.B.C-Zのボーカルの溶け合い方が良いよなーと思う。
このサウンドであれば、ボーカルはこうあってほしいの模範解答がここにあるというか。
よく大喜利とかでめちゃくちゃ面白い回答が出たとき「正解がでた」なんて言い方をするけれど、「Cocktail」におけるA.B.C-Zのボーカルも、まさしく正解のそれだなーと思う。
歌詞を見ずとも、どことなくロマンティックが溢れる楽曲世界において、よりロマンティックさを際立たせるA.B.C-Zのボーカル。
甘くて、柔らかくて、しかも表情豊か。
艷やかでもあるし、メロウな憂いも忍ばせているような温度感。
だからこそ、歌の世界とシンクロして、同じ歩幅でボーカルとサウンドが展開していくんだろうなあと思う。
A.B.C-Zって、そこまで音楽作品を丁寧におってきたわけじゃないけれど、こういうタイプの楽曲にこういうトーンで魅了できるんだって気づくと、一気に心が掴まれた次第なのである。
歌詞軸 ― 竹内アンナが描く大人の恋愛模様
歌詞をみると、けっこう直球。
色んな場面を頭で描く事ができる、豊かな言葉の集積がそこにある。
あえて言えば、竹内アンナが紡ぐ大人の恋愛の世界。
だからこそ、このサウンドの世界観によく似合うのである。
思えば、「Cocktail」というタイトルも秀逸。
甘さと苦さ、陶酔と冷静さが絶妙にブレンドされており、この歌で描かれる心理描写とも巧みに絡んでいることがわかる。
酔いしれたい キミの瞳に溺れ果てたい
混ざり合いたいひとつになってそっと溶けてゆく
カクテルじゃ物足りないね 甘いだけじゃないよ baby
カクテルにキミの名前つけて最後まで愛すよ baby
「溺れたい」じゃなくて、「溺れ果てたい」っていうのが深さがあって良いなあと思う。
しかも「Cocktail」というタイトルであるからこその「混ざり合いたいひとつになってそっと溶けてゆく」のフレーズ。
サウンドとボーカルと歌詞の溶け合い方が半端ないからこそ、説得力と意味性が際立つ流れだなーと思うし、音楽である意味を強く感じる歌であるとも言える。
パフォーマンス軸 ― 太極拳モチーフが生み出す唯一無二の表現
そんなおしゃれソングの王道のような要素を兼ね備えておきながら、
カンフー???????
そう。パフォーマンスに太極拳モチーフが登場するのだ。ここが痺れる。
斬新だし、ユーモアがあるし、こういう楽曲だからこそこのアプローチが痺れる。視覚での魅せ方が絶妙すぎる。
ここも心惹かれた要素のひとつだ。少なくとも、他のアーティストではなかなかにみない展開。
でも、無茶苦茶かというとそんなこともなくて、「Cocktail」のミドルテンポに美しく迎合している印象を受ける。
静かな身のこなしと、盛り上がるタイミングでのダイナミックさ。
この歌だからこそのパフォーマンスが、ダンスにも宿っていることを痛感する。
まとめに替えて
結論。
A.B.C-Zの音楽、面白いぞ、という話。
正直、ほぼほぼ追いかけてなかったんだけど、ちょっと当面気にしておく。
次にリリースする楽曲が楽しみだ。