ビッケブランカの「Snake」を聴いていると、蛇よりも犬がはあはあしている姿が頭によぎった件

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ビッケブランカの「Snake」を聴いた。

方向性や作品のジャンル性はまったく違うんだけど、楽曲の艶みたいな部分に、藤井風の新曲「Workin’ Hard」となんだかシンクロするものを感じた。

なんというか、J-POPの殻を脱皮して、ワールドワイドなテイストの楽曲になっている部分において、通じるものを感じたのだった。

なんでそう感じるんだろうかなあと思いながら、ビッケブランカの公式サイトに記載されていた楽曲の説明を読んでみると、いろいろと自分の中で納得することになるのだった。

というのも、ビッケブランカは春先から欧州や中東などの海外公演を行なっていたとのことだったからだ。

かつ、「Snake」は実際に現地の人や音楽に触れたことをアウトプットに反映した作品になっているとのことだったからだ。

そりゃあ自ずとこれまでの楽曲とは異なる質感が楽曲に投影されるし、そりゃあ聴き心地もワールドワイドなそれになるわけである。

上記の知識を頭に入れながら聴き直すと、確かに「Snake」は鳴っている音のひとつひとつが、これまでのビッケブランカの楽曲と異なる気がする。

まあ、ビッケブランカって多様な音楽を生み出すタイプだし、固定した楽器でアレンジを作るタイプのアーティストではないから、こういう音こそがザ・ビッケブランカだ、と言い切るのは難しいんだけど。

でも、それを踏まえたうえでも、今作はなんだか新しいサウンドでチャレンジしている心地がビンビンするのだ。

印象的なのは、ビートを構成している音色にあるのかもしれない。

この歌、5秒から23秒くらいまでは規則的なビートが展開されているんだけど、その打楽器的な立ち位置を持つ音色が形容のしがたい不思議な響きを放っているのだ。

ビート自体はシンプルなんだけど、音の響きに不思議な面白さを感じるのだ。

かつ、そういうシンプルなビートの上をビッケブランカのボーカルが紡ぐんだけど、そのコントラストも絶妙なのだ。

さらには、要所でSEのような響きをもった男性のボーカルが挿入されており、この流れも不思議と異国的な雰囲気を漂わせることになる。

この、いわゆるAメロだけでも十分に聴き心地があるし、楽しい刺激がたくさんなのだけど、23秒を過ぎたあたりで、楽曲はさらに表情を変えることになる。

それまで規則的にビートを刻んでいた打楽器がナリを潜め、ベース的な立ち位置の音がぶりぶりに存在感を示すことになるのだ。

その時間はおよそ4秒。

ここがサビ前の高揚感ある生み出すパートになっているんだけど、この高揚感の作り方も一般的なJ-POPとは異なる構成となっているよなーと感じる。

この辺りにも、この楽曲が持つワールドワイドな匂いを漂わせる要因が潜んでいる。

で。

その後、再び規則的なビートを打楽器が刻み直すと、ビッケブランカがクールなボーカルで、

“Snake”

呟くように歌うのである。

ここが、良い。

かっこいいし、なんだかぐっとくるし、うっとりする要素もある。

そして、「Snake」という言葉をつぶやいた途端、犬がパンティングを行うかのように、はあはあという息遣いを展開して、楽曲に違った空気を送り込むのである。

ここのパートはさらに「Snake」の独自性を際立たせるものになっているし、すぐにサビのキャッチーなメロディーに進むのではなく、もうひとつ別の展開を作っている流れなのが良いよなーと感じる。

なんなら、サビまでのブリッジっぽいこのパートこそが、サビ以上に存在感を示しているとも言える。

また、ボーカルがはあはあのブレスを披露している間の、後ろに鳴っているサウンドも良い空気を作り出している。

妖艶にも似た不思議な空気を作り出しており、「Snake」の音楽世界を決定的なものにしているからだ。

・・・なんてことを書きつつも、この歌、サビも実はめっちゃ良い。

というのも、サビのメロディーに対しての言葉の載せ方が絶品なのだ。

「最低低低低」とか「どうどどどろん」の部分とか、マジで気持ち良過ぎて目玉が飛び出るレベルだ。

ここの言葉とメロディーの載せ方だけでも、ご飯三倍は食えるくらいの刺激が宿っている。

まとめに替えて

言葉にすると、なんだか野暮な表現になってしまうものばかりだが、今作、確かにビッケブランカのこれまでとは違うモードを随所に感じさせてくれるのだ。

ビッケブランカのキャリアの中でも、象徴的な楽曲のひとつになっているんじゃないかと、勝手なことを思ってしまう自分もいる。

なんにせよ、必聴な一作ではあることは間違いない。

聴いていない人はぜひ一度聴いてみてほしい、そんな刺激と発見に満ちた楽曲である。

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