back numberの「アイラブユー」、一周まわって革命的なバラード説
特定の楽曲を指差して、この歌は”王道のバラードだ”みたいな言い方をすることがある。
自分もわりと言ってしまいがちではある。
ところで、”王道のバラード”ってどんな歌を指すのだろうか?
もちろん、答えは聞き手の数だけあるとは思う。
正解がある事柄ではないと思うし、時期によって王道性も変わるし、それまでどういう音楽を聴いてきたのかが起因するだろうから。
ただ、いくつかの要素から王道性を見出しているのは、確かだろう。
具体的には、サウンド、メロディー、楽曲展開。
このあたりの、こういうパターンは自分的に王道だと感じるな〜というラインがきっとあるはずだと思う。
ちなみに上記3つの観点で、自分の中で王道だと感じるものを答えるとしたら、以下のようになる。
サウンド:豪勢なストリングスが際立つ、ドラマチックな展開。昔でいうところ小林武史節が全開のアレンジが影響を与えているところが大きいかもしれない。
メロディー:口ずさめたり、みんなで合唱できるような感じ。oasisの「Don’t Look Back In Anger」なんかは、みんなで合唱できるタイプの美しいメロディーの楽曲だよなーと感じる。
楽曲展開:これも上記と通ずるところがある。でも、Aメロは穏やかなラインで、Bメロで緩急をつけて、サビで盛り上がる・・・といった三段階構成の楽曲ほど、王道性を見出しやすいかもしれないと思う。
まあ、このケースに当てはまらなくても王道を感じることもあるし、上記の要素に当てはまっていたとしても王道性を感じないこともあるので、正直ケースバイケースだとは思うけどね。
でも、割合で考えると、上記のような楽曲に自分は王道性を感じやすい、といういことはここで述べておこうと思う。
そういうことを考えたとき、自分はback numberの「アイラブユー」に王道バラードの色合いを強く感じる。
なぜなら、サウンドはストリングスが際立つ仕上がりだから。
メロディーはキャッチーかつ口ずさめるような「歌」の色合いが強いものになっているから。
楽曲展開もはっきりしていて、ライトな音楽好きにも聴きやすい展開になっている印象を受ける。
そのため、「アイラブユー」は、自分が思う、王道性をもった一曲のように感じる。
そして、こんなことも、思うのだ。
今、もっともこういう王道バラードの魅力を最大化できるバンドって、back numberなのではないか、と。
どういうことか。
「アイラブユー」の感想を絡めながら、言葉にしてみたいと思う。
back numberの「アイラブユー」の話
back numberの「アイラブユー」って、アレンジだけを切り取れば、比較的普遍性のある構成だと思う。
尖ったタイプではないと思うし、似たようなアプローチの楽曲は他でも拝見できるはずだ。
そう、あえて言葉にすれば、「アイラブユー」ってベタなのである。
ベタって音楽において、毒になることもあれば薬になることもある。
ただ、少なくとも「アイラブユー」においては、そのベタが強烈な魅力になっている。
そんな印象を受けるのだ。
こういうサウンドだから「アイラブユー」の美しさが際立っているし、メロディーやボーカルの存在感が際立つことになる。
で、なぜ、そういう聴き心地を与えてくれるのかを考えていくと、、back numberがこの歌を作り、歌っているから、という話に集約していくのだ。
仮に同じメロディー、同じアレンジを他のアーティストが歌ったとしても、「アイラブユー」の世界観って、こうはならないと思う。
ベタがベタにしか機能しない、よくあるバラードになってしまう恐れだってある。
でも、back numberは絶妙な温度感でベタをのりこなし、楽曲の輪郭を鮮やかなものにしていく。
ボーカルの存在感が絶妙で、王道のアレンジが明確な武器になっているからこそだと思う。
清水依与吏の、落ち着きさを持った深みのある歌声でこの歌を紡ぐからこそ、だと思う。
なによりback numberって<これしかできないバンド>なのではなく、<これもできるバンド>だからこそ、王道的アレンジをプレイしたときも、その余裕が音になっているのもポイントだと思っている。
というよりも、一見すると個性が出にくいようなアプローチであったとしても、back numberだからこそのサウンドに落とし込んでおり、それが「アイラブユー」の世界観が確固たるものにしていく、そんな印象も受けるのだ。
まとめに替えて
だからこそ、back numberこそ王道バラードの魅力を最大化できるバンドなのではないか、とそんなことを思うのである。
というよりも、一周まわって革命的な要素すら残している印象を受ける。
だって、同じアプローチをしても真似することができない領域に到達しているのだから。
歌の上手い歌い手が歌ってみたなんかの動画をあげてみたとして、きっと表現することができない感動が本家の「アイラブユー」には内在しているように思うから。
ベタなのに真似できないなんて、革命的という他ないだろうというのが、この記事のとりあえずの結論。
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