前説
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好きなイラストレーターと言えば、誰が頭に思い浮かぶだろうか?
人によって答えは違うだろうが、僕は何人か好きなイラストレーターがいて、そのうちの一人がフクザワさんである。
こんな絵を描く人である。
「絵で音楽に携わる」をキャッチコピーにクリープハイプを始め、indigo la EndやFINLANDSや04 Limited Sazabysなど、色んなバンドのグッズやイラストを手がけているお方。
また、自身もステージに立って、アーティストの隣でライブペイントを行うこともあり、BAYCAMPやCOMIN’KOBEやYON FESを始め、様々なフェスへの出演も果たしている。
そんなフクザワさんは4月18日から21日まで大阪で個展を開くらしい。
大阪は、筆者のテリトリーである。
これはまたとないチャンス。癒着をするには今しかないと思い、この度はゴリ押し、ゴリゴリでインタビューをさせてもらえることになりました。
この記事ではその模様をお伝えします。
本編
フクザワさんご本人にインタビュー
ロキ中「いや~すみません~。明日から個展でバタバタなのに、こんなブログのためにお時間頂戴しちゃって~。本日は宜しくお願いします~」
フクザワさん「いえいえ。こちらこそです。よろしくお願いします」
なんで、イラストレーターになろうと思ったの?
フクザワ:14か15歳のとき、バンプ(BUMP OF CHICKEN)の「sailing day」を聴いて「お、かっこいい!」と思って、バンドにハマったんですよ。で、バンドしたいなって思ったんですけど、友達がいなくて。バンプが友達で結成されたバンドやったんで、(バンドを組むのって友達同士でやるみたいな)そういうもんやと思ってて、友達いなかったらできないなってなって。
──(苦笑)
フクザワ:で、一人でできることで音楽に携われることを考えたとき、絵でジャケットとかグッズとか、それこそPVができたらなってところから、音楽を聴いてそれで絵で表現するみたいな携わり方をしたいなって思って。で、意識して絵を描き始めた。それがきっかけですね。
──つまり、絵を描きたいっていうのがあって、音楽というジャンルを選んだというよりは、音楽がしたくて、その中から絵を選んだっていうことですか?
フクザワ:そうですね。自分がちょっと得意かなって思ったのが、そのくらいしかなかったので。でも、別にイラストレーターで食べていこうっていう気持ちは全然なくて。まさかそんな夢物語だと思っていて。
──バンドとかのグッズを手がけるようになったきっかけは何だったんですか?
フクザワ:root13.っていうバンドがいて。そのボーカルの子と、大学くらいの時にmixiで知り合って。ライブとか観に行って。で、そこからスタッフ兼、専属じゃないけど、イラストレーターみたいな感じでやっていたのが、音楽に携わるようになったきっかけではあると思います。
──それがきっかけで、どんどん活動の幅を広げた感じですか?
フクザワ:うーん。(それもあるけど)それより最初にちょっと大きめのバンドのグッズを書いたのがクリープハイプのT-シャツで。2011年とか2012年とかなんですけど。なんか今ほどSNSは流行ってなかったんですけど、それより前から、一日一枚(ネット上に)絵をあげるみたいなことをしていて。ブログとかTwitterとかmixiも含めて、やっていて。そのなかで、一個、クリープハイプの曲のイメージイラストみたいなのを載せていたんですよ。それを普通に検索かなんかで(本人に)見てもらっていたらしくて、それきっかけで(声をかけてもらいました)。単純にそういうことをしてる人があんまりいなかったんですけど、私は毎日やっていて。何かしらバンドの名前とかあげたら検索でヒットしたっぽくって。今だと(そういうことをするのは)超普通なんですけどね。けっこう、みんなやっているんですけどね。でも、当時的には珍しかったみたいで。そういうので、ネット上で知ってくれて。他にも、誰々の知り合いでもあるんか的なこともあって、それを介して紹介してもらってみたいな感じで描いたりとか、ちょいちょいありました。
──そういうことを続けていくことで、イラストレーターがお仕事になっていった?
フクザワ:イラストレーターとして食べていけるようになったのは24とか25くらいですね。大学卒業して1年くらいは何もしてなくて。まあ、でも一応、ライブペイントとかは始めてて、30分とか(バンドとかが)ステージする横で絵を書き上げるみたいなことをやってまして。それでフェス系に出れたりとかもあったし。イラストレーターって別に会いにいこうってものじゃないじゃないですか。けど、それでイベントに行ってみようって気持ちになってくれるファンの子とかがいて。口コミとかじゃないですけど、そういうので広がった感はありますね。
なんで、ああいう絵を描くようになったの?
──絵のテイストって昔からあんな感じなんですか?
フクザワ:ライブペイントの絵は、クレヨンで書いているんでけっこう違うんですけど、普段の絵は15歳くらいのときの絵を見てもそんな変わらんなーってめっちゃ思います。ちょっと上手になったかなーってくらいの。タッチ的にはそんな変わらない感じですね。
──この絵になったきっかけってあるんですか?
フクザワ:んー。なんか少女漫画の女の子ってめっちゃ目がでかいじゃないですか?なんか昔から苦手というか、違和感を感じてて。好き嫌いとかじゃなくて。絵、得意ではあったんですけど、自分で描くには面白くないなっていうのがあって。だから、目をでかくして可愛くするよりかは、バンドの人ってかっこいいイメージだから、ちょっとリアルに寄せて、あーなったて感じはします。
──ちなみに、一番印象に残っているグッズはなんですか?
フクザワ:クリープハイプのグッズは初めてTシャツになって、COMIN’KOBEから発売になったんですよ。で、(そこで購入すると)すぐにその場で着てくれる子とかいて。なんか自分のグッズとか絵を身につけている人を見るのが、めっちゃ嬉しいと思って。意味わかんないじゃないですか?自分の絵が、人の身体にあって、このまま一緒に生活していくわけじゃないですか?すごいなって思って。その衝撃は未だにどんなグッズ書いても色褪せずに残っています。
──ちなみに、それ、どんな絵だったんですか?
フクザワ:これですね。漫画の1ページみたいなのがいいっていう。なんか(昔、ネットに)こういう絵を一回書いてて。この絵、みたいなやつで、この曲のイメージで描いて欲しいって言われて。これがなんかいい感じやったからか、(クリープハイプのグッズは)何回か書かせてもらいました。
──このグッズのイラストを作る上で苦労したエピソードありますか?
フクザワ:クリープハイプはライブで(自分の地元に)来るたびに観にいっていて好きだったので。なんかそういうのはパッとかけますね。イメージがつくというか。頼まれる絵によって、こんな感じだなってパッと思いつくときと、全然思いつかないときがあって。で、パッと思いつくときは、もうこれで絶対いけるなみたいな。けど、ちょっと(相手に)選ばすために、これよく(他のイラストレーターも)みんなすると思うんですけど、これも描いておこうみたいな。クリープハイプのやつもこれだなって感じでした。最初から。
──歌詞が物語的だから描きやすいとか?
フクザワ:んーどうなんですかね。でも、それもあると思います。情景が思い浮かぶ方が、描きやすいのはあるかもしれない。
──イラストを描く際に、心がけていることはありますか?
フクザワ:まあ、だいたい人を書くんですけど、その人が生きていて、その一瞬を切り取ったみたいなイメージで書きたいなって思っていて。それを見たときに、なんか前後が何となくわかるじゃないですけど。仕事帰りなんだろうなーとか、これから家に帰るんだろうなーとか。そこまではわかんなくても、写真みたいに一場面を書いただけで、この絵の人は人生がある感じにしたいなーとは思っていて。
──出てくる絵の登場人物が20代の男女が多いイメージですけど、それは理由がありますか?
フクザワ:ちょっと前までは女子高生をめっちゃ書いていた気がするんですよ、セーラー服とか。で、最近はあんまり書かなくなったから、(自分と)一緒に年は取っているのかなーって。けど、単純に書いてて楽しいからですかね。でも、それは自分が20代だったからで、これからはちょっと違うかもしれない。
──なるほど。
フクザワ:お客さんも10代がめっちゃ多かったんですよ。クリープハイプとかやってた2015年くらいまでは。けど、最近は私と一緒に年をとってくれて、けっこうバラバラになってきて。
──ふんふん。
フクザワ:マジで、10代の女の子しかファンがいなくて、昔は。男やと思われていたし。今でも思われているふしはあるんですけど。
──確かにマスクされたらわかんないですもんね。(顔出しするときは基本マスクをされているのだ)
フクザワ:けど、最近は増えてきた、色んな(ファンの)人が。男の人もマジでいなかったんですけど、最近は増えてきて。ただ、けっこう言われるのが、元カノに教えてもらいましたっていう。
──(笑)
フクザワ:今カノじゃないんやなーって。多分、元カノが10代とかのときに付き合っていて、20代中盤くらいになって、(女の子側は)バンドとかもあんま聞かんようになって。で、別れて。男の子だけは来るようになったパターンなのかなーってすごく思います。ありそうですよね?
──(笑)
フクザワ:彼女への愛はなくなったのに、こっちは続いてるってちょっとすごいですよね。
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──ちなみになんで、白衣にマスクなんですか?(フクザワさんがステージに立つときはいつも白衣にマスクというスタイルなのだ)
フクザワ:最初にライブペイントをしようってなったときに、白衣がかっこいいなって思って、何となく。で、私、人見知りなんで、自分から話しかけるっていうのができないから、話しかけてもらうためにも白衣着てた人が降りてきてそのままやったら、この人、間違いなくあの人やなって(思われて)声かけやすいかなって思った。
──なるほど。
フクザワ:あと、ライブペイントをしてたら真剣になって口が開いちゃうんですよ。全然カッコ良くないじゃないですか、口が開いてたら。だから、マスクしようと思って。最初はガチガチの粉塵マスクみたいなのを付けてたんですけど、なんかそれしてたらマスクキャラみたいになっちゃって、外せなくった。なので、めちゃくちゃに強い意志があって、(マスクを)してるわけじゃないです。
──今やったら別に外してもいいんですか?
フクザワ:あ、全然外していいです。絶対(マスクを)しないと死んじゃうとかはないです。でも、キャラとしてマスクと白衣で覚えてくれるなら、もうそれは貫こうかなと。
──ちなみにイラストを描くのと、ライブペイントで描くのとの違いは何ですか?
フクザワ:ライブペイントは過程を見て欲しいですね。絵は出来上がりしか見て欲しくなくて。ライブペイントは30分で5曲やってもらったとして、何となく(最終の)イメージは付いているんですけど、2曲目がけっこう静かな曲やったとしたら、イメージ的にも青っぽい絵になると思うし、ちょっと激しめやったら赤とかになる。まあ曲によりますけど。で、おっきい顔をバーンと書くことが多くて、最初と最後で表情がちょっと違うようにしてるんですよ、実は。でも、出来上がったやつだけをSNSで見ちゃったら、それって1mmもわからないじゃないですか?30分で書いとる上に、(書きながらも客席から絵が)見えるように横から書くんで、歪んだりとかもしてるんですよ。出来上がり的には、ライブやからよかったみたいなイメージなので、ただ出来上がりを見るんじゃなくて、出来上がるまでの過程を見て欲しいっていう違いがありますね。
──その際、セトリって事前に聞いてるんですか?
フクザワ:聞いている時と聞いてない時があって。とりあえず何曲やるとか、何分くらいとかっていうのと、最後の曲のときに最後の曲だってわかれば、なんとか合わせられるようになりました。
──毎回、ちゃんとできるなんてすごいですね。
フクザワ:今の所一回だけ(できなかったことが)あって。
──ええええええええ。
フクザワ:でも、それは最後の曲が機材トラブルでできなかったとき。それだけは流石にどうしようもないなってなって。「じゃあ、次の曲」って言って、できなかったやつなんで。それ以外は、なんとか全部できました。
──ちなみに印象に残っているライブペイントはありますか?
フクザワ:こないだ、シンガーソングライターのましのみちゃんのワンマンに出させていただいたんですけど、なんかおっきい板、身長よりちょっとあるくらいの板にペンギンを書くっていうのがあって。しかも通して書くんじゃなくて、4曲くらい描いて、(一旦)はけて、帰ってきて、(次の曲がペンギンのことを歌った曲で)そのペンギンの曲一曲で、ペンギンが丘の上に立っているんですけど、空に飛ばすっていうのをやって。それがちゃんとできたときは、マジで偉かったってめっちゃ思いました。あれは超印象に残ってますね。
──内容を決められている方がやりづらいですか?
フクザワ:いや、なんか思ったんですけど、決められている方が、燃えますね。
──ちなみに、今度行われる個展でのライブペイントは、どんな感じでされるんですか?
フクザワ:まだ決まってないです!(個展前日にもかかわらず)マジで決まってないです。個展やからちゃんとしようかなっていう気持ちと、いつもみたいにゆるくした方が、私の場やからいいのかなっていうのがせめぎ合っています。
──今回の個展の見所はどこですか?
フクザワ:kasure展っていうタイトルなんですけど、掠れてまうんかいっていうマイナスな意味じゃないんですよ。
──と言いますと?
フクザワ:私、けっこう引きこもりで、(久しぶりに外に出て)コンビニでホットスナックを頼もうとするんですけど、なんか喋ってなさすぎて声の調節ができてなくて。人見知りやから店員さん怖い人じゃないよなーとか、遠くから見て徐々にせめていってみたいなこととかするんですけど、でも、それでいざ喋ろうと思ったら、上手く(声が)出ないとか。ありがとうございますとか、お釣もらうとき言おうと思うんだけど、「あざーっ(す)」みたいになっちゃうこととかがあって。あーあってすごく思うんですけど、けどそれをやろうとしたこととか、ありがとうと伝えようとしたこととか、誰にも伝わらんかったけど、その気持ちは絶対あったわけじゃないですか?だから、みんなもそういう叶わへんかったとか、ごめんねって言えなかったこととか、掠れてもええやんみたいな、その気持ち自体は存在してたんやから、いいじゃないですか、掠れても、みたいな。過去で面白くなかったことは掠れててもいいし、そういう風に良いように捉えて欲しいなって思って。
──ふんふん。
フクザワ:(飾っている絵も)なんか日常っぽい絵ばっかりになってますね。
──バンドさんの作品ではないんですか。
フクザワ:そうですね。自分の作品ばかりですね。
そんなバリバリ活動中のフクザワさんの今後の展望は?
フクザワ:コンビニとかに私の絵が置いてたらめっちゃいいなーって思ってて。パッケージとか。T-シャツとか着てもらって嬉しいとか含めて、日常に当たり前に私の絵が存在してくれていたら、(その人と)今一緒に生きてくれてるわけじゃないですか?で、その全然(私が)知らない生活に、私が知らん間に(その人と)携わっているところにすごい快感を覚えてて。だから、コンビニレベルのところにも(自分の絵が)当たり前にあったらいいなって。
──コンビニだったら、何の商品がいいですか?
フクザワ:んー。ティーパック。紙パックのジュースとか。なんか平たいし。ちなみに、(ロキ中さんなら)何されたいですか?
──え?僕ですか?僕は・・・ランチパックですね。
フクザワ:ああ、いいですね。ランチパック。なんか平たいし。
まとめ
と、ここから色々と話が脱線してしまったので割愛をします。
マジでBUMPどっからハマりました?みたいな、それ今話すこと???みたいな話をわりと普通にしてしまいました。ちなみに僕は「天体観測」でBUMPにハマり、そこからすぐにインディーズ時代の音源に触れて、スノースマイルでさらに持っていかれたクチです。え?誰も聞いてないって??
とにかくね、話を聞けば聞くほど、個展すげえ良さそうだったし、出不精な僕もこの個展は行きたい!!ってなりました。多分行きます。いや、絶対!
まあ、何れにしても、この辺りは百聞は一見にしかずのところがあるので、興味がある方は、ぜひぜひ足を運んでみてください。
聞いたところによると、早めに行くほうがフクザワさんが元気なのでオススメだけど、最終日の遅い時間は、それはそれで終わってしまうことによる切なさで寂しがっているので、ぜひ来て欲しいとのことでした。
どっちを選ぶのかは、あるいは両方選ぶのかはあなた次第。
それでは、今回はこの辺で。ではではでは。
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