スピッツの「スターゲイザー」の歌詞について書いてみたい。

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前置き

最近、この歌はSUBARUのCMに起用されているが、元々は「あいのり」という番組の主題歌に起用されており、「あいのり」感を意識して歌詞が書かれている。

ちなみ「あいのり」ってなんぞや、といった人に簡単に補足しておくと、この番組は、見知らぬ男女がワゴンに乗って世界を旅行して、そこで恋心を育み、時に付き合ったり時に振られたりするのを見届けるという恋愛ドキュメンタリー系ヤラセ番組、である。

ちなみにこの番組は相手に告白をする、ということを決めたらスタッフに事前にそのことを伝え、相手を呼び出すというルールになっている。

つまり、告白する前から僕はもう告白しますよ、と相手に宣言したうえで一夜を過ごし、当日改めて指定した場所で告白をするわけである。

そんな告白前夜の切なさとドキドキの部分を切り取ったのが「スターゲイザー」という歌。

そんなことを踏まえながら歌詞を見ていきたい。

本文

作詞:草野正宗
作曲:草野正宗

遠く遠く〜

最初のフレーズだが、スピッツの歌でサビ始まりの歌って非常に珍しい。

少なくともシングルではこの歌だけだと思う。

さて、ここでポイントになるのは「光」という言葉。

これは何を意味しているのか想像しながら、歌詞の続きをみていきたい。

ひとりぼっちが〜困る 困る

「孤独」とか「余り物」とかではなく、「ひとりぼっち」という言葉を使うのがなんだか可愛い。

また、「せつない」という言葉をひらがな表記しているのが意味深である。

これは「切ない」んだけど、その「せつなさ」が普通の「切なさ」とは違うことを意味している。

簡単に言えば、今はひとりぼっちで寂しいけれど、明日君がいて告白にオーケーをくれたら、今後は切ない夜とはおさらばなわけであり、心の奥底ではワクワクもしているわけである。

そういう機敏な心理状況を「せつなさ」という平仮名表記に託している。

ところで、そんなせつない夜に星を探すとはどういうことだろうか。

そもそも、「星」って何を意味しているのだろうか。

なんとなく夜に星を見るっていう図はオシャレだから、「星を探してる」ってワードを入れたのか。

否。

当然ながらここにも意味がある。

けれど、ここではその答えは出さずに歌詞の続きをみてみよう。

ゴミになり〜困る 困る

ゴミになる夢とは、要は叶わない夢、ということである。

いつも叶わない夢ばかりを追いかけていたから靴ももうボロボロというわけだ。

そんなボロボロの人生の中で唯一輝く君という存在。

だから、この恋愛だけは成就させたいという想いが強くなるのだ。

遠く遠く〜届いてほしい

自分の立っている地上から、空に浮かんでいるあの星の光にまでこの思いが届いてほしいといっている。

思いを伝えるのは君のはずなのに、なぜ星の光の話がここで出てくるのだろうか。

空に思いを伝えるくらい、僕と君の心の距離は遠いという話かもしれないし、この暗い空のように君の気持ちは僕にはわからない、という話なのかもしれない。

けれど、そんな暗い空にも星が瞬いてる。

それが希望のように見えるのかもしれない。

とりあえず、解釈一旦この辺で置いたままにして、続きの歌詞をみてみよう。

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2番の歌詞である。

すべてを〜世界で

全てを嫌う幼さを隠した主人公なのに、君のことは好きになってしまったわけで、この告白はネタじゃなくて本気なのだということを指し示すフレーズ。

また、そういう本性は隠しながらも今まさに君に対峙するというリアルさもここでは描かれる。

「正しく飾られた世界」とは番組そのものを揶揄しているようなフレーズにも聞こえる。

この番組は基本的にヤラセかもしれないが、僕が君に告白するこの気持ちだけは偽りじゃないんだぜ的な。

一度きり〜ドラマの後で

一度きりの魔球とは、簡単に言えば好きだという気持ちを君に伝える、ということである。

告白は一度きり。やり直しはきかない。

熱の向こうとは、君の心ということであり、君のハートに向かって自分の気持ちを放り込むというニュアンスになる。

一緒に泣いたり笑ったりして友好を築いてきた過去。

その過去をある種崩すことになっても、こうやって告白して気持ちを伝えるわけだ。

泥にまみれたドラマというのは、そういうことだ。

友情だけで成り立たせたままにしておけば、これまでの過去は綺麗なドラマとして成立していた。

けれど、迂闊にも恋心を抱いてしまったわけで、そのドラマに泥を塗る結果になるとしても、告白をすることに決めたわけだ。

そういう覚悟、決死の思いがこのフレーズには凝縮されている。

明かされていく〜翼になる

ここの「秘密」とは、全てを嫌う幼さを隠すこととも少し関係がある。

僕も何かを隠しているとすれば、君も何かを隠しているというわけで。

当然ながら最大の秘密は、君が僕のことをどう思っているのかであり、僕が魔球を投げたことで、君はその秘密を明かすわけである。

「はい、お願いします」なのか「ごめんなさい」なのかはわからないが、その言葉がありふれたものであることは間違いない。

そして、その言葉はいずれにしても僕の全身を駆け巡り、次の行動に移すための翼になるわけだ。

けれど、何が始まり何が終わるのかについて、ここでは書かれない。

ひとりぼっちが〜困る 困る

あえて、このフレーズを最後にもってきたのは、魔球を投げてありふれた言葉をもらうシーンはあくまでもまだ主人公の妄想であり、今はまだ明日の告白にドキドキしている、ということなのだと思う。

ところで、この歌のタイトルは「スターゲイザー」であり、日本語にすると星を探す者。

告白をする話なのだから、君の気持ちが「イエス」であることを信じるしかないわけで、最初から答えは決まっていても、それまでは色んな想像をしてしまうわけだ。

星を探さなければならないということは、空はものすごく曇っているということであり、暗い空が不安を、星は希望を象徴している。

だから、星を探すわけだ。

けれど、今日の空の闇は濃い。

ますます主人公は不安になるわけだ。

だからこそ、希望という名の星を見つけたら、告白は上手くいくはずと言わんばかりに星を必死に探すのだ。

なにより、空に浮かんでる星が数少ないのであれば、君もその星を見ている可能性が高い。

星に思いを送れば、その星を経由して君に思いが伝わると思っているのかもしれず、まずはあの星に自分の強い思いを託そうとしているのかもしれない。

そんなことを考えていれば、せつない夜もほんの少しだけ安らいだものになる。

明日くるはずの告白という現実に、ほんの少しだけ勇気をもらえる。

恋する凡人であるマサムネだからこそ書ける、恋に臆病な男の心理なのである。

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