邦ロックカップルの良いところと悪いところ

※この記事は2017年に書いたものを加筆・修正して再度アップしています。

「邦ロックカップルが羨ましい」。

SNSを開けば、そんな言葉を目にすることも多い。

「持たない」者が、「持っている」者に羨望の眼差しを向けるのはいつの時代だって同じ。

ただし、インターネットを観測していると、つい最近まで「持たない」者だったはずの人間が「持っている」者に転じることも多いし、逆もまた然り。

なんなら、”非リア”をアピールする人間だと、そのサイクルが早いという人間もわりといる気がする(人による)。

なお、SNSでは、そんな転向を”裏切り”と揶揄する事例もあるし、昨今の殺伐インターネットだと、なおのことその矢印の向き合い方はデットヒートになる事例も多し。

なお、過去の事例をみると、高校から大学に転じるタイミングで、”キャラ変”する人が多い印象。

環境が変わったり、関わる人が変わったり、できる自由が増えたタイミングで、今までとは違うチャレンジをした人が多い証なのかもしれない。

とはいえ、大学進学前の人に、ひとつ忠告しておくと、大学に夢を持ちすぎるのは、危険だ。

なぜなら、大学に通っていたはずなのに、いつの間にか自宅難民になって、その4年間を水に溶かした・・・という人もそれなりにいるからだ。何をやってもいい自由を手に入れた人の中で、その自由を「自宅でダラダラ」に当てた人もいるわけだ。最初はそんなつもりじゃなかったとしても。

まあ、近年はリアルな場でコミュニケーションを広げるよりも、SNSでその輪を広げる方が”現実味がある”という人も多いかもしれない。

マッチングアプリも含めて、インターネットが出会いになるきっかけのシチュエーションは増えてきたしね。

いわゆる邦ロックカップルのきっかけも、そういう場から始まることも多いかもしれない。

話は脱線したが、邦ロックカップルに憧れる人って、今もそれなりにいるかもしれない。

とはいえ、仮にめでたく邦ロックカップルの仲間入りになったとしても、それが手放しで喜べるかどうかはわからない。

なぜなら、邦ロックカップルにも、色々と問題があるからだ。

少なくとも、脳内で描いていた、SHISHAMOの「君と夏フェス」的な日常を無条件で過ごせるか?と問われたら、答えは否。

こんなはずではなかったと悔いる前に、まずは様々なケースをシュミレーションしておいた方が良い。

そこで、邦ロックカップルには、どんな危険なケースがあるのか考えてみよう。

1.同じロック好きだが、好きなロックの方向性が違いすぎる

これは、よくある事例だと思う。

邦ロックといっても、ジャンルの幅は広い。

SHISHAMOやキュウソネコカミが好きな人もいれば、GRAPEVINEやSyrup16gのようなバンドを好きな人もいる。

ヤングスキニーやmoon dropが好きな人もいれば、八十八ヶ所巡礼なんかが好きなロック好きもいる。

Crossfaithやcoldrainが好きな人もいるし、京都大作戦こそが命みたいな人もいるし、もっと大御所なバンドだけをカジュアルに聴いている人だっている。

ダイバー出まくりのゴリゴリなやつが好きな人と、愛でるようなステージをじっと静観することが生きがい!みたいな人では、やっぱりノリが違う。

もし足並みを揃える前提で、うっかりフェスに足を運ぼうものなら、ケンカのひとつやふたつは起こるだろう。

仮にケンカはしなかったとしても、どちらか側に心のしこりが残るケースは考えられる。

動物好きと括っても、猫好きと犬好きではまったく違う。

それと同様に、邦ロック好きと括っても、その中身はまったく違うことは多い。

このような問題を防ぐためには、相手の言う”邦ロッ”とはどのようなものなのか、一定数リサーチする必要があるし、自分が好きなものと異なる場合は、相手が好きなものに関心を寄せるという姿勢が大切になる。

2.同じロック好きだが、そのロックが”根暗”なため、仲間意識を育むのではなく、逆に衝突する。

特定の邦ロックファンは、心のどこかに「闇」を抱えている可能性がある。

そういうタイプは、確かに特定のバンドが好きだけど、屈折した感情を抱えている。要は、ひねくれている。

そういうタイプは好きなバンドの話をしていたとしても、こじれることになる。

「好き」というやり取りだけでも、どこかしらにその「好き」の認識にズレを感じてしまい、妙にもめてしまうというか。

一見すると、同じバンド好きだからいいね〜と見えるかもしれないが、実は自分と相手では、そのバンドの「好き」の解像度がまったく違う、ということはわりとよくある。

この場合も、歩み寄りが上手ければ解決する問題ではあるが、1の項目に比べて、かなりコアな部分に入り込む必要もある。

もし、このケースで失敗すると、実感することになるのだ。

むしろ、カップルの場合、お互い好きなものは違う方がいいのかもしれないぞ、と。

3.よくみたらロックが好きなのではなく「邦ロック好き」というコミュニティが好きなだけのやつ

世の中には、音楽そのものが好きな人と、音楽というツールを使って何かをするのが好きな人、の二つのパターンに分かれる。

いやね、ここでいう「ツール」というのは、フェスにいって楽しいとか、ワイワイ騒ぐのが好きとか、そういう話ではなくて、なんかもっと香ばしいやつ。

本当の意味で、あくまでも人と出会うためのツールでしか、それを使っていない、みたいな人種。

一見すると同じ趣味で仲良くなってよかった、みたいな見えていても、片方がそういう香ばしいタイプだと、どこかでパワーバランスが崩れて、とんでもないことになりがちだ。

これとは少し異なる例だが、バンドマンとファンが付き合った果ての炎上も、パワーバランスの崩れから生じるケースが多いよなーと、ぼんやりとその顛末を見届けることも多い。

5.邦ロック好きと思ったら、こいつ、ただのバンドマンだった。故に金なしのため、あたしが貢いでばっかり。デートは自宅かライブハウス。はあ。

邦ロックファンではあり、内実は仕事をしていない、ただの売れていないバンドマン。

もし上記だった場合は、それはそれで大変なことに。

夢をおいかけている分、ちゃんと「やるべきこと」をやっている分には全然OKだと思うが、マジでやることやっていないやつというのも世の中にはいる。

双方がそれで幸せならいいけど、どこかしの空洞を覚える場合は、色々と見直した方がいいかもしれない。どこかの映画みたいな話。

6.ライブハウスでの格好しか知らなかったが、それ以外の場所で出会うとセンスなさすぎ。というか、音楽以外のあらゆるセンスが皆無。

現場主義の二人が、現場をきっかけに親交を深め、愛でたく付き合った場合の悲劇。

ライブハウスだと、バンTとかディッキを着ていたら、わりといける。

フェスでも、動きやすい格好をしていたら、わりとそれでいける。

ライブ終わりは、その格好のまま、大衆居酒屋かラーメンを食ってたら、いける。

そういう人もいるとは思う。

だからこそ、デートではじめて私服を観たときのギャップは鮮烈なものになる。

もし万が一、ライブハウスでの印象しか知らないまま付き合ってみたら、ライブハウス以外の服装は異常にダサかったとしたら、どうなるか。

デートにおけるセンスはほぼ壊滅的。音楽以外のトークは死ぬほど面白くない。

この人から、音楽の趣味を引いたら何が残るのだろう・・・?

仮にそんな人だとしたら、それはそれで大変だ。

現場で親交を深めるのも素晴らしいが、普段は何をしているのか?の話をするのも大切かもしれない。

7.付き合ってから邦ロックの熱冷めたのに、向こうは「邦ロックが〜邦ロックが〜」とうるさい。成長しない。

長年付き合うと、女子は結婚とか意識しだすのに、男子はいつまでたっても子供のままでいる、というケースはわりとある。

要は音楽とリアルをちゃんと切り分けているのか分けていないのか、そういうことに対する温度差が自分と同じなのかどうかは確認しておくに越したことがないという話。

これもまた、どこかの映画の題材みたいな話だ。

まとめに替えて

ということで、色々なパターンを検証してみた。

趣味が同じだから、その後も順風満帆にいくと思ったら安易である。

色々な問題が起こりうる。少なくとも、その可能性はある。

そして、何よりも大切なことは、邦ロック好きとかどうかは関係なく、本当にその人が好きなのかどうか?ということだ。

吊り橋効果よろしく、同じ趣味だから距離が近く感じただけで、本当はどうなのか?と自問すること。

これが、わりと大切なのかもしれない。

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