HANA「blue jeans」レビュー歌詞を紡ぐボーカルとサウンドの結託感

前書き

ブログに書こう書こうと思ってなかなかきちんとした記事に書けていないアーティストがかなり増えてきつつあるんだけど、それでも、このアーティストはちゃんと書かないと、と思っていたのがこのグループ。

HANAだ。

色んな形で脚光を浴びたアーティストであるが、自分的にもいつか記事にしたいと思っていたアーティストである。

7月には「blue jeans」という楽曲をリリースしたが、この歌が面白くてリピートしている自分がいる。

何がそんなに刺さっているのか?

この記事ではその部分にスポットを当てながら言葉にしていきたい。

かっこいいで突き進む楽曲

J-POPシーンにおいて、ガールズグループは「かわいい」軸にして楽曲を展開させることが多い。

しかし、HANAは「かわいい」に下手に寄りかかることなく、「かっこいい」軸にして楽曲を進行する。

ここが、まず自分が面白いと感じるベースとなる。

仮に「かわいい」で楽曲をベースにした場合、親しみやすさが楽曲の魅力の一つとなり、完成度とは異なる軸も魅力になる。

だから、どの方向からも魅力を展開できる分、無敵になる。

これはこれで魅せ方として大いなる武器になると思うし、そういう視点で楽曲を展開するからこそ、老若男女問わない大きなムーブメントを作り出すことも多い。

でも、「かわいい」の方向に突き進んでいくことで、どうしても削ぎ落とす魅力があることも確かだと思う。

HANAにおいては「かっこいい」を志向することで、他のアーティストだと優先していない部分の魅力も研ぎ澄ませている印象なのだ。

だからこそ、「かっこいい」の進化の仕方がえぐいことになる。

また、「blue jeans」はそういう観点から触れたときに高揚感を覚える楽曲だなーと感じる。

サウンド、そしてボーカルで考える魅力

というのも、「blue jeans」のイントロは、ゆったりとしたギターアルペジオから始まる。

ド派手で豪華に展開することもできる中で、選び抜かれた必要な音だけでトラックを構成している。

だからこそ、そのサウンドの中にボーカルが合流した時のゾクゾク感は半端ない。

クールかつほんのりエッジを効かせたギターのサウンドが空間に溶け合うように響く中、それ以上にクールかつエッジの効いたボーカルがその空間の中で溶け合う。

どちらかと言うと低音を印象づけるそのボーカルは、「blue jeans」の淡々した高揚感の中で、でも確かに熱のある何かを感じさせてくれる。

ギターがミュートブリッジをしたタイミングでも、ボーカルがどっしりと構えているからこそ、歌の中で良い意味で緊張が生まれる。

結果、楽曲の中に不動のかっこよさを生み出すことになる。

サビに入っても過剰にサウンドでメリハリをつけることはない。

シンプルこそ志向と言わんばかりに、自分たちのペースを崩さず、自分たちのかっこいいを貫く感じ。

なんならメロとかサビの区分けはこの歌の上ではそこまで重要ではないのかもしれない。

それぞれのパートの中で、それぞれの見せ場があって、飛び道具ではなく、素手で戦ってみせるような潔さでもって、グイグイと楽曲の世界に誘ってみせる。

かといって同じ展開が続く飽きやすい歌ではなく、淡々としながらも展開は豊富で。

それぞれのパートでそれぞれの魅せ方をするし、クールなラップが軸かと思えば、華やかなコーラスワークで歌を彩る瞬間もある。

サウンドの展開も細かくて、フェーズごとに耳に届く音色は細かく変化していく。

そのうえでポイントなのはビブラートの使い方。

息遣いを感じさせるブレスや、小さなビブラートの揺らぎが感情をダイレクトに伝えるし、そういう細かい要素のひとつひとつが全て表現に繋がる気持ち良さがある。

後書き

HANA「blue jeans」って不思議な魅力だ。

でも、HANAが出てくるまでは、J-POPのガールズグループのメインストリームで響かなかったタイプのかっこよさを放っていることは間違いない。

サウンドの音色。

楽曲の展開。

ボーカルの存在感。

どれをとってもそれを感じる。

だからこそ、HANAの楽曲って面白いんだよなーというのが、この記事のひとつの結論。

もしまだこの楽曲を聴いていない方がいれば、HANAが表現する青い記憶の世界に、ぜひ身を委ねてみてほしい。