前説

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少し前にTwitter上でOfficial髭男dismの「HELLO EP」で、どの歌が好きか?という質問をさせてもらった。

意見は様々あって、すっと一曲を選び人もいれば、一曲選ぶことができず、投票を棄権された方もいたようだった。

確かにどの歌も良い歌だったので、改めてEPとしての感想を書いてみようと思う。

本編

カラフルな名曲であるHELLO

「HELLO」はカラフルな楽曲である。

泣かせるバラードを歌うこともできれば、ライブ受けしそうなアップテンポの歌も歌えるヒゲダンだけど、あえてこういうテイストの歌を表題曲でドーンといってしまうところが流石である。

そして、こういう歌を途方も無く輝かせてしまうのがヒゲダンの凄さである。

バンドサウンドと打ち込みを巧みに調和しながら、サウンドを引き出しをこれでもかと見せつけて、肝心のボーカルでも一気に引き込む。

ハイトーンボーカルがウリなバンドの場合、サウンドの厚みは二の次になるバンドもいるなかで、ヒゲダンはバンドそのもので魅了してくる迫力がある。

だからこそ、バンドとしての無敵感が際立つのだと思う。

優しい楽曲でるパラボラ

Official髭男dismといえば、優しいバンドというイメージを持つ人も多いだろう。

実際、歌詞は暖かく人を包み込むような眼差しのものが多い。

でも、歌詞の書いている内容以前に、メロディーとかサウンドが優しい歌も多いと思うのだ。

優しい歌詞と溶け合うサウンドの歌が多い、と言っていいかもしれない。

そういう優しい歌の代表が「パラボラ」だと思う。

春に似合いそうなサウンドと楽曲展開。

こんなにもカルピスのCMが作る青春の一コマに似合う歌もないと思う。

藤原の歌声は、ただハイトーンなだけでなく、独特の柔らかさも持っている。

なにより(おそらくは)メンバー仲が良いからこそ、独特の柔らかさがバンド全体からにじみ出るのだと思う。

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王者であるLaughter

ポップシーンを貫く壮大なバラードだ。

そう思った人も多いのではないだろうか。

少しずつ展開が劇的になるメロディーとアレンジ。

ソリッドなギターの音色と、後ろでさりげなく響いているストリングスがそういう印象をより鮮やかなものにしていく。

ドラマチック性はこの歌が圧倒的だと思うし、なぜこの歌がここまで劇的かといえば、藤原の歌声があまりにも痛烈に空間を響かせてくるからだと思う。

バラードをこういう境地に持っていけるのは、選ばれたボーカルだけだと思うのだ。

弾き語りだけでも引き込んでしまえるような歌を歌えるボーカルが、「泣かせ」にかかる手加減なしのアレンジの楽曲で攻めたとき、こういうとんでもない空気を楽曲が生み出すのである。

この歌を聴いて、ポスト・ミスチルの名前を挙げた人も多いだろうが、王道であることを受け止め、王道であることを期待に間違いなく応えることができたからこその評価だと思う。

そういう歌を歌えるヒゲダンのバンドの凄さが、この歌には詰まっている。

間奏パートの、多重なコーラスとハイトーンボーカルの融合もたまらない。

夏模様の猫について

この歌はアマチュア時代に作られた楽曲である。

だからなのか、他の歌に比べるとシンプルな印象を持つ人も多いかもしれない。

ピアノとボーカルだけの構成なんだけど、こういう歌でも本当に引き込むというか、ヒゲダンって本当に何でもできるし、どんなやり方でも魅了させることができるバンドなのだと改めて痛感する。

まあ、この歌を歌っている頃は、ヒゲダンのことなんて一切名前を出していなかった自分がこんなこと言っても胡散臭いだけなのかもしれないけれど。

ただ、メジャーデビュー直後と今で圧倒的に違うのは、バンドとしての完成度だと思う。

というのも、昔のヒゲダンって上手いんだけど迫力がないって感じのバンドだった。

言葉を悪くすれば、音源は良いけれど、ライブは必ずしもその期待を超えてくるバンドではない、という感じだったのだ。

しかし、昨年から一気にバンドとしての迫力が大きくなった。

ここ最近は歌番組でのパフォーマンスしか観ていないけれど、それでもビンビンに伝わるライブバンドとしての凄さ。

むしろ、画面越しですらあんなに凄みを感じるのだから、今、彼らを生でライブを観たらとんでもないことになってしまうことが肌で実感できる。

そういう地の力が圧倒的に磨かれたこのタイミングで、アマチュア時代の曲を歌うからこそ、とんでもなく突き刺さってしまうのだろうなーと思う。

にしても、藤原の歌声は本当に心が浄化される。

聴けるタイプのヘッドスパのようである。

まとめ

「HELLO EP」は名盤である。

その中でもあえて一曲自分が好きな曲を選ぶとすれば、「Laughter」になる。

でも、聴くタイミングによって一位はあっという間に入れ替わる予感がある。

それくらいにどの歌も素晴らしいのだ。

2020年を代表するepである。

改めて、そう思うのである。

関連記事:HELLOを表題曲にするOfficial髭男dismのあざとさについて

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