前説

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ボカロP出身の良い歌を作る男性ソロアーティストはたくさんいる。

米津玄師の名前を出すまでもなく、そのことを自明だと思う。

ボカロPのときと、それ以外のクリエイター活動で名前を変える人もいれば、そうじゃない人もいるけれど、ボカロの活動に対して偏見がなくなった今、キャリアそのものを分けて考える人はほとんどいなくなった気がする。

というわけで、「そっち系」の男性ソロアーティストで、好きだなーと思う人をいくつかピックアップして紹介してみたいと思う。

本編

神山羊

神山羊といえば、「YELLOW」かなーということで、この曲を紹介。

有機酸というボカロPとしても活躍する彼は、2018年に神山羊としてデビューすることを発表。

それくらいのタイミングで発表されたのが、「YELLOW」だったわけだけど、音の使い方や言葉のはめ方のセンスが段違いなのである。

例えば、「価値」という歌詞のタイミングで秒針の音を印象付けて、価値とカチッって音で、かけているんだけど、そういうところにセンスを感じるのである。

打楽器の音とか低音の音の使い方とか、音のバランスに対してのボーカルの置き方とか、もう音の構築の仕方全てにセンスを感じるのである。

なにより、タイトルである「YELLOW」という言葉の使い方。

「YELLOW」ときいて、どういう価値を想像するか?という話なんだけど、意外とこの答えが簡単には出せない。

少なくとも、色んな想像の余地があって、解釈をすることが可能なわけで。

ひとつの答えを提示するんじゃなくて、様々な解釈をすることが可能という意味でも、神山のクリエイターとしてのセンスを感じさせる。

10月23日には、新しいアルバム「ゆめみるこども」がリリースされる。

どうせ米津玄師の劣化版でしょ?と思っている人が万が一にでもいるとしたら、聴いてみてほしい。

あ、やられた、と思うはずだから。

須田景凪

バルーンという名前のボカロPとしても活躍していた彼。

神山羊は楽器以外の音でサウンドを作るセンスが巧みなのだとしたら、須田はわりとシンプルにバンドサウンドを取り込んだり、爽快感のある歌を作ることが多いのかもしれない。(まあ、神山の歌でもギターをフィーチャしている曲はあるし、須田の歌でもギター音が目立ってない歌ももちろんあるんだけどね)

そういう意味で、邦ロックとの距離感は須田の方が近いのかなーと個人的には思う。

サビの盛り上がり方も邦ロック的なシンパシーを感じるというか、右手を掲げたくなるような盛り上がりになっている歌が多いような気がする。

あえて、語弊を恐れずに言うのであれば、神山は米津みがあって、須田はwowakaみがあるというか。

もちろん、アルバム曲ではこのカテゴリーとはまったく違った曲も収録されているし、ひとつの暴論であるのは承知なのだが、自分の中でのそういうカテゴリー分けができるんじゃないかと思っている。

にしても、須田の歌も印象的なフレーズやメロディーが多い。

イントロからサビに至るまで、ずっと全て印象的なラインで構成されていて、ある意味全部サビみたいな歌もけっこう多い。

一回聴くと、中毒性の沼にハマる。

恐ろしい。

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Lanndo

Lanndoと言ってもぴんとこない人は、ぬゆりに変換すると、ぴんとくるかもしれない。

それでも、ぴんとこない人は、まず曲を聴いてみてほしい。

ぬゆりも同じくボカロPだったり、クリエイターとしてその名を馳せており、「フィクサー」や「フラジール」なんかは特に有名なわけだけど、あんまりよく知らんという人は、この仕事もぬゆりがやっているんだぜ?と言えば、よりピンとくるのではないだろうか?

そう、この歌もぬゆりが関わっている。

作曲はACAねとの共作、アレンジはぬゆりが単独で担当している。

ずとまよが圧倒的なブレイクを果たしたのは、ぬゆりの功績も大きいわけである。

そんな様々なサウンドクリエイター活動で名を馳せていたぬゆりが、ついに自身で歌ったぽい楽曲が公開されたのである。

それが、トップで出てきた「ザルパラ」という楽曲。

この歌は、ぬゆりではなく、Lanndoの名義で公開されている模様。

自身のボーカルは、どんな楽曲にもハマりそうな透明感と中性的な雰囲気がある。

本格的な男性ソロアーティストとなったら、なおのことエグい存在になりそうな予感。

キタニタツヤ

こんにちは谷田さんという名前のボカロPとしても活動していたキタニタツヤ。

今回のラインナップの中だと、一番トラック感が強いかもしれない。

元々、アジカンあたりのロックに影響を受けたキタニタツヤは、ボカロ作品では硬派でオルタナ的なギターロックの歌を作っていたんだけど、近年のソロ作品では、ヒップホップ風味の強い歌が多い。

バンドの文脈でいえば、King Gnuみたいなミクスチャー性のある音と親和性があるというか。

もちろん、○○っぽいという括りで語ることができるほど、ワンパターンのアーティストでないことは、他のアーティストと同様ではあるんだけどね。

なお、キタニタツヤは、ヨルシカのサポートメンバーとしてベースを担当している。

やばないですか?

歌えるし、曲も作れるのに、他のバンドのサポートもやってるんですよ?

しかも、楽曲に妥協がなさそうなヨルシカというユニットでのサポート。

まあ、キタニタツヤは、ヨルシカに限らずバンドでは、ベースを担当していたわけだけど、それにしても才能の具合がすごいよなーと思う。

そうえいば、楽曲でトラック感が出ているのは、自身がベースを担当しているからなのかもしれない。

低音を重視したサウンドメイクをしているから、ミクスチャー感とか、ヒップホップ的な匂いが出てくるのかもしれない。

しらんけど。

まとめ

というわけで、ざらっとボカロにゆかりのある男性ソロアーティストでグッとくる人をとりあげてみました。

バンドも同じだと思うけれど、少し遠いところからその音楽を聴いている人は「みんないっしょ」に聞こえてくるものである。

しかし、作品を丁寧に聴いていくとその違いがわかってくるし、作品ごとでも色の違いが見えてきて、気がついたら恐ろしい沼にハマってしまうのである。

ただ、全員に共通点があるとすれば、ひとつ。

それは、どのアーティストも神曲製造機であるということだ。

あと、おそらくはそれぞれルーツにある音楽が似通っている気がする。

世代が近いので、根本にある影響の受けたアーティストは似ているため、その部分では似ている部分もあるのかなーなんて思ったりする。

にしても、どのアーティストもセンスしか感じないし、たぶんこの沼に落ちたら一生出れない気がする。

そんな恐ろしい界隈なのである。ここは。

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