BUMP OF CHICKENから考える「Eve」という歌手の魅力

前説

[ad]

BUMP OF CHICKENを出自に持つバンドって死ぬほど多い。

聴いてすぐに「あ、BUMPに影響受けてるな〜」って思うアーティストもいれば、お前もBUMPに影響を受けてたんかよ、って思う人もいる。

川谷絵音とかも、インタビューを読んだらBUMPのライブ、昔見てたよーみたいなことを言ってたりする。

今やってる音楽だけで判断したら、あなたはBUMP通ってないでしょ?って思うんだけど、話を聴いていると、実はきっちり影響を受けている、そんなパターン。

また、米津玄師みたいに、BUMPに明らかに影響を受けつつも、そこからの音楽の掘り下げ方がエグくて、圧倒的なオリジナリティーを獲得しているアーティストもいる。

音楽シーンにおける、BUMPの存在はとても大きいわけだ。

本編

BUMPから始まったEve

Eveも、そんなBUMPの音楽に影響を受けたアーティストの一人である。

ただし、彼の話を聞いていると、どちらかといえば、音楽をやるきっかけはBUMPだったし、初めて買ったCDもBUMPだったけど、自分は特定のアーティストを掘り下げることはしなかったと言っている。

BUMPをキッカケにして音楽を聴くようになり、いつしかボカロなんかのネット音楽にハマっていき、supercellにガツーンときて、今に至るみたいな、そんな言い方をしている。

ただ、今、彼のやってる音楽の系譜でいえばやっぱり「BUMP系」だよなーとは思う。

まあ、人によっては、Eveはネット音楽発ということもあって、米津玄師感を覚えるかもしれない。

でも、その言い方だって、今の米津玄師ではなく、BUMPに明らかに影響を受けていた初期の米津感があるという言い方が正しいわけで、結局、行き着くのは「BUMP的な音楽の匂い」なのかなーとは思う。

リズミカルに展開される細かな譜割りのなかで、希望や不安とか、空っぽの僕と空っぽじゃない君とか、そういう若者が持つ独特のナイーブな感情を歌い上げる感じ。

乱暴な言い方をすれば、このような歌詞のセンチメンタル感で魅力する、ギターロックなサウンドに「BUMP的な雰囲気」を強く感じるのだ。

というよりも、BUMP的な要素を、米津玄師なんかとはまた違った方向で、立体化・発展させていったのが、Eveの面白さなのかなーと僕は感じる。

変身したEve

そんなEveは元々、人の言葉を借りて歌う歌い手だった。

そして、いつしか彼は、自身の言葉で何かを物語る、シンガーソングライターに変わった。

こういう振り返りをすると、歌い手なのに才能あってEveはすげえんだよ!的な「歌い手」ありきの評価になりがちなんだけど、そういう見方は、もはや意味がないように思う。

もちろん、他の歌い手と比べた時のセンス・実力の高さは明らかなんだけど、それはバンドの世界だろうが、ボカロの世界だろうが、同じなように思う。

才能あるやつはめちゃくちゃ才能があるし、才能ないやつは全然才能がないという話。

だからこそ、Eveの評価を歌い手だからとか、歌い手なのに、なんて軸で言葉にするのは意味がない。

だってさ、アーティストとしてみたときのEveの才能の瑞々しさ、ものすごいもん。その凄さ、楽曲を聴けば一発でわかるわけで。

[ad]

バンド的なEve

そんなEveは、バンド的なアーティストだよなーと勝手に思っている。

これは単に楽曲にロックのテイストの歌が多いという意味ではない。

では、どういうことか?

バンドの場合、フロントマンがデモを作る。

そのデモは歌しか入れていないこともあれば、各パートを細かく作り込んだデモであることもある。

いずれにしても、フロントマンが作ったアイデアを他の人たちに渡す。

他の人たちはフロントマンのアイデアを膨らまし、より立体的にするために、それぞれのパートの試行錯誤を繰り返す。

やがて、レコーディングという「形にする作業」を通して、楽曲は完成に向かう。

つまり、起点となる人がアイデアの源泉を作り、各々のプロがそれぞれの役割の中でベストパフォーマンスを行い、チームになって一曲を完成させるわけだ、バンドの場合。

で、Eveもこういう作業を通して楽曲を作っているように見えるわけだ。

例えば、映像プロデュースやアートワークを始め、その作品にまつわる様々なクリエイティブをチームで進めていき、全チャンネルのクリエイティブを高い水準で形にして、一つの作品を生み出す。

つまり、Eveが作ったアイデアを様々なパートの人たちが、全力で打ち返す。

その繰り返しの中で、クオリティの高い楽曲が生み出させる。

そういう意味で、Eveはすごくバンド的なアーティストであるように思うのだ。

なにより、この様々なクリエイティブをコントロールする「嗅覚」。

これが何よりも優れていたからこそ、Eveは歌い手どころか、アーティストとしてみても、飛び抜けた存在になったのだろうと強く感じるのだ。

まとめ

今でも充分売れているEveは、ここからさらにその存在感を強めるのだろうなーと思う。

あのBUMPと同じレコード会社であるトイズファクトリー所属になったのも、その一つの証明であるように思う。

やがては、米津玄師や星野源の男性ソロアーティストの中に、Eveという名前が刻み込まれる。

そんな話すらも、そう遠くないのかもしれない。

[ad]

LINEで送る
Pocket