序章

どんな楽曲にもカラーってある。

そして、楽曲が持つカラーが明確になっている楽曲であれば、ワクワクすることが多い。

「MONTAGE」もまた、そういうワクワクを持ち合わせた楽曲であるように思う。

自分的にはミステリアスかつ光沢ある黒のトーンをこの楽曲から覚えた。

甘さを持ち合わせながら透き通った輝きを放つ中島健人のボーカルと、ミニマルながらもスリリングに構築されたビートメイク。

聴き手の内面に潜り込むような潔さも歌の中で隠されていて、ゾクゾクとした高揚感を与えてくれる。

そういう意味で、ソロアーティスト・中島健人の新たな魅力を様々な点から感じられる楽曲であると言えるのではないだろうか?

独特の空気感

作詞をcAnON.と中島健人、作編曲を澤野弘之が手がけたということもあって、楽曲のどの部分を切り取ってもプロフェッショナルな空気感が宿る。

音楽ってアーティストの作品によってはムラが見えるというか、良くも悪くも振れ幅を感じるケースもある。

でも、「MONTAGE」って最初から最後までプロがプロとして貫く隙のなさを覚える。

ボーカルの完成度、サウンドの構築具合、言葉選び、メロディーの展開、リズムのアプローチ。

音楽を構成する様々な要素が楽曲としてのカラーを十全に理解して、そのトーンに合わせてプロとしてその輝きをまっすぐに放つ感じ。

そういう意味において、今作は中島健人のアーティストとしての魅力をしっかりと感じられる楽曲であると言えるのかもしれない。

サウンドとボーカルの調和

ビートを司る音は電子的な響きながらも、スタイリッシュな音色で響く。

だからこそ、クールな中島健人のボーカルとの相性がバッチリで展開する。

サウンドの上を展開するシンセサイザーも過剰ではなく、でもしっかりと存在感もあって、歌が持つ「なんだかミステリアスな感じ」をしっかりと印象付けるのが巧み。

かつ、全体的にクールな印象ながらも、サビはしっかりとアッパーに展開して、エフェクトをかけたボーカルから眩い光を放つ。全体的には黒くてスマートな印象の楽曲ながら、テイストとしては明るさも覚える聞き心地になっている。

また、サウンドの展開がしっかりしているからこそ、スタッカート気味に歌唱する中島健人のボーカルとのコントラストが絶妙で、しっとり感もありながら独自の躍動感を歌の中で作り出している印象を受ける。

ちなみに個人的に好きなのは、最後のサビの前のしっとりとなる瞬間のパート。2分7秒あたりからの展開。

ミステリアスなサウンドをバックにしながら、ささやくように中島健人がメロディーを紡ぐ展開がたまらないのだ・・・。

そして、そこからの最後のアッパーなサビへの接続の流れ。

うおおおおおおおおおっ!

これだけでご飯が何杯でも食えるぞ。

そんな気分を残して、イントロに対して瞬間で終わるアウトロを最後に楽曲は終焉を迎える。

まとめに替えて

やっぱり中島健人のボーカルとしての表現力って心地よいなあ。

改めて、そんなことを感じた「MONTAGE」の充実感。

やっぱり中島健人って凄い。

そんなことをしみじみと感じる、そんな夜。