BE:FIRST「夢中」 – Piano ver. -の話

ふとサブスクをみると、「夢中」という、少し前にリリースされた楽曲の、異なるアレンジのバージョンが配信されていることに気づく。

題して、「夢中」 – Piano ver.。

タイトルからも分かる通り、シンプルなピアノ伴奏が軸になったアレンジである。

そういえば。

BE:FIRSTについてリズムとかラップとかダンスの魅力について言葉にすることは多かったが、ドストレートに歌そのものの魅力を言葉にするケースはそこまでなかったことに気づく。

当然、ピアノアレンジということは、ミディアムテンポの楽曲になって、サウンドの音数も減って、よりぐっとボーカルにスポットが当たるということだ。

イメージとしては、ボーカルという存在に、カメラの視線がズームアップする感じ。

仮にリズムとかサウンドとか別の要素で、ハッタリをかましていた場合、安易にピアノアレンジにすると、ボロが出る。

BE:FIRSTの場合、そんなことはまあないけれど、これまでの楽曲とパンチ力がおおいに変わる、という可能性はあるかもしれない。

なーーんて妄想を抱えながら楽曲を聴くと、一発でそんな杞憂を吹き飛ばす。

えぐい、歌が上手い

いやね、歌がシンプルに上手い。

甘さもある。

大人びたクールさもある。

独特のきらめきもあるし、なんとも言えない感動もじんわりと味わえる。

そんな圧倒的な攻撃力。

大谷翔平が二刀流で話題になっているが、BE:FIRSTのメンバーがそろって織りなしたとき「2」の数では表現できない芳醇さを味わうことになる。

煮込みまくったカレーのその先の多幸にも近い何か。

歌の中に、これまでとは違う魔法がかけらており、不思議な化学反応が起こっている感じ。科学の本には書いていないタイプの化学反応。新しく、化学の教科書に載せるべきかもしれない事案。

ピアノが紡ぐことで、生まれた新たな感動

なめらかで優しい旋律が流れるからこそ、より歌の美しさが際立つ印象。

ボーカルのバトンの紡ぎ方も美しさそのものだし、厳かな空間にもぴたりとハマるような綺羅びやかさが「夢中」の楽曲で際立つ。

普段ではなかなか体感できない歌の強弱の際立ち方も良いし、ひとつひとつのブレスすらも圧倒的な表現に早変わり。

しゃくるようなボーカルの展開も絶妙だし、本当に声の表情表情ひとつが際立つ。

肌年齢をチェックするときに接写するカメラのあの感じ。

普段は見えないものを全て浮き彫りにさせるんだけど、浮き彫りにさせた結果、美の細かさを痛感することになるのだ。

ファルセットを披露する場面もあるんだけど、ここの部分もえぐいくらいの優しい。

そう。

妙に激しくなることなく、常に優しさと隣合わせになりながら、ドラマチックを作り出す感じも素晴らしいのだ。

結果、歌が上手い、は前提になるんだけど、「上手い」だけでは説明不可能な体験を何度も味わうことになるのだ。

良いパフォーマンスをみると、”味がある”なんて表現するけど、それはその人だからこその魅力故の言葉。

この歌もまた、そういう”味がある”が何度も出てくる。

だからこそ、上手いを超えた上手さを体感することになるのだ。

・・・このあたりは、実際に楽曲を聴くと、より率直に体感することになると思われる。

まとめに替えて

やっぱり、BE:FIRSTって歌も素晴らしい。

そのことを強く強く強く実感させてくれるのが、「夢中」のピアノバージョンである。

外はクソ暑くて、なんだかんだだれちゃう日が続くからこそ、「夢中」の音楽がもつ洗練されたきらめきを浴びるとめっちゃ良い。

奥底から何かが浄化されるような、そんな涼しさすら、この音楽から感じることができるから。

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