QUIZMASTERを通して伝えたいNICO Touches the Wallsの気持ち
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“QUIZMASTER”の話
2019年6月5日
NICO Touches the Wallsの7th アルバムである”QUIZMASTER”がリリースされた。
“OYSTER-EP-“、”TWISTER-EP-“という「課外活動」を経てリリースされた今作。
フルアルバムとしては「勇気も愛もないなんて」以来3年ぶりだけどシングルは一切入っていない。
そして前作EPの2枚同様、今作も”NICOとACOを一度に聴けちゃう1枚で2度美味しい”作品なのだ。
“QUIZMASTER”というアルバムの収録曲にはすべて"?”が付いている。これはけしてミスとかではなく、”NICOからの問いかけ”である。
人生生きていく上で必ず出てくる”疑問や謎”をテーマに構成された10曲(実質20曲)。
“サラダノンオイリーガール?”や”3分ルール?”のような身体が揺れてしまうような楽しい曲から、”別腹?”のようなしっとりした曲。ギターの奥ゆかしい音色が印象的で、どこか懐かしさを感じる、”ulala?”など、彼らの「音楽の横広さ」が垣間見える。
色んな音楽の要素が混じっているけれど、間違いなくNICOの音楽だと言えるアルバムだ。
2017年のツアーで初披露された”新曲①”こと”KAIZOKU?”も音源化された。ここで入らなければ音源化は二度とないと思ったので、2019年の”MACHIGAISAGASI TOUR”で聴けた時は思わず心の中でガッツポーズしてしまった。
NICOのライブの話
彼らのライブは毎回最高を更新しまくっている。
いつも聴いてる定番曲だけでなく、発売前の新曲であっても音源とは別物のアレンジを仕掛けてくる。
6月9日の追加公演、ZeppOsaka Bayside(前日は東京。)では、QUIZMASTERに収録されている曲が全て披露された。
中でも印象に残っているのが”MIDNIGHT BLACK HOLE?”だ。
原曲では最後の 「Dance in the”憂”」で途切れるように終わる部分がリフレインしていた。
余韻を濃く残していくような、そんなアレンジだった。
楽しくて踊っちゃうようなライブも大好きなのだが凄すぎてただただ、圧倒されるライブもまた、大好きになった。
アルバム発売からわずか4日で終了するツアーの締めくくりには「答え」とも取れるような曲で終わった。
“あなたのそばにいるから ずっと見守っていて欲しいよ”-demon(is there?)
普段ライブでホロッとすることはあってもあまり泣かない私が泣いてしまった。それはライブを見て感動した、とか思い出がつまった曲が聴けたから、とかではなく、紛れもなく彼らの音楽に心を動かされたからだ。
彼らのライブの良さ、これはここで語るよりもきっとあなたの目と耳と身体で確かめて貰うのが1番正しいと思うので、夏フェスなど行かれる方はぜひ堪能して欲しい。
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結局、”QUIZMASTER”とは誰?
今作、”QUIZMASTER”を聴いたときに、
NICO Touches the Walls=”手をたたけ”とか”天地ガエシ”とか強くて明るくてキラキラした爽やかなイメージがある人にはきっと「えっこんなバンドだったの?」と言うだろう。
2014年頃光村さんは「明るい曲しか歌いたくない!」とインタビューなどで答えていたし、私はそれはそれで好きだけれど、NICOの真髄はどちらかといえば”雨と夜と闇”だと思っている。
これは好きになった時からずっと変わっていない私なりの彼らのイメージ。
今回のアルバムについては「最近は結論がはっきりした、いいことを歌っているロックバンドが多いけれど、自分はそんなことはっきり歌える人間なのか?」とインタビューで答えていた。
なんとも、捻くれ者で不器用だけど、まっすぐな彼ららしい答えでもあると思える。
こちらがそのインタビュー記事だ→https://natalie.mu/music/pp/nico21
“人生は謎だらけ”
人間誰しも生きていると壁にぶち当たるし、疑問が生じることもある。じゃあそれをどう乗り越えるの?どうしてこうじゃなきゃいけないの?というNICOからの10個の疑問。
ああ、こういう疑問、避けてきたかもしれないなぁと感じる。
実際私は捻くれ者なので、みんなが「こうだ」というものに賛同するのには少し抵抗がある。
かといって「私はこうだ!」と言えるほど強くもない。「波風立てるのやだし、どうでもいいや。」と諦めがち。
NICOはそんな私に「本当にそれでいいのか?」と投げかけてきた、と勝手に思っている。
“どうして夢を見るの?”と問いかける”18?”からはじまり”嫌われて息もできない”と自身の弱さと女々しさを曝け出した”bless you?”で締めくくられるQUIZMASTER。
彼らの音楽は強くて脆くて鋭い、でも暖かい。
ときどき曲がったナイフで思いっきり傷口をえぐってくる時がある。しかし時々それが心地よく感じてしまうことすらある。知らず知らずのうちに救われているときもある。
数年前私はNICOのことを”自分を救ってくれたヒーローだ”と言っていた。
今はどちらかといえば”共に歩んで、戦ってくれる同志のような。同時に、疑問と理想と現実もきっちり見せてくれる存在”に変わった。
だとするならば”QUIZMASTER”=”NICO Touches the Walls”と言ってしまいたいところではあるのだが、答えはきっと、自分自身の中でしか見つけられないのかもしれない。
昔NICO聴いてたよ!という人、音楽が好きなあなたにこそ、彼らの”今”、そして今後の”スタンダード”を聴いて欲しい。
きっと彼らの音楽が、これからも私を時に突き放しながらも支えてくれるのだ、と思う。
これからも末永くお供させていただきたい。
関連記事:NICO Touches the Wallsのアルバムを聴き、ライブを観て感じたこと
筆者紹介
20代社会人。NICO Touches the WallsとフジファブリックとUNISON SQUARE GARDENが好き。
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