イケメンとかイケメンじゃないとかそんな話じゃなくて、ボーカルの顔ってすごく重要だと思うんですよ。バンドが作る世界観ってなんだかんだで、バンドの顔にすごく引っ張られるところがある。
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それはオーラルであれ、岡崎体育であれ、マイヘアであれ、SiMであれ、マンウィズであれ、全部一緒だと思う。
だから、ボーカルは他のメンバー以上に「ちょっとしたビジュアル」の魅せ方を工夫する。
そんななかで、ボーカルの特徴を明確にする重要なアクセサリーのひとつがメガネだと思う。
というわけで、今回の記事では、そんな愛すべきメガネボーカルを特集していきたい。
後藤正文 / ASIAN KUNG-FU GENERATION
パーマ+メガネ=ゴッチ。
ロック好きならこの等式に違和感がないくらいに、メガネボーカルと言えば、ゴッチをイメージする人が多いのではないだろうか?
実際、今、フェスシーンで活躍するバンドの多くはアジカンに影響を受けているし、アジカンがいたからこそ、ロックを聴いたという人も多いし、きっとアジカンを見て、ボーカルってコンタクトじゃなくてもいいんだ。メガネをかけて歌ってもいいんだ、と密かな勇気をもらった人だっていると思うのだ。
ちなみに、僕はこの頃のゴッチが一番カッコいいと思う。
ちょっと黒のフレームが太めのメガネ。
デビュー初期はフレームが細めの「ガリ勉メガネ」をかけていたゴッチ。服に金をかけていなかったこともあるけれど、当時はどこかしら芋さがあった。
けれど、この頃になるとメガネに対する美意識も、それ以外の美意識も大きく変わり、カッコよくなっていくのだ。
ところで、アジカンの歌詞って文学的というか、少し難解というか、そういうインテリなイメージを持っている人もいるかと思うんだけど、アジカンにそういうイメージを与えた原因として、メガネの存在は大きいと思う。
インテリ社会派なイメージになったのは、ゴッチのメガネの存在が大きいように思うのだ。
田邊 駿一 / BLUE ENCOUNT
メガネがトレードマークのボーカルといえば、ブルエンを連想する人も多いだろう。
しかし、雨が降ったらレンズが曇ってギターが弾きにくいと悪態をつくゴッチのメガネと違って、田邊のメガネは伊達メガネ。
戦略的メガネの匂いがどうしてもしてしまうところではあるが、確かにブルエンがここまでメインストリームに駆け上がったのは、田邊がメガネをかけていたことは大きいように思う。
というのも、フェスとかでライブを観てもらった後に重要なのは、ライブを観てくれた人がそのバンドを思い出してくれるかどうかだ。
そんなとき、田邊のメガネは大きな強みとなる。
ボーカルがメガネをかけていたバンド、というフックアップのおかげで、ブルエンの名前を覚えた人だってそれなりにいるはずなのだ。
今では彼も30代になってしまい、中堅バンドという位置付けにいるが、当時の若手インディーズシーンにおいては「メガネの重要性」を改めて認識させたはずだ。たぶん。
米田貴紀/ 夜の本気ダンス
こうやって振り返ると、アジカントリビュートに参加したバンドの、ボーカルメガネ率が妙に高いように感じる。
ただ、同世代のメガネバンドだと、どうしてもブルエンの方がメガネのイメージがデカいので、メガネボーカルバンドとして比較すると、少し印象が薄いかもしれない。
そもそも「確かに夜ダンのボーカルの人もメガネかけてたね……。でも、夜ダンならボーカルの人より、ドラムの鈴鹿さんの方が好き。MCの雰囲気が面白いから!」って人も多いかもしれない。
だから、いまひとつ、メガネのボーカルバンドとしては、存在感が薄めな感……。
米田の場合、七三分けの髪型とか、ネクタイをしている感じとか、メガネというよりもそのサラリーマンっぽい出で立ちの方がキャラクターとしてあるため「メガネボーカル」というよりも「くねくね動きのサラリーマン」みたいなイメージの方が強いのかもしれない。
メガネ以外の他の要素を強くした結果、メガネ単品の存在感は薄くなってしまった的な。
メガネひとつとっても立ち振る舞いの良し悪しがあるのが、この界隈の難しいところ。
山口 隆 / サンボマスター
メガネというよりも、顔の迫力とか、ギターの掛け方とか、MCのひとつひとつとか、そういうところがフックアップされているボーカルではある。
前述の3バンドは明確に、メガネをベースにして「キャラ付けをしていく」ことを志向しているように見えるが、サンボマスター山口は結果的にメガネをかけているだけな感が強く、メガネを利用してキャラクター化する魂胆はないように見える。
前述のバンドとは、メガネとの関わり方が大きく違うわけだ。
実際、サンボ山口はびっくりするほど、メガネエピソードがゼロである。
例えば、ゴッチなら「あのゴッチがプロデュースしたメガネが発売!!」みたいな、メガネ発信のビジネスがあったりするのだが、サンボ山口は、そういうのはまったくのゼロ。
メガネに対する意識、あり方が全然違うのだ。
メガネに頼らずともボーカルとしての存在感はとても大きいし、その存在感は不変という意味で、サンボマスターってやっぱり凄いバンドなんだよなーと認識する次第。
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岸田 繁 / くるり
メガネのアーティストと言えば?でよく出てくるタイプの一人だと思う。
若い子になればなるほど、くるりってなんか偏差値高めのバンドでしょ?ってイメージを持ちがちな気がするけど、それは岸田繁がメガネを掛けていることが大きいように感じる。
同じ京都バンドでも、岸田繁がヤバT小山みたいな見てくれだったら、もう少し若い人たちの見方も変わっていたように思うのだ。
くるり=メガネ=インテリ。
知らず知らずのうちにそんな連想をしている人も多い。大学講師の肩書きがそのイメージをより大きなものにしている気もする。
ただ、リリースするアルバムが毎度毎度、くるりの持つインテリ性を超えているので、くるりとは、メガネの存在を超克してきたバンドである、と言えるかもしれない。
のび太 / THE LITTLE BLACK
マジで聴いてくださいよ。これ。
カッコよくないですか?
そうです。これ、元WHITE ASHののび太が中心になって結成された新バンドの楽曲。
のび太も元々は、メガネをフックアップしたコンセプト系のボーカルであり、だからこそ自身の名前をのび太にしたという流れがある。
要は、(ドラえもんの)のび太みたいな見た目なのに、作る歌やボーカル、めっちゃかっこよくないですか??というそのギャップ性で売れていこうとしていたフシがあるわけだ。
まあ、そのメガネ作戦が成功したかどうかは置いておくとして……。
ただ今言えるのは、のび太の新バンドはホワッシュの頃の良さを受け継ぎながらも、より音を研ぎ澄ませているということ。
色んなレベルでまぎれもない進化を遂げた今ののび太は、バンドマンとして普通にカッコいいのだ。
ホワッシュは聴いていたけど、まだ新バンドは聴けてないんだよね……という方こそ、ぜひこのタイミングで一度聴いてみてほしいところである。
須田亮太 / ナードマグネット
ちょっとインテリちっくなロックサウンド。
ボーカルがメガネである期待を一切裏切らない日本語パワーポップバンド。
それがナードマグネットであり、そのボーカルが須田である。
若干、スーパーマラドーナの田中に似ていなくもないため、もしかしてこの人、ただのダメ人間なのでは……??そんなら要らぬレッテルを貼ってしまう人もいるかもしれないが、社会人と仕事を掛け持ちしながらも死ぬほどライブをこなす、音も馬力も超パワフルな人であり、ダメ人間の真逆。
音楽を聴けばわかるが、そのメガネが色んな意味で伊達ではないことがわかるし、率直なる音楽愛は折り紙付き。
メガネである期待を裏切らず、でも今までのメガネボーカルバンドにはない魅力を兼ね備えた、新生メガネボーカルバンドなのである。
ぜひ聴いてみてほしい。
ヨコタ シンノスケ/ キュウソネコカミ
いや、この人はメインボーカルではないやん。
そう突っ込む人もいるかもしれないが、個人的には外せないメガネボーカルの一人だと思っている。
というか、キュウソってセイヤのことばかりがフックアップされがちだが、シンノスケの果たしている役割も大きい。
楽曲作りはもちろんのこと、ボーカルとしてもそうである。
シンノスケのボーカルが合間合間に入るからこそ、楽曲のアクセントがついて、引き締まっている歌も多いのだ。
また、メガネ×パーマ=ゴッチだとするならば、メガネ×短パンはシンノスケと言っても過言ではないくらい、メガネ界隈に革命を起こした人物だと思う。
シンノスケが出てきたことにより、安易にメガネに短パンという格好が出来なくなったわけで、その影響力は果てしなく大きい。
メガネボーカルからしたら、ヤンキーよりも怖い存在感なのかもしれない。
いや、知らんけども。
まとめ
というわけで、メガネボーカルをキーワードにしながら色んなバンドを紹介しましたが、如何だったでしょうか?
まあ絶対に、ZAZEN BOYSの向井秀徳はどうした?とか、ビークルの日高央さんもメガネボーカルでしたけど、社会人バンドのボーカルってメガネかけがちなんですか?とか、高橋優はメガネ界隈からしたらどんな位置付けなんですか?とか、色んな指摘が想定されますが、今回はこれで勘弁。まとめちゃいます。
ただ、総じて言えるのは、メガネが存在感を放つバンドはカッコイイということ。
これは紛いのない真理だと思う。
ぜひここで紹介したバンドをひとつの取っ掛かりにしながら、あなたもメガネボーカルに魅力されて、バンド沼にハマっていってほしい。
メガネが推しの皆さんに、幸あれ。
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