アジカンのトリビュートを聴いた。
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当然ながらどの歌もアジカンの原曲とは違い、色んな工夫を凝らしている。
ギターのリフを弄ったり、ドラムの打ち方を変えてみたり、ベースの役割を変えてみたり。
これだけしか弄ってないのかという意見もあれば、ここをこんなふうに変えるのは面白いね!なんて意見もあったりする。
この記事ではそれぞれのバンドが原曲の雰囲気を変えるためにどのような「工夫」を凝らしたのかということについて、ざっくりとみていきたいと思う。
また、それぞれのバンドが原曲に対して「何を大きく変えたのか」を見ていくと、普段はあんまり気にしない編曲=アレンジについて考える良い材料にもなる。
というわけで、そういうことに着目しながらアジカントリビュートを頭からみていきたい。
yonige「ソラニン」
この歌が原曲と違う感を出している最大の部分は「KEYが違うこと」だと思う。
まあ、女性ボーカルが歌うのだから、原曲のKEYで歌うのはちょっとしんどいわけで、当たり前な話なのだが。
ただ、KEYの上げ方は映画「ソラニン」で宮崎あおいが披露したあの「ソラニン」とも違うのだ。
原曲のKEYはBで、宮崎あおいは2つKEYを上げて歌っていたのだが、yonigeはさらにもうひとつKEYをあげているように思われる。
同じメロディー、同じテンポ、使う楽器も、その楽器の鳴らし方も大きく変化はさせていないけど、KEYを変えるだけで曲の雰囲気は大きく変わる。
yonigeの「ソラニン」はそれを証明している。
04 Limited Sazabys 「未来の破片 」
ジン「Re:Re: 」
この2曲の原曲との大きな違いは曲の「速さ」だと思う。
特にドラムは、スネアの手数が倍以上になることで、よりその「速さ」が際立たつようになっている。
ただし、「テンポ」の変更を際立たせるためか、メロディーやリズムの部分はほとんど手を加えていない(というか、原曲の呪縛から抜け切れていない)感じがする。
Creepy Nuts「リライト」
メロディそのものを変えている(というか、ラップをしている)トリビュート作品。
メロディーは曲の骨格なわけで、そこを変えたらもはや別の曲と呼ぶ方がいいのでは?という意見もあるかもしれない。
じゃあ逆に原曲と「同じところ」ってどこになるの?という話になると思うが、聴けばわかるが、サビでは新録の「リライト」の音をそのまま引用している。
また、R-指定がラップしている部分でも原曲のリライトと同じギターリフをリフレインされている箇所が幾つも散見される。
要は要所要所でリライトの音を引用しながら、曲を新たに構築しているわけだ。
つまり、他のバンドとはまったく逆のことをしてるというわけである。(ギターのリフに関しては、まんま原曲のコピーっぽいKANA-BOONですら変更を加えているので、バンドもののトリビュートにおいて、まずはギターリフが最初に改変を加えられがち)
そういう意味でも、彼らは「リライト」したと言える。
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amazarashi「夏の日、残像」
シナリオアート「迷子犬と雨のビート」
LILI LIMIT「ブラックアウト」
原曲では使っていない楽器を使うことで、原曲と差別化が図られている。
amazarashiならピアノとシンセ。
シナリオアートならアコーディオンと男女混成のコーラス。(コーラスは楽器ではないが、彩りとしては楽器に近いと思う)
LILI LIMITならキーボードとプログラミング。
それ以外にも原曲にはない音や要素を積極的に取り込むことで、原曲と差別化がされている。
いわゆる「アレンジを変えた」ということがもっともよくわかる方法だと思われる。
夜の本気ダンス「N.G.S」
BLUE ENCOUNT「アンダースタンド」
リーガルリリー「ムスタング」
この3曲はアジカンの原曲と使っている楽器の種類自体はまったく同じである。
しかもテンポやリズムは同じもまったく同じである。
KEYに関しては原曲と違うんだけど、これはあくまでもボーカルが歌いやすいKEYにしただけであり、原曲に対する「変化」をつける意味合いは薄いように感じる。
けれど、KANA-BOONの「君という花」と違って、まんまのカバーであると言われないのは、それぞれの楽器の弾き方が細かく違うからだ(まあ、前述の楽曲たちもそうなんだけどね)
各楽器がどのような変更を加えたのかをつぶさにみていくと、あまりにも記事が長くなるので、この辺りは割愛させて頂く。
never young beach「君の街まで」
使っている楽器はアジカンと同じギター、ベース、ドラムだけなのに、明らかにアジカンの原曲と印象かま違う。
それはなぜか。
一番大きな要素は「リズム」が違うからだと思う。
フォーリミやじんのような「テンポ」ではなく、「リズム」そのものが違うのである。
ギターがつくるリズムも、ドラムがつくるリズムも、アジカンのそれとはまったく違う。
また、ギターの音色にも、アジカンはディストーションなギターになっているが、それに対してネバヤンのギターの音色はクリーンであるのは、大きいと思う。
他のトリビュート作品はイントロだけでアジカンのどの歌をカバーしたのか一発でわかってしまう。
けれど、ネバヤンのこれだけは、わからない。
それは、明らかに原曲のパターンを根本的に組み替えているからであり、それがこのカバーの最大の良さであるように感じる。
the chef cooks me「踵で愛を打ち鳴らせ」
この歌は、そんな今までの要素を全て詰め込んだ「変更」を加えているような楽曲のように思われる。
だから、なんか他の曲より壮大に聞こえるのかもしれない。
まとめ
曲の雰囲気を変えるうえでのアプローチとして「KEY」「テンポ」「リズム」「ギター、ベースのリフ」「違う楽器を持ち込む」などが挙げられる。
これこそが、アレンジの基礎なのだ。
そういうことである。
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