スピッツが売れて“スピッツっぽい”バンドがなかなか売れない一因
それはスピッツの魅力が他のバンドに簡単にマネできないようなところにあるからだ。以上。
という指摘は間違っていないと思う。
でも、みんなが思ってる以上にスピッツ的成分を自分なりに解釈して、それを良い感じの形にしたバンドっていっぱいいると思うのだ。
難波のスピッツと評されたボールズも結局は活動休止状態になっている。
ボールズ、良いバンドなんだけどね。
また、Mステのとき、スピッツの後ろでタンバリンを叩きながら口笛吹いていたことで話題になった澤部くんのバンド、スカートも正直そこまでは売れないと思われる。(とか思ってたら岡崎体育みたいにバズって、思わぬ形で支持を集める可能性もあるから、諦めなければ何が起こるかわからないけども)
実は今回、注目したいのはアーティストの「ファン」という観点なのだ。
もちろん、ファンにも色々いて、楽曲が好きで音源はよく聞くがライブに行ったことがない人もいれば、毎回ツアーには参戦、何なら遠征もしちゃいます!というファンもいるだろう。
実は最初の段階ではアーティストにとって、ファンは数よりも質が大事になってくる。
音源は無料の範囲でしか聴かず、ワンマンライブには一切足を運ばず、金を落とすようなマネは一切しないけれど、曲はよく聴き込んでいる、みたいな感じのファンばっかりだったらそのアーティストは100%死ぬ。
遅かれ早かれ音楽でメシが食えなくなってリタイヤせざるをえなくなる。
一番ありがたいのは、メンバー個人にも強く惹かれ、音源やライブはもちろん、ツアーやさまざまなグッズにも継続的にお金を使ってくれる熱心なファンの存在。
よくアーティストに対してキャーキャーと黄色い声援を投げかけるファンは、見た目やキャラクター性から入っただけだと片づけられがちだけれど、バンドの成功にもっとも貢献しているのはこの層である。
要は、そうした熱心なファンをどれだけ増やせるかが初期のバンドが大きくなるポイントであり、最近フェスでメインストリームに上がってきているバンドの多くは、一定数のコアな支持層を抱えている。
だから、仕事が収益化できるし、収益化できるからこそ安定したチャレンジもできるし、色んなタイアップを付けてもらえることで、より多くの人に聞いてもらえる機会を与えたり、より大きなステージに立つことができる。
つまり、ファンは数だけでなく、どれだけ継続的に支えてくれるかという質が重要になる。
マンウィズの躍進も大体これで説明がつく。
被り物という飛び道具によって、ビジュアル面やキャラクター性から入るファン層を広げることに成功した。
逆に、そうした熱心な支持層をつかめているフォーリミを除くと、どうしても苦戦を強いられているメロコア勢(特に中堅)は、その種のコアなファンが少ないように見える。(WANIMAは例外になりそうだけど)
音楽で長くメシを食おうとするには、熱心な固定ファンを増やす戦略は避けて通れない。
ミスチルでもいい。
ゆずでもいい。
BUMPでもいい。
彼らの初期のアー写と最近のアー写を見比べると、売り出し方の変化はかなりわかりやすい。
極端な言い方をすれば、アイドル的な見せ方に近づいているようにも見える。
なぜなら、そうした熱心な支持を集める仕組みとして、アイドル的なモデルが強力なお手本になっているからだ。
そして、ロックフェスで昔は大きいステージを埋めていたのに年々客が減っているバンドは、そうした層への訴求に成功していない、あるいはそもそもそこを狙っていない場合が多い。
その一方で、バンド自身としても周囲としても、特段アイドル的な戦略を前面に出したわけではないのに、気がつけば地味に熱心な固定ファンをつかんでいるバンドもいる。
その代表格がスピッツだ。
なので、スピッツっぽいバンドがスピッツみたいに売れたかったら、スピッツみたいな音楽性をマネする以上に、スピッツのファンが彼らのどういう所に強く惹かれるのかを分析するのが吉かもしれない。
バインやピロウズみたいなバンドが、スピッツほどには広く売れなかった理由の一端はここにある。
熱心な固定ファンをいかに増やすか。
今の邦ロックシーンを勝ち抜く最重要な課題なのである。
関連記事:スピッツの記事まとめ


