超能力戦士ドリアン「ドラゴンの裁縫セット」、実は聴ける『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』な説
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2024年7月現在、野原ひろしばりの中堅社員として薄給サラリーマンとして働く筆者も、ちょっと前は義務教育を謳歌する少年時代があった。
童心に、かえる。
あの頃は、今感じる苦労はなく、ややこしい仕事のストレスもなく、余計な知識を持つこともなくどこまでも真っ直ぐで、もっと屈託なく笑っていたな、と。
そして、今だったら嘲笑ってしまうような「おしゃれ」を、瞳を輝かせながら、ドヤ顔でかっこいいとしてちらつかせていたな、と。
そんな様々な憧憬を思い返してくれるのが、この歌。
超能力戦士ドリアンの「ドラゴンの裁縫セット(笑)」である。
超能力戦士ドリアンの「ドラゴンの裁縫セット(笑)」の話
いやね、最初はね、ふざけたタイトルの楽曲だなーと思った。
なんだよ”ドラゴンの裁縫セット(笑)”って。
この歌のタイトル、二重の引っ掛かりポイントがある。
まずは、前半部分の「ドラゴンの裁縫セット」。
そのチョイスなんなん??っていうところと、確かにそんなもんもあったなーという絶妙具合。
今のこのタイミングで「それ」を歌にするのかという面白さというか、狙いが絶妙である。
で、ここだけでも十分絶妙なタイトルなのに、後半部分に(笑)を添えることで、その破壊力がさらにえぐいことになる。
そういえば、最近西野カナが復活するニュースがあって、ふとあの頃はガラケーを使用して、(笑)を末尾に付けるようなテキストメッセージのやり取りしていたなーなんてことを思い出したけれど、それにしても、楽曲のタイトルに(笑)をつけているというのは、当時で考えても令和の今で考えても、攻めているなーと思う。
ABEMEで放送されている、コアなバラエティー番組よりも攻めている、と思う。
少なくとも、自分はこのタイトルだけで、存分に何かしらの引っ掛かりを覚えたのだから。
「ドラゴンの裁縫セット」、というタイトルだけでも不思議なタイトルだと思うが、そこに(笑)をのっけるというセンス。
思う。
「ドラゴンの裁縫セット」が極上の白米なのだとしたら、(笑)は極上の卵とじだなあーと。組み合わせの妙と、そこから生まれる旨みのえぐさ。あっぱれな組み合わせである。
で。
ふざけたタイトルだなあと思って楽曲を聴くと、えぐいくらいに曲としての引きもあるのだ。
ダイソンの掃除機でも、初速はもう少しスキがあるぞと言わんばかりの引き込み具合が展開される。
イントロなしで、初っ端からキャッチーなメロディーで展開するので、瞬発的に歌の世界に放り込まれるのだ。
コールアンドレスポンスができそうなメロディーにのっかっているのが、「最強!」「ドラゴン!」「裁縫セット」というワードなのだが、面白い。しかも「セット」の部分の気合いの入り用。「セット」を「せっっっっとぉぉぉぉおおおっっっっっっ!!!」と、リズミカルに高らかに叫んでいるのが強すぎる。
「なんだよ、これ(笑)」と思う自分もいるのだが、いかんせんキャッチーなので、楽曲の世界にぐいぐい引き込まれるのだ。
その後のアレンジ展開と、メロディー展開も良い。
疾走感のあるギターロック調のアレンジ。パワーコードが的確にツボをついてきて、鮮やかに楽曲にのれてしまう。メロディーの流れも過不足がなく、すーっと歌が脳内に入ってくる。
しかも、サビが強いのだ!
この部分、めっちゃ口ずさめる!最近は簡単には歌えないムズイ歌が流行っているからこそ、今作の口ずさみやすいメロディーが沁みる、刺さる、印象に残る。のバリューセット。
そして、歌詞。
この歌詞を聴いていくと、そこに描かれた景色と価値観が、あまりにも野原ひろしばりの中堅社員として薄給サラリーマンには、ぐっとささったのだ。
いやね、ネタ曲なのかもしれない。
なんとなくのあるあるをまぶしただけなのかもしれない。
でも、それが結果として美しくも、儚い世界を描いているように感じたのだ。
なんかふと、ニコニコ動画を狂ったように観ていたときに、ふいに出会ったゴムの「思い出はおっくせんまん!」(映像付き)を観たときの感触が蘇ってきた(知らない人は、ごめんなさい)
もう戻れないあの頃。
今では”ダサい”とはっきり言えるけれど、確かにかっこよいと感じたあの頃の価値観。
楽しくて、甘酸っぱくて、恥ずかしくて、なんだか切ない。
そんなどうしようもない感情が・・・「ドラゴンの裁縫セット」から・・・沸き立ってきたのだ・・・。
この感じ。
そう、まるで、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』を観たときのような、そんなノスタルジー・・・が・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
と書くと、なんだか感動超大作を味わったような言い回しになっていて、なんだか過剰評価しすぎている気もするが、確かに突き刺さるものが多かった歌であり、自分の最近のベストソングであったということ間違いない。
良い歌である。
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