三浦大知の「いつしか」で感じた美しさについて

三浦大知の魅力っていくつもある。

歌、ダンス、ソングライティング、ホラーゲームをプレイしても朗らかで際立つトーク術・・・・。

数え上げたらキリがない。

んだけど、他のアーティストにはない魅力、という観点で考えると、三浦大知の凄さって、どうしても「歌って踊れるところ」に集約していきやすい。

実際、歌って踊ったときのパフォーマンスの凄さは、筆舌に尽くし難いものがある。

それは確かだ。

でも、いくつかの記事で書いてきたけれど、三浦大知って、ただ単に「歌って踊れる」から凄いというわけではない。

どれだけ踊っても歌が乱れない、というところは三浦大知の凄さのひとつではある。

けれど、ポイントなのは踊っても乱れないその歌が、実は歌そのものだけを切り取ったとしても凄まじい破壊力がある、というところなのである。

要は、ボーカルとしての表現力が素晴らしいんだよという話であり、三浦大知の「歌って踊る」の凄さが際立つのはボーカルが凄いからこそ、という話でもあるのだ。

三浦大知のボーカルについて

今年、「燦燦」をリリースすることで、ボーカルとしての三浦大知の凄さが、より周知された印象を受ける。

「燦燦」は連続テレビ小説「ちむどんどん」の主題歌ということもあり、いつも以上にメディア露出する機会があったということもあり、ボーカルとしての三浦大知の素晴らしさが世の中に広まった印象を受けるのだ。

ダンサーとしての凄さや、歌って踊るという点に<凄い>を見出していたリスナーも、今年はよりボーカルとしての三浦大知の凄さも実感した一年だったのではないかと思うのだ。

それほどに、「燦燦」の三浦大知のボーカルが素晴らしかったし、「燦燦」は2022年を代表する一曲になっていたように思うわけだ。

今年はNHK紅白歌合戦の出演も噂されているが、そういった今年を総括するような音楽番組においても、きっと「燦燦」って必要とされる楽曲になっている印象を受ける。

ただ、三浦大知が凄いのは、<それ>で終わらないというところである。

リリースまわりにおいては、2022年は「燦燦」をリリースして存在感を強めた一年だったね、で総括したって十分なはずなのだ。

なのに、ここにきて、2022年の存在感を色濃くするかのような楽曲を、投じたのである。

それが、「いつしか」という楽曲だ。

「いつしか」は、ボーカルとしての三浦大知の凄さを力強く示す、ハートフルかつ感動的なナンバーである。

「いつしか」の話

「いつしか」は、楽曲はじまってすぐに三浦大知のボーカルが入る。

Aメロの三浦大知は、囁くように丁寧にメロディーを紡いでいく。

優しさを全方位に巻いていくかのような歌いこなしが印象的である。

この冒頭の歌いこなしが絶妙だからこそ、「いつしか」が持つ美しさが際立つことになるのだ。

さらには、メロからサビに移行する瞬間も美しいさ。

このブリッジの瞬間、三浦大知は「忘れないで」というフレーズを歌うんだけど、この流れが秀逸なのだ。

この瞬間にサウンドは一旦止み、三浦大知のボーカルでメロディーからサビへとブリッジしているんだけど、このときのボーカルのモードが変わる感じにぐっとくるのだ。

それまで、比較的ささやくように歌っていた三浦大知の歌声に、明白な力強さをにじませていき、歌声の奥深さが際立っていく。

この歌声の濃淡の付け方が絶妙で、サウンドはシンプルなはずなのに、どこまでも劇的に楽曲が展開されていくのだ。

2番でサウンドはプラスされていき、楽曲の表情がまたひとつ変わる。

サウンドは、どことなくクリスマスソングっぽくて、冬の空気感を少しずつ作り出していくことになる。

そのサウンドと丁寧にシンクロしながらも、三浦大知の歌声が軸になって、物語のページをめくるかのように、三浦大知の歌声が楽曲の世界を導いてくれる。

そんな印象を受ける。

甘くも力強く、ファルセットでも伸びやかな三浦大知の歌声が、「いつしか」の世界観を幻想的に構築していくのである。

結果、「いつしか」が紡ぐ4分間は、常に三浦大知の歌声に酔いしれることになるのである。

まとめに替えて

「燦燦」をもって、ボーカリストとしての凄さを世に知らしめた三浦大知。

だが、三浦大知は「燦燦」だけで留まらず、「いつしか」という楽曲を世に投じ、ボーカリストとしての深さと広さをさらに提示することになった。

そんなふうに思うのだ。

改めて、男性ソロアーティストとして、屈指のパフォーマーであることを痛感したし、三浦大知のボーカルのかけがえのなさを実感した、そんな次第。

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