今日はせっかくなので、BUMP OF CHICKENの記事を書きたい。
で、どんなテイストの記事を書こうかなーと思ったんだけど、今回は過去のアルバムを全て振り返り、簡単に解説するような記事をかけたらなーと思う。
というよりも、アルバムを通じて、BUMP OF CHICKENの軌跡を振り返れたらなーと思うのである。
本編
FLAME VEIN
インディーズ時代にリリースされたアルバムで、BUMP OF CHICKENの瑞々しい感性が炸裂した作品である。
演奏はたしかに荒削りだけど、BUMP OF CHICKENの魅力がこのアルバムには詰まっている。
妙に人なつっこっくて心に響く声。
ストリーテラーのように言葉の解像度を高めていく藤原の歌声。
洋楽の真似事を日本語で行いました、という感じではなく、日本のカルチャーと洋楽のバンドの音を両方した若者たちだからこそ、「日本のロック」の新境地感があるメロディーと楽曲のセンス。
特にゲーム(アニメ)的想像力とロックバンドのセンテンスの融合が、もっとも革命的だと思うのだ。
日本のロックがBUMP以降大きく変わったのは、今までにはないセンスでロックを再解釈したからだと思う。
その再解釈したセンスがこのアルバムには詰まっていると思うのだ。
THE LIVING DEAD
BUMP OF CHICKENの凄さは、ゲームやアニメ的な想像力とロックサウンドを融合させたところにあると思う。
たぶんBUMPの音楽が刺さる人って、「ゲームやアニメで感動して泣く」という感覚を共有している人である気がするのだ。
FFVIIだったり新世紀エヴァンゲリオンだったりと、二次元が逆に「リアル」になる感性をBUMP OF CHICKENは巧みに描いてみせたように感じるのだ。
ちょっと前までのロックでは混じらなかった感性やカルチャーをBUMP OF CHICKENは融合させた、とでも言えばいいかもしれない。
だからこそ、今までロックが刺さらなかった層にでも、BUMP OF CHICKENの音楽は深くまで刺さったと思うのだ。
『THE LIVING DEAD』はそういうゲームやアニメ的想像力をより大きく描いて、アルバム自体がある種の物語の集積になった印象を受ける。
というよりも、ロックバンドでも、そういう想像力を発揮させることができるんだぜ、というのをこのアルバムをもってして、突きつけたと言ってもいいかもしれない。
jupiter
メジャー・デビューアルバム。
オリコンチャートで一位を獲得し、文字通りBUMP OF CHICKENの名を全国に轟かせたアルバムである。
わりと00年代のバンドシーンは青春パンク・ロックであったり、イケイケなミクスチャーロックがシーンを賑わせていた。
その中において、当時のBUMPはそういうシーンと真逆の位置から自分たちの音を鳴らしていた。
『jupiter』は、シンプルにBUMP OF CHICKENが思うオルタナティブロックが投影されていると思う。
以降の作品は、足し算的にサウンド的なチャレンジをしていくわけで、このアルバムは実直にロックと向き合っているというか。
だからこそ、妙な暗さを感じる歌が多いし、刺々しさを感じさせる歌も多い。
でも、背伸びをするでもなく、売れ線に走るでもなく、自分たちが思うロックと向き合っているからこそ、このアルバムはいつまでも、輝いているのかなーと思う。
ユグドラシル
このアルバムは、歌詞を通して物語を描く初期のBUMPのイズムを継承しつつも、ロック以外のサウンドにも手を伸ばした意欲作という印象。
単純にロックサウンドを鳴らすだけでなく、バンドサウンドを拡張していく意志を感じるというか。
メンバーの演奏技術が上がったこと、作品制作にある程度予算をかけることができるようになったことなどが、この変化を生み出したのかなーと思う。
個人的には、BUMP OF CHICKENの第一章がこのアルバムで完結したイメージを覚える。
orbital period
BUMP OF CHICKENは演奏が下手だったのは、もう過去の話。
このアルバムは、演奏力が高くなり、どんなサウンドでもアプローチできるBUMP OF CHICKENの音を感じることができる。
この幅の広がりに、第二章感を覚えるのである。
このアルバムのタイトルの意味が、公転周期というところにも、第二章なイメージを覚えるのである。
サウンドはどんどん進化する一方え、内面を丁寧に描く歌詞だったり、宇宙や天体のモチーフを大事にする世界観に変わらなさも覚える。
そういうバランス感も秀逸なアルバムである。
COSMONAUT
もっとも複雑なリズムアプローチの歌が多く、難易度の高い歌も多いアルバム。
技巧的な意味でどこまでチャレンジできるのかを試したアルバムのような印象を受ける。
どんどん求めるレベルが高くなり、作品の濃度が濃くなっているという意味で、ELLEGARDENの『ELEVEN FIRE CRACKERS』にも重なるところを覚える。
実際、このアルバムが技巧的なものに求めすぎたが故に、BUMP OF CHICKENの「こういう路線」はこのアルバムをもって終わることになる。
RAY
完全にイメージを一新したアルバムであり、今のBUMP OF CHICKENに繋がる第三章というイメージのある。
当時はこの方向転換に戸惑いを覚えたけれど、今ふりかえってみると、こういう変化をしてよかったなーと思うし、だからこそ、未だに日本のロックシーンで不動の人気を誇り、なんなら現在が最高セールスを誇るバンドになっているんだろうなーと思うのだ。
あと、このアルバムからとにかく藤原の歌声が優しくなった印象を受ける。
電子音や打ち込み、エレクトロニカルなものに積極的に手を出すようになる。
Butterflies
このアルバムがある種決定的だった。
あ、BUMP OF CHICKENはこれからこの路線でいくんだなあという確信だった。
もう『COSMONAUT』的なサウンドに戻ることはないんだと思ったし、難易度の高い楽曲にチャレンジするというモードになることはないことを確信したというか。
ただ、これは売れ線に走ったというよりも、メンバーの音楽的な好奇心が当時のColdplayのように、脱バンドサウンドによりロックの提示、みたいなところにあったのかなーと思う。
言ってしまえば、本人たちが音楽が好きで、次々と音楽的探究心が広がった結果、こういうテイストのアルバムが生まれたように感じるのだ。
ただ、「ユグドラシル」の頃と変わらず、カントリー調の曲を入れてみたり、音楽的な意欲にとんだ作品であることは間違いないし、そこにあるのは間違いなく今までの音楽的なチャレンジの集積なのである。
aurora arc
成熟したイノセンス。
このアルバムから感じるのは、それである。
BUMP OF CHICKENが持つピュアさが、円熟した優しさの中で輝いたアルバムとでも言えばいいだろうか。
20年ほどのキャリアを積んだ、今のBUMP OF CHICKENだから鳴らすことのできる深みがそこにはある。
昔と変わらず、内向的な人の心に優しく寄り添う言葉がとにかく感動的である。
過去のバンドになることなく、このバンドは現在進行系で進化していることを感じさせるアルバムである。
まとめ
駆け足でBUMP OF CHICKENのアルバムを振り返ってみた。
さて、あなたが好きなアルバムはどれですか?
よかったら、教えて下さいな。
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