前置き
[ad]
残酷な話、バンドにはブームがある。
ミスチルやBUMPのように末永く人気を持続するバンドもいるけれど、下の世代を魅了できず、10代からの認知がただ下がりになり、ファンの母数を大きく減らすバンドもいる。
数年前はワンマンライブはどれも即完で、フェスでも規制を連発していたバンドだったはずなのに、数年たったらチケットは簡単に取れてしまうし、フェスでの集客力を下げるバンドもいる。
近年はそのサイクルが特段早くなっており、King Gnuのように信じられない速度で売れていくバンドがいるということは、その逆もまたあるわけだ。
本編
で。
どうしても人気が右肩下がりのバンドという話になると、KANA-BOONの名前も挙げられるのではないかと思うのだ。
まあ、なんだかんだでロッキンのような大きなフェスのメインステージに立っているので、KANA-BOONというバンド自体は、まだ十分に人気バンドだとは思う。
けれど、全盛期の勢いがなくなったことは間違いない。
「ないものねだり」で一気に、当時の邦ロックリスナーを釘付けにして、その名を轟かせたKANA-BOONの当時の勢いは本当にすごかった。
初の全国流通版としてリリースされた「僕がCDを出したら」は本当に名盤だと思うし、この時のKANA-BOONは無敵のようにすら思えた。
その後、リリースされたメジャーデビュー最初のオリジナルフルアルバムである「DOPPEL」も、当時のKANA-BOONの魅力が詰まったアルバムだった。
今、能動的に邦ロックを聴くリスナーの多くも、なんだかんだで、それなりにKANA-BOONを認知していると思うし、KANA-BOONといえば、前述の2作品を想起する人も多いのではないかと思う。
が、逆に言えば、その辺りでKANA-BOONのイメージが止まってしまった人も多いと思う。
特に「Origin」以降になると、がくっとKANA-BOONの曲の認知度は下がってしまったように思う。
理由は様々だと思う。
KANA-BOONの曲にパターンを見出してしまい、単純に飽きられてしまったのかもしれない。
他の若いインディーズバンドの方が魅力的にうつってしまったのかもしれない。
タイアップとの相性があんまり良くなかったとか、そもそもキューンミュージックというレーベルのメディア展開が上手くなかったことがあるのかもしれない。
あるいは、KANA-BOONの変化の仕方がリスナーの求められているものと違っていたのかもしれない。
様々な要因が折り重なったのはあるのだろうが、事実としてあるのは、KANA-BOONの新譜があまり多くのリスナーに届いていないということ。
[ad]
では、KANA-BOONの新譜はどうなのか?
早速、新しい曲を聴いてみよう。
これを良いと思うか微妙と思うかは人によって違うだろうが、シンプルに聴いてみた感想としては、KANA-BOON、かなり演奏上手くなったよなーっていうもの。
あ、KANA-BOON ってこんな風に演奏ができるようになったんだなあと思えたし、昔と比べたら曲の幅が広くなったようにも思う。
KANA-BOONの大きなウリは二つだと思っている。
一つは一回聴いただけで頭に残る中毒性の強いキャッチーなメロディー。
もうひとつは、志村時代のフジファブリックと初期のアジカンを足して2で割ったような、ポップでシンプルなんだけど妙に耳馴染むギターロックを、巧みに高速させて「ワクワクする聴き心地」をさらに増幅させた独特のメソッド。
後者に載せた、今回の新曲では、このようなKANA-BOONが本来持っていた圧倒的な強みを、今の技術でさらに磨き、更新させたように感じるのだ。
そして、思うのだ。
この楽曲は単に聴きやすくて中毒性があるだけじゃなくて、バンドとして聴いてみても、単純にかっこいいよなーと。
他の技術も進化する
あと、これは鮪の話だけになってしまうけれど、今年のFM802のキャンペーンソングであるaikoが作詞作曲を手がけた「メロンソーダ」には、ボーカルの鮪も参加している。
「メロンソーダ」自体は必ずしも満点を与えられるような歌ではないよなーと個人的には思っているんだけど、冒頭の鮪の声は、めっちゃ良いと思った。
なんなら、わざわざこのタイミングでKANA-BOONの記事が書きたいなーと思ったのは、鮪のこのボーカルを聴いたからなところがある。
いや、ほんとね、この歌の鮪の声、aikoが持つメロディーの魅力を上手に活かした、絶妙な甘さが本当に冴えているのだ。
あ、鮪ってこういう歌も歌えるんだ!って思った。
ボーカルとしての表現力、またひとつ上げたなーって思ったのだ。(まあ、やたらと上から目線で語るお前は誰やねん、という話ではあるんだけど)
まとめ
というわけで、言いたいのは、これだけ。
KANA-BOON は今を更新しているバンドだし、新曲は普通にかっこいいんだよ、と。
だから、よかったら、騙されたと思って、新曲を一度聴いてみてほしいのだ。
まあ、KANA-BOONは決してバンドとしてのアレンジの引き出しは多くないよなーとは思う。
若いバンドで、こいつらよセンスすげえなーって思うバンドはどんどん増えてきているから、どうしても魅力が見えづらいこともある。
けれど、曲の気持ち良さを最大限に引き上げる「センス」はピカイチだなーと思うし、そのセンスは未だに冴え渡っていると思う。
なにより、バンドの技術も鮪のボーカルも本当に良くなった。
だから、僕は、2019年のKANA-BOON、すごく期待しているし、これからの動きに楽しみにしている。
関連記事:KANA-BOONとかクリープハイプに対する雑な個人的見解
関連記事:もう一度、みんなグドモを聴いてほしい
[ad]