
L’Arc〜en〜Cielの話。ken、tetsuya、yukihiro、hydeに触れて
L’Arc〜en〜Ciel(ラルク)は、1991年の結成以来、日本のロックシーンを牽引するレジェンドといっても差し支えないバンドだ。そんなバンドについて、実はちゃんとスポットを当てて記事を書いたことは一回しかない。当時と今だと自分の感性も変わっているし、L’Arc〜en〜Cielも進化していると思う。
なので、このタイミングで、久しぶりにL’Arc〜en〜Cielにスポットを当てた記事を書いてみたい。
hyde(ボーカル)、ken(ギター)、tetsuya(ベース)、yukihiro(ドラム)。
それぞれが、それぞれの進化を遂げてきたと感じるから。024年10月に配信された「YOU GOTTA RUN」でも、バンドとしての切れ味が鋭いことを感じたものだし。
そう。
「YOU GOTTA RUN」って絶妙なバランスの歌だと思う。
tetsuya作曲の楽曲ということで、耳馴染みの良いポップさを兼ね備えながら、ハイトーンに伸びやかなhydeの歌声が炸裂して。手数の多いながらも安定感を感じさせるyukihiroのドラムが楽曲をドライブさせていき、ここぞのタイミングでkenの圧巻のギターソロを展開させる。楽曲良し、歌良し、サウンド良し。そんなL’Arc〜en〜Cielの魅力が詰まった楽曲だなーと感じたわけだった。そんな「YOU GOTTA RUN」も踏まえながら、今回の記事の話を進めてみたいと思う。
第1章:ギターの魅力
L’Arc〜en〜Cielの魅力を語るうえで、kenのギターは外せない。サウンドにおいて、間違いなく核といっていいと思うし、そのサウンドは多面的に展開される。「YOU GOTTA RUN」を聴いていると、生命力の宿った疾走感のあるギターワークもkenの魅力だなーと感じる。エッジの効かせたストロークだったり、歪をサウンドに取り入れながらもそれを美しさと調和してみせる圧倒的なバランス感。繊細とディストーションはこんなに近い距離で響かせることができるのかとびっくりするようなテクニックである。また、「FOREVER」では上品というか、幻想的というか、そういうクリーンなギターのサウンドを展開してみせる。
楽曲ごとに自由自在に音を使い分けて、アップテンポの歌もバラード調の歌も、然るべきトーンになって歌うように音を響かせるのだ。
第2章:ベースの魅力
バンドにおいても、サウンドにおいても、tetsuyaの存在はあまりにも軸である。
それくらいに、tetsuyaのベースは、L’Arc〜en〜Cielの楽曲にグルーヴと土台を生み出している。キャッチーなメロディーの中にも、ファンキーなベースを爽快に響かせることが多々ある。どのパートも個性が際立つL’Arc〜en〜Cielのアンサンブルだからこそ、tetsuyaの持つベースのバランス感がより際立つ。全部が個性的なのに、疾走感を損なうことなく、サウンドとしてうるさくて散らかった感じにならないのは、ベースが歌全体の中で絶妙な調和を生み出しているからだ。
「YOU GOTTA RUN」においても、tetsuyaのタイトかつ高速的なドラムアプローチと調和しながら、ドラムと丁寧に絡み合ってドライブさせていく。あと、ベースの話ではないが、tetsuyaにおいてはコーラスワークも絶品だなあと思う。
「YOU GOTTA RUN」において、楽曲の流れが落ち着いてきたなーというタイミングで、いつもtetsuyaのコーラスが楽曲に合流して、楽曲にさらなる勢いを与えていく。リズムという点だけではなく、歌を構成する様々な要素のバランスを取りながら、世界観を確立させながら、存在感を発揮するところにtetsuyaの凄さを感じずにはいられない。
第3章:ドラムの魅力
あえて言えば、yukihiroのドラムは、マシーンのようだ。それくらいに手数が多くて、激しくて、でも正確な印象。どんなL’Arc〜en〜Cielもテクニカルに感じるうえで、yukihiroが織りなすリズムアプローチが果たしている役割はすごく大きいと感じる。そんなyukihiroの隙のないドラムアプローチをあますことな体感できる楽曲のひとつだと感じる。オフビートを効かせたスネアとダブルキックのコンビネーション。高速的なアプローチの中でも、確かなアクセントをつけながら、楽曲全体のメリハリを鮮やかなものにしていく。
「ミライ」も全体として穏やかな印象の歌だが、そこで鳴り響いているドラムの動きをみると、びっくりするほどに細かい。シンバルも効果的に使いながら、ミドルなテンポの中で必要な激しさを生み出していく。
手数は多いのに、無駄がない。だからこそ、美しく、L’Arc〜en〜Cielの世界観を確かなものにしていく。
第4章:ボーカルの魅力
そんな誰もが主役になってもおかしくないL’Arc〜en〜Cielの楽曲の中で、やっぱりきちんと主役なのがhydeのボーカル。
神がかった歌声、というのはhydeのためにあるのではないかというくらいに、メロディーの高低も鮮やかだし、ファルセットの近い方も美しいし、がなり声のようなシャウトも丁寧に使いこなし、表現力も多種多様。ダークでも、エンジェルのような歌でも「似合う」あたりに、hydeのボーカルの凄まじさを感じる。
だからこそ、「Don’t be Afraid」のようなエネルギッシュなのに、妖艶さも覚える楽曲における歌唱がたまらなく映えるのだ。
「YOU GOTTA RUN」でもエモーショナルながらも美しさを兼ね備えながら、突き抜けていく感じなのは圧巻。すごいボーカルは世の中にたくさんいるけど、この雰囲気はhydeにしか出せないなーと思う。ハードなのに、色気がある感じ。ウィスパーな歌声でも、咆哮のようなアプローチでも美しさ展開できるのが、hydeの凄さだなあと改めて感じる。
結論、これは虹
そんな4人が織りなす音楽世界は、確かに虹だなーと感じる、そんな今。今回の記事ではなるべく近年の歌にスポットを当ててみたんだけど、円熟した隙のなさは今でもつくづく健在だなあと感じた。だからこそ、ラルクの音楽はたまらない。