Mrs. GREEN APPLEの「ダーリン」、歌詞がどこまでもMrs. GREEN APPLE的な件
Mrs. GREEN APPLEの「ダーリン」の話をしてみたいと思う。
わかりやすいメロディーを歌った時の大森元貴の破壊力
『Mrs. GREEN APPLE 18祭』テーマソングの楽曲ということで、トリッキーな作品が多いMrs. GREEN APPLEの作品の中でも、ベタに寄せた作品ではある。
メッセージ性がはっきりしている歌詞。
ストレートで口ずさみやすいメロディー。
合唱しやすいメロディー。
鍵盤が軸になったアレンジ。
余計なものは削ぎ落としして、18祭というシチュエーションに映えそうな楽曲だ。
大森元貴は様々なタイプの楽曲を生み出すソングライターで、これまでもトリッキーでフックの強い楽曲を多々生み出してきたが、「ダーリン」においてはなるべくシンプルに強くして、合唱しやすいアレンジにしつつ、歌そのものの強度を高めている印象だ。
だからこそ、大森元貴の歌の上手さが際立つ。
低音も高音も綺麗に歌いこなす境域の音域。
しかも、しっとり歌うところはとことんしっとり歌い、伸びやかでダイナミックに歌うところは、そういうエネルギーを全力で注ぎ込む。
冒頭のAメロのパートのしっとり感と、最後のサビのパワフルさを聴き比べると、一曲の中で、どこまでも鮮やかに緩急をつけているかがよくわかる。
縦の軸でも、横の軸でも、メリハリが見事だからこそ、大森元貴の歌声がどこまでも耳に残るのだ。
「ダーリン」というシンプルめの楽曲だからこそ、大森元貴の歌の魅力が際立つ。
1番では完全に主旋律一本でボーカルが進行して、2番からハモリを入れたり、コーラスを入れたりする魅せ方なのも良い。
すっぴんも堪能したあとに、アレンジ効かせた歌も堪能できるという流れが秀逸さを際立たせることになる。
メッセージ性のある歌詞が良い
「ダーリン」は18祭の軸を握る楽曲ということで、10代に捧げるメッセージ性が際立っているのが良い。
どんな歌でもそうだけど、ターゲットが明確になる方が、メッセージがぼやけないので、歌詞としてはぐっと響くことが多い。
自分は10代ではないけれども、ストレートなメッセージだからこそ、「ダーリン」の歌詞に惹かれる部分が強い。
特に、
限りある世の中のせいで狂ってる
果てしなく続く時間の中で燻ってる
みんなと同じだからって
僕の 私の
ワダカマリが楽になるわけじゃない
このフレーズが自分的に印象的だった。
Dメロだからこそ、より意味性の強いフレーズを持ってきている印象だし、楽曲の盛り上げ的にもキーを握るフレーズだと思っているんだけど、今作は、大森の「負の感情に対する眼差し」が見事だと思っている。
単純に共感するわけでもなく、否定をするわけでもなく、絶妙な温度感で内面のそういう感情にスポットを当てる。
大森元貴もまた、10代の頃に色んな感情を持って過ごしてきた人間だからこその視点であるように感じるし、シンプルな応援歌でもいいし、安易に傷を舐めるだけのスタンスでもないし、Mrs. GREEN APPLEだからこそのメッセージであるように感じてならず、それが自分的にぐっときたのだった。
まとめに替えて
サブスクのランキングをみても、Mrs. GREEN APPLEの存在感って、今の日本のヒットチャートにおいても、あまりにも大きい。
でも、その勢いはまだまだ収束することはない。
「ダーリン」の広がり方をみて、改めてそう感じる。
おそらく2025年を代表する楽曲のひとつになるのだと思うから。